【上方芸能な日々 落語】第19回月亭文都独演会

落語
第19回月亭文都独演会「GO AHEAD !」

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来年、いよいよ20回記念を迎える文都師匠の独演会。入場時に配布されたこれからの公演予定表によれば、来秋には、初めてNGKでの独演会が計画されているとのことで、これは大いに楽しみである。 

15-11-29 bunto2ol

<ネタ帳>
月亭秀都 『鉄砲勇助』
月亭天使 『ひらのかげ』
月亭文都 『御神酒徳利』
仲入り
ゲストコーナー
吉田光華 「乙女文楽」(藤娘)
聞き手 月亭天使・月亭方気
仲入り
文都 『たちきり』 (人形 吉田光華

いつの間にか弟子が3人になった文都一門。
まずは入門2年目の秀都から。彼は初高座を拝見している。叩きで『東の旅』をけっこうすんなりこなしていた。この日の『鉄砲勇助』も、それなりによどみなく、またウケるところはウケて、無難にこなしていた、ように見えた。ただ、それでは面白くない。もっともがき苦しんでいる様を見てみたい。意地悪で言ってるんじゃなくって、そうでなきゃならんでしょ。

一方の天使は、ずいぶん長い間もがき苦しんでいたし、もしかしたらまだもがいているのかもしれないけど、それがある意味彼女のキャラになっているようなところもある。お客もそのへんはよく承知しているようで、見守る目の温かさを感じる。どういうタイミングかわからんが、彼女のネタを聴くときは、「ただいま練りこみ真っ最中」な感じのことが多い今回もそういう印象を受けた。

『御神酒徳利』は、10年くらい前だったか、文珍師匠を香港にお招きして独演会をお願いしたときに披露してもらったネタで、そのときに当時の八天、すなわち今の文都師匠も随行されていた。そんな経緯もあって、多分、文珍師に手ほどきを受けたネタなんだろうと思うが、すでに「文都の『御神酒徳利』」として確立しており、十八番(おはこ)ネタの一つに十分数えてよいだろうと思う。客席の満足度は、トリネタ以上のものを感じた。

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以前、地元の「田辺寄席」の特別版で光華さんの「乙女文楽」を拝見し、そのときのことを拙ブログでも紹介しているので、「乙女文楽」、吉田光華さん略歴等々についての詳細は、ここでは省くが、観たことある人が小生入れて会場で2~3人(二階席はわからないが)だったのが、意外。10人前後はいると思っていたが…。
なかなか観る機会のない芸ではあるが、たとえ数は少なくても、光華さんのように継承していこうとしている人がいるのは心強いし、次の世代、その次の世代へと受け継がれてい行くべき芸だと思う。文楽などの「三人遣い」の人形浄瑠璃以上に、人形を遣うその人自身に日本舞踊の高いレベルの素養が問われるものと思われるのだろうというのが、よくわかる舞台を見せてもらった。

トリは、文都師の『たちきり』。上方落語の大ネタの一つとされる。とは言え、覚えが良ければ若手でもしゃべることはできるだろう。が、そこは大ネタ。それだけでは決して伝わらない「何か」があって、それはもう、落語が上手いとか下手とかじゃなくて、それこそ人生の積み重ねがモノを言うと思われる。だから若手が手を出すなとは言わないが、少なくとも、そこは「酸いも甘いも」をわきまえた噺家にやってほしいところ。それは恐らく、聴く方にも言えることだろう。だからこそ、この日の「文都独演会」のトリネタなのだ。じっくりしっかり聴けてたっぷり堪能。小生自身は特に「酸いも甘いも」わきまえてはいないけど(笑)。

「人形・吉田光華」とあるからには、「間違いなくあそこで出てくるんやろ」と思うところで出てきたから、構えができていたし、風情もあったけど、あれ、予告なしであそこでいきなり人形出てきたら、結構怖かったかも(笑)。そうなると、『たちきり』が違うテイストのネタになってしまいまわすわな…。

外へ出たら結構寒い。そらもう12月になるもんな。もう1カ月よ…。今年もそれほど落語に来れなかった。これはいけませんな!

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(平成27年11月29日 天満天神繁昌亭)


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