【上方芸能な日々 落語】吉坊ノ会<4.Apr.2017>

落語
吉坊ノ会<4.Apr.2017>

17796441_1325517440869221_4774071438196844166_n恒例の「吉坊ノ会」、春の公演に行ってきた。
大体、「春はええ天気、秋(冬)はクソ寒かったり雨降りやったり」って感じで落ち着いてきましたな、この会も(笑)。

毎回、珍品から大ネタまで二題の噺を聴かせてくれるが、今回は珍しく三題。「うむ?これは日頃のご愛顧に感謝しての大奉仕かいな?」と思っていたが、そうではなかった。

なんの因果か因縁か(笑)、最前列の席だった…。よう見えるし、独楽芸なんぞは迫力もあったんやけど、最前列ってのはそれはそれで結構しんどいのだ、贅沢を言うようでアレだが。

<ネタ帳>

「つる」 桂二葉
「口合根問」 桂吉坊
「べかこ」 吉坊

上方唄「西行」(舞)
仲入り
「江戸曲独楽」 三増れ紋
「崇徳院」 吉坊

開口一番に二葉で「つる」。二葉は今回で二回目。と言っても、前回は5年位前かな? まだデビューして間もないころ。当時は、かつての鶴瓶師みたいなモジャモジャ頭だった。「な~んか不思議な雰囲気の子やな~」って思っていたんだが、やっぱり今日も不思議だった。とても不思議なテンションで語る。なるほど、「つる」によく合ったテンションやな~って思っているうちにオチ。「早よ終わりますからね」って最初に言うてたけど、そないに早いこと終わらんでもええやんか。もうちょい観察させて(笑)。

吉坊登場。今回三題にしたのは、「これからやるネタがあんまりにも短いから、こりゃいくらなんでも」と思ったかららしい。「なんちゃら根問」という題名のネタは多いけど、この「口合根問(くちあいねどい)」は初めて聴くな。そりゃそうだ、かつては米朝師の弟弟子の米次郎というお方と三代目の染語樓はんがやってたくらいで、それを吉坊の師である吉朝が引き継いだそうだが、なにせ明治のころのネタで、内容が現代についてゆかないとかで、吉朝以降もやる人がいなかったという、まさに「珍品」。「口合」とは小生が理解するに、今の「オヤジギャグ」みたいなもんで、それを明治の時代背景そのまんまやると、もはや我々には理解不可能な話の連続になってまう…。ってわけで、吉坊くんは「今様」なギャグも適度に挟み込みながら。こういうのを聴かせてくれるから、値打ちあるんよ、この会は。

で、これだけじゃ申し訳ないって高座を降りずに連続してやってくれたのが「べかこ」。これも誰でも彼でもやってるネタではないが、先の「口合根問」ほどの珍しいネタでもない。このネタを聴けば、「べかこ=あっかんべ~」の本来形が、どのようなものだったかがわかるという仕組みになっている。そんなに腹抱えて大笑いするネタでもないけど、おなじみの地方回りをする貧乏噺家「泥丹坊堅丸(どろたんぼうかたまる)」師匠がご登場なさる(笑)。

そして、寄席の踊りとして、上方唄「西行」を舞ってくれる。「この唄にもオチがありまして…」と、最初に教えてくれた(笑)。ああ、そういうことか、と唄のオチ聴いてニッコリする小生(笑)。

中入りで「出すもん出して」(笑)、お次の登場を待つ。

曲独楽の三増れ紋。まあ、このお嬢も独特のテンションで、よくおしゃべりなさる。あ、センセに言うときますけど、大阪は別に阪神ファンとオリックスファンだけやないですよ。もっと言えば、オリックスファンよりも南海ファン(ソフトバンクのファンではない)の方が明らかに多いですから(笑)。
さて、独楽芸と言えば、上方では桂米八師がすぐ思い浮かぶが…。亡くなりはってから2年か…。今、だれが独楽やってるかな? ぱっと思い浮かばんねぇ。こういう曲芸系列はどうもお江戸の方に軍配が上がるな。演じる場所が多いってこともあるやろけど。

最後は吉坊で「崇徳院」。これはもうあまりにもポピュラーなネタ。こういう噺は、その噺家さんがどれだけ忠実に、かつ独自性を出して聴かせてくれるかってことに、興味津津となるわけだ。で、この日の吉坊、とても丁寧な崇徳院だった。「極上」とは言わないけど、熊五郎のちょっと間抜けな疲労困憊ぶりなんぞを面白く聴けた、安心の出来。
ところで、このネタの「?」なところは、恋の病で「今日か明日か」の命の若い二人のその後は…? ってところなんだけど、まあ、それを言い出したらそれこそ「地獄八景~」なんてどないなるねん? って話になるわけで、そこはもう、きっと、多分、もしかしたら、二人は祝言上げてめでたしめでたしなんやろな~で、ええか(笑)。

という、今回も「抽斗、また増やしたやろ、自分」と吉坊くんに言いくなるような会でございりました。次回も楽しみ!

(平成29年4月4日 近鉄アート館)





2件のコメント

  1. 通りすがりの落語ファンです。吉坊ファンでもあります。なにかでこちらのブログを拝見し、ブックマークして拝見しておりましたが、先日の吉坊の会、私も最前列だったので、奇遇だな~と思い、コメントさせていただきました。ほんと、見る度に抽斗が増えてらして、また先が楽しみになります。崇徳院は、一昨年の繁昌亭の9周年興行の際の鹿芝居で、吉坊さんが城井十風のペンネームで崇徳院を脚本にお越し、抱腹絶倒のドタバタ劇に仕上がってたのを思い出しました。ご本人はあんなに真っ当な噺をするのに、あの劇は、ほんとに面白かった!上方落語協会創立60周年興行も吉坊さんの日に足を運んでみました。冬の会も楽しみです。

    1. ご高覧、ありがとうございます。
      そうですか、最前列でしたか。それは気の抜けない時間をお過ごしになりましたね(笑)。城井十風さんは、夏に近鉄アート館で行われているあべの歌舞伎「 晴の会(そらのかい)」 でも毎回、本を書いてまして、そちらも落語をベースにした抱腹絶倒の新作歌舞伎に出来上がっています。
      冬の会は何を披露してくれますかね、ほんま、楽しみですね。

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