【睇戲】『スペシャルID 特殊身分』(港題=特殊身份)

『スペシャルID 特殊身分』
(港題=特殊身份)

めっちゃ肩透かし食らってしまった『アイスマン』。きっとそれは何かの間違いだと思い直して、今日も甄子丹(ドニー・イェン)である。そう、世界中の1963年7月27日生まれでもっとも成功した人物、アイツだ。そしてもっとも成功していないコイツ(あ、小生です)がお金払って観る…。なんか、おかしくないかね? この構図…。ま、いずれにしろ、今回は頼むよ、ドニー君!

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港題 『特殊身份』
英題 『Special ID』

邦題 『スペシャルID 特殊身分』
現地公開年 2013年
製作地 中国、香港
言語 広東語、標準中国語

評価 ★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督): 霍耀良(クラレンス・フォク)

動作設計(アクション監督):甄子丹(ドニー・イェン)
動作指導(スタント・コーディネーター):谷垣健治、嚴華(イム・ワー)、ジョン・サルヴィッティ
動作助理(アシスタント・スタント):大内貴仁、喻亢(ユー・カン)
飛車指導(カー・スタント監督):羅禮賢(ブルース・ロウ)

領銜主演(主演):甄子丹、景甜(ジン・ティエン)、安志杰(アンディ・オン)、張涵与(チャン・ハンユー)、鄭中基(ロナルド・チェン)、尹子維(テレンス・イン)、鮑起静(パウ・ヘイチン)

主演(出演):楊志剛(イン・チーガン)、廬恵光(ケネス・ロー)、呉志雄(フランキー・ウー)、麥長青(エバーグリーン・マック)

特別演出(特別出演):鄒兆龍(コリン・チョウ)

小生イチ押しだけど、どうも悪い人の役にはまってしまった感の強い安志杰(アンディ・オン)、先日の『全力スマッシュ』で「憎み切れない憎まれ役」を見事に演じた鄭中基(ロナルド・チェン)、どうにもこうにも『美少年の恋』の印象がぬぐえない尹子維(テレンス・イン)、『浮城』で郭富城の母親役が光った鮑起静、黒社会の極悪人なら廬恵光(ケネス・ロー)と呉志雄(フランキー・ウー)などなど、役者はばっちり揃っている。さらに裏方陣も谷垣健治をはじめ、ドニーが信頼を置くメンバー勢ぞろい。こいつはお楽しみといきたいところ。さて…。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

【甘口評】
格闘技好きの小生は、終始スクリーンに釘付け。アクションシーンは相当楽しめた。作品によって「技」を使い分けているドニー君、今回は総合格闘技MMAで攻めてきた。彼が技を繰り出すたびに、「おっと飛びつき逆十字!」「トーホールドからの膝十字だ!」「マウントポジションからのパンチ!」「STF(ステップオーバー・トーホールド・ウィズ・フェイスロック)ががっちり入って、安志杰動けず!」って具合に、一々技の実況と解説をして楽しんでる自分がいた(笑)。一連のドニーの厳しい攻撃と互角以上に闘える共演者たち、中でも安志杰は本格的なアクション俳優として、このところ実に成長目覚ましい。そう遠くない将来、香港映画のアクションシーンを担う大きな柱になっているのは間違いなし。

ストーリー的には、黒社会、警察の潜入捜査、裏切り、様々な計略と、「王道パターン」を踏んでおり、その単純さがかえって安心してアクションシーンを堪能させてくれる。あれこれ考えさせたりするより、こういう展開の方が娯楽として万人が楽しめるからよい。

大陸側の女刑事役、景甜(ジン・ティエン)が表面上は気の強いエリートだが、内面には弱い部分を持った女刑事を熱演。アクションシーンもなかなかのもの。

【辛口評】
大陸での撮影場面が多く、色々と制約が重なったであろう中での撮影だったのが、随所にうかがわれるが、そこは大陸のことゆえ、現状では目をつむるしかない。また、クランクアップに至るまでのすったもんだも、香港紙芸能面を賑わせていたので、この点も気の毒ではあった。

そしてドニー自身だが、彼は本当に万能なアクション俳優であり武術家であるのだが、どうもそのアクションが「度が過ぎる」ように見えてしまうのは小生だけか? 「えげつない」とも言えるのだ。そこにドニーの作品の真骨頂があると言えば、そうなのだが…。日本でいまひとつ彼の作品が爆発的なヒットにならない原因は、恐らくそこにあるように思う。夜8時半からの上映にもかかわらず、観客がようやく二桁というあまりにも寂しい光景がその辺を物語っているように思えてならない。やっぱり、生年月日が丸っきり同じだけに、ドニーの名前がもっと日本で知れ渡ってほしいもんな…。

《特殊身份 SPECIAL ID》 預告片 + ID

(平成27年3月19日 シネ・リーブル梅田)


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