【上方芸能な日々 落語】上方落語協会創立60周年記念月間

落語
上方落語協会創立60周年記念月間

上方落語協会創立60周年を記念し、4月は記念月間として繁昌亭昼席に協会員が総出演する。普段は昼席を避けている小生だけど、せっかくなので出かけてみた。

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天満宮の桜は九分咲き。もうひと頑張りで満開だが、当分は雨降りが続くようで、はかない

上方落語協会創立60周年記念公演

<ネタ帳>

「浮世床」 林家染八
「鉄砲勇助」 森乃石松
「秘伝書」 桂米紫
「歌謡笑」 桂文福
「堪忍袋」 笑福亭鉄瓶
「親子茶屋」 桂米輔
仲入
口上 米輔、文太、文福 司会:米紫
「目薬」 月亭八光
「二人癖」 桂珍念
「愛宕山」 桂文太
三味線:はやしや律子、はやしや美紀
鳴物:月亭遊真

まずは染八から。もう入門5、6年目くらいかな。年数のわりには、そりゃ上手いわな。おとっつあんが当代の小染師やし、おかはんが三味線の和女はんやし。割木屋のおっさんが字読めんのに知ったかぶりで講釈本読んでるフリして、逆に若い衆におちょくられまくる場面をピックアップ。上手にまとめ上げていた。

石松は7、8年ぶりに見たかな。その当時に比べたら格段に腕上げてる。おもろいところをかいつまんで、小便棚のくだりで上手にオチを作ってた。「時間厳守」の繁昌亭の高座で若手は相当鍛えられたと思う。どこをどう話したらおもろいか、どこでサゲたらおもろいか、若手は若手なりに色々研究してる。

米紫曰く「入門23年でもまだ若手ですぅ~。友達の中には、部長になってるやつもおるちゅうのに」。そうか、彼も23年やってるか。都んぼ時代から好きな噺家の一人。高座が明るいのがいい。長めのマクラ振って、す~っとネタに入る。オーソドックスながら、彼がやると明るく楽しい「秘伝書」になる。

文福師登場でより一層明るく楽しくなる。小噺あり、相撲甚句あり、客席を巻き込んでの河内音頭ありで、お客を上手にノセてゆく。入門から45年目だとか。もう孫弟子もおるんやもんな~。小生が小学生のころ、なんば花月で若手の大喜利みたいなんに出てたのを思い出す…。

鉄瓶。このたび鶴瓶師の13番目の弟子に芸名決まり、「乾瓶(かんべ)」と命名。鶴瓶一門は全員に瓶の字が付くわけだが、「みんな『空き瓶』や!って言われたりするんで、中身が埋まるように頑張りたい」のだが、末弟が「瓶がカラカラではね(笑)」と笑いを取って、「堪忍袋」の前半を。笑福亭の風を感じる高座。

米輔師匠で一気に、「落語聴きに来てるんや~」ってムードが高まる。このへんの場の空気の醸し出し方、えらいもんやなと感心する。なんとも言えぬ安心感。「親子茶屋」は、三代目春團治師匠を思わせる端正で美しい高座。「落語はええもんよな~」と実感するひとときだった。

口上は米紫が司会進行。下手から、文太、米輔、文福と並ぶ。この日の看板さんトップ3。落語家の口上だから、ワーワーとおもしろおかしく。文福の口上が印象深い。「25周年パーティーの時、『河内音頭やれ!』とステージに上げられたんですが、鳴物や合いの手を、可朝、仁鶴、福團治、枝雀、朝丸(現・ざこば)、春蝶(先代)、小染(先代)、三枝(現・文枝)という豪華な先輩方がやってくれました」。光景が目に浮かぶ。

「珍しいことするとすると雨降る言いますが、今日は僕が落語やるんで、見事に雨です」と客席を笑わせた八光は、「目薬」で。いわゆる「艶笑噺」で、ちょっとエロい場面もあるから、この日のようにお客に子供がいないとき用のネタかな。よって、あまり聴く機会がないけど、こういうネタも残していってほしい。意外にもそれは八光の役目かもよ?

珍念は「二人癖」で。今日は好きな人が多い。だからこの日に来たわけでなく、日程上おそらくここを逃すと他は厳しいかな? と思ったからだが、図らずも、好みの噺家さんズラリの日。珍念もその一人。憎めない語り口がいい。サゲに向かう詰将棋の場面を珍念流に楽しく。

客席がヒートアップして、トリの我らが文太師匠登場。「愛宕山」はこの日一番の爆笑で大いに盛り上がる。何がどう、というわけでもないけど、随所に「あ、上手い!」とか「それ、おもろいやん!」ってのが散りばめられていて、米紫が口上での紹介で「名人」とヨイショしてたけど(笑)、確かに名人。若い噺家には、もっともっと文太師の高座を見てほしいと思う。小生も「田辺寄席」の出席率高めて、「良いお客」になりたいと思う。

皆さんにお見送りしてもらう。出演の噺家のみならず、手伝いの噺家の中にも出てきてくれる人もいる。

今月いっぱいは記念興行だけど、行ける日があればまた。

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(平成29年4月7日 天満天神繁昌亭)



 


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