【睇戲】『ゴッド・ギャンブラー -レジェンド-』(港題=賭城風雲)

『ゴッド・ギャンブラー -レジェンド-』
(港題=賭城風雲)

やっぱりねえ、『ゴッド・ギャンブラー』は「亜洲影帝」こと周潤發(チョウ・ユンファ)じゃなきゃいかんよな。

実に久々の『ゴッド・ギャンブラー』は、その周潤發が謝霆鋒(ニコラス・チェ)と共演する「レジェンド」である。もちろん監督は、王晶(バリー・ウォン)である。いいね~!! そもそも小生が周潤發をスクリーンで見るのは、ほとんど20年ぶりなのである。その間にも映画出演はしていたようだが、観てみようという気になるような作品ではなかった。いや、観たら意外にも気に入っていたかもしれないけど…。てなことで、ワクワクしながらシネマート心斎橋へ!

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

From_Vegas_to_Macau_poster_(Original_Hong_Kong_Version) (1)港題 『賭城風雲』
英題 『From Vegas to Macau』

邦題 『ゴッド・ギャンブラー -レジェンド-』
現地公開年 2014年
製作地 香港
言語 広東語

評価 ★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督): 王晶(バリー・ウォン)

領銜主演(主演):周潤發(チョウ・ユンファ)、謝霆鋒(ニコラス・チェ)、杜汶澤(チャップマン・トー)、童菲(キミー・トン)、景甜(ジン・ティエン)

主演(出演):高虎、許紹雄、張晉、伍允龍(フィリップ・ン)、沈震軒(サミー・サム)、吳辰君(アニー・ウー)、王敏德(マイケル・ウォン)、瑪俐亞(マリア・コルデロ)

長らくスクリーンでの周潤發とはご無沙汰していた。恐らく、最後にスクリーンで観たのは、1994年の『花旗少林(邦題・フルブラッド)』である。それ以降は、まったくと言っていいほど食指が動かなかった。80年代から90年代初頭の周潤發を見出すことが、どうも難しいような雰囲気が充満していたように思ったからだろう。これは自分自身の「映画離れ」も多分に影響しているんだと思う。

小生を香港へと誘った香港俳優は、主に、李小龍(ブルース・リー)、許三兄弟(ホイ三兄弟)、王祖賢(ジョイ・ウォン)、李麗珍(ロレッタ・リー)、張艾嘉(シルビア・チャン)、梁朝偉(トニー・レオン)そして周潤發あたりなのだが、周潤發にかつてのワクワク感を感じなくなったことで、香港映画全体とも疎遠になってしまった。これは決定的な「離別」のようでもあった。そこへ今回の「賭神」の復活?。「もう一度、周潤發。もう一度、あの香港映画へのときめきを!」という思いだ。

【甘口評】
なるほど「21世紀のゴッド・ギャンブラー」はこう見せるのか、というシーンの連続だった。「旧正月娯楽作品はこうあるべし」という、王晶(バリー・ウォン)のイズムが隅々まで浸透しているかのようで、なるほど旧正月映画、娯楽作品の見せ方を熟知しているなあと感心。「21世紀のゴッド・ギャンブラー」はまた、「賭城」マカオが、第一作が公開された時代のような「鉄火場」の雰囲気が払拭され、世界一のカジノとエンタテイメントの街に変貌していたことも表わす。

前日に観た『スペシャルID 特殊身分』で中国公安の鼻っ柱の強い女刑事を好演していた景甜、この作品でもまた中国公安の女刑事役。やはりハマっている。これはイイ人材。今後、ますます香港映画で見かける機会が増えそうな感じ。

何度も言うが、ストリー展開は小難しく構える必要なく、スクリーンに身を委ねておけばそれでよし。監督以下、主演級から脇役陣までツボを心得たメンツが揃っているから安心。さらに言えば、「あれ?この人、なんでこうなってるの?」とか「ここに至る説明が不足してるんですけど~」ってのがほぼ皆無というのも、そこはさすがの王晶、そしてプロデューサー・劉偉強(アンドリュー・ラウ)の手腕。

エンディングシーンも、旧正月映画ならではか、はたまた、王晶ならではの終わらせ方で、懐かしささえ感じてしまう。

【辛口評】
「亜洲影帝・周潤發」の存在感はあまりにも大き過ぎたか。ニコラスがどうにも辛そうに見えたし、杜汶澤もやや空回り。ニコラスは役柄、ほとんど笑顔を見せなかったのもそう見えた一因とは思うが…。

一方で、周潤發といい感じで演じていたのが、ベンツこと許紹雄だったり瑪俐亞だったりとベテラン勢。それゆえに、若い世代の「小粒さ加減」が目についた。「古天樂(ルイス・クー)一人勝ち」状態の現状を垣間見たとは、考えすぎか。

度が過ぎるCGの連続は、『賭神』の風格を損なう。かつてのようなスリリングなシーンがCGでごまかされてしまったような気がして、残念を超え無念だった。大陸での公開も前提にしているから、過度の賭博性や黒社会の暗躍などを前面に押し出した表現ができなかった結果だとしたら、さらに無念である。

「ゴッド・ギャンブラー」シリーズは、ひとまずこれにて完結にしてほしい。これ以上は何も生み出さないだろう。よもや、賭神に弟子入りしたクールこと謝霆鋒で新たなシリーズ展開などとは考えないでもらいたいものである…。と思ったら、今年の旧正月には、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)、張家輝(ニック・チョン)、さらには劉德華(アンディ・ラウ)らを迎えて『賭城風雲Ⅱ』が公開された。やれやれ(笑)。旧正月用の娯楽作品。そう割り切れば、全ては許されるんだろうけど…。

《賭城風雲》香港預告片

ちなみに。この日(3月20日)から、シネマート心斎橋は全席指定席制になった。入場整理番号での自由席ってのが、ここのウリのひとつだったのに…。

(平成27年3月20日 シネマート心斎橋)



 


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