【上方芸能な日々 落語】なにわ芸術祭*旧ブログ

またまた先週の話題。
引き続き、ごめんね。

産経新聞社などが主催する「なにわ芸術祭」。古典芸能から洋楽、洋舞まで幅広い「上方の芸能」が腕を競う場として、昭和39年から行われている…。
中でもお楽しみは、上方落語協会が提供する「上方落語名人会」。チケットは即完の超人気ぶり。いつも売り出しと同時に知人に抑えてもらうのです。
この日はお昼の繁昌亭とダブルヘッダー。

5月21日(水)「第45回なにわ芸術祭~上方落語名人会」
大阪厚生年金会館芸術ホール

1.『道具屋』 笑福亭喬若(三喬門下)
「上方落語界の松坂大輔です」というツカミに最初のころは寒イボ(鳥肌)が立ちましたが、最近は慣れました。てか、ここまできたらもっとやれ、徹底的にやれ!と応援したいです。毎回、前座は「新進落語家競演会」で新人賞を獲得した若手が勤めます。若手の登竜門とでも言いますかね。お後に大御所連が控える中、緊張することなく『道具屋』で場を温めます。
2.『鼓ヶ滝』 笑福亭鶴光(松鶴門下)
意外と知られてませんが、「つるこう」ではなく「つるこ」です。西行法師が自惚れを自戒する講談調のネタですが、そこは鶴光師っぽいくすぐりを随所にちりばめながらの運び。「ヤンタン」や「オールナイトニッポン」を思い出しますね~、「アメ、コーヒー、ライター」とか「僕の友人の青梅こうじ君…」とか。
3.『ねずみ』 露の五郎兵衛
床机に腰掛けての風流な高座で。御大がこの会に出てきてくれることが、なによりうれしく。
4.『お玉牛』 桂春団治
大好きな三代目師匠。出囃子「野崎」を聴くだけで、ウキウキしてきます。いつ見ても、というか見るたびに艶っぽさを増してゆく三代目。その秘訣をお聞きしたいくらいです。羽織をしゅっと脱ぐ姿もため息が出ます。
~中入り~
5.『浮かれの屑より』 林家染丸
小学生のころ、なんば花月で仁鶴師匠司会の大喜利のテレビ収録によく出くわしました。「三味線のおっしゃん(お師匠はん)は林家染二くんでぇ~~す!」と紹介されていた、当時「若手」だった染丸師匠も今では上方落語協会副会長! その副会長は高座というより、舞台を所狭しと動き回ってました、すごい体力です、とても若々しい高座でした。ハメモノもフル稼働で、師匠の独壇場ですな、この手のネタは。この躍動感と音楽性は上方落語の大きな魅力。客席もそれにつられて波打っているかのようでした。
6.『誕生日』 桂三枝(文枝門下)
上方落語協会会長の登場に、客席は待ってましたとばかりの大きな拍手。これでもかと笑わせながらも、一瞬、ホロッとさせ、再び爆笑ゾーンに持ってゆく…。客席は三枝師匠の掌の上でギャハハ!と笑わされている、そんなすごい技量を存分に楽しみました。高齢者社会。高齢者をくすぐりながら、さりとて貶めることなく、笑いの主体に据えてゆく、そんな笑芸がこれから必要とされてゆくのかもわかりません。そんな時代に落語、とりわけ創作・新作はうってつけかもわかりません。
こんな豪華なメンバーがそろって、たっぷり聴かせてくれて4000円はお得。即完も当たり前か…。
終演後は、この会に毎年来ているかつての同僚と、ここ数年熱い、厚生年金会館近辺・新町のバーを数軒ひやかすのが定例。
その厚生年金会館も閉館するとかしないとか…。フェスティバルホールが建て替えで、ここが閉館となると、大阪市内にこれといったコンサートホールがなくなってしまいます。由々しき事態です。


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