【睇戲】プロジェクトV(中題:急先锋)

久しぶりの成龍(ジャッキー・チェン)である。前作が何だったかすっかり失念するほど、すっかり存在感が薄れてしまった成龍。日本であんなに人気あったのに、最近は最新作もそれほど話題にならずで、ちょっとかわいそうな気もする。そんなわけで、たまにはお付き合い(笑)。もう、ほんと、「お付き合い」程度の存在になってしまったよ、小生の中では…。

この作品もまた、本来なら2020年1月25日から旧正月作品として中国で公開されるはずだったが、COVID-19の感染拡大を受けて公開は延期。9月30日にようやく公開となった。今回、大阪府下の上映館も緊急事態宣言で延期になっていたが、映画館の休館が解かれたことでなんとか公開に至ったという綱渡り上映。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

プロジェクトV 題:急先锋

中題簡体『急先锋』中題繁体『急先鋒』
英題『Vanguard』 邦題『プロジェクトV』
公開年 2020年 製作地 中国
言語 標準中国語、広東語、英語、アラビア語
評価 ★★(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):唐季禮(スタンリー・トン)

領銜主演(主演):成龍(ジャッキー・チェン)、楊洋(ヤン・ヤン)、艾倫(アレン)、徐若晗(シュ・ルオハン)、母其彌雅(ムチミヤ)
特別演出(特別出演):朱正延(ジュー・ジャンティン)

【作品概要】

トン・ウンテン(ジャッキー・チェン)率いる“ヴァンガード”は、チームメンバーにロイ・ジャンユー(ヤン・ヤン)、チョン・ホイシュン(アレン)、ミヤ(ムチミヤ)、コンドル(ジュー・ジャンティン)らを擁する国際的な特殊護衛部隊。ロンドンで誘拐された依頼人を救出した後、アフリカでは激流の川で戦い、中東では厳重に警備された砦に侵入、ドバイでは激しいカーチェイスを繰り広げ、やがてヴァンガードは巨大な陰謀の存在に気付く。 <引用:映画『プロジェクトV』公式サイト

説明するまでもなく「中国映画」である。いまだに成龍を説明する際に「香港のアクションスター」とか「香港映画のスター」という「肩書」が付くが、「中国のアクションスター」「中国映画のスター」となって久しい。共産党の行事や式典などにも必ず出席しているしねぇ。いや、それは別に悪いことではないと思う。香港とは決別した人なんだと思えば腹も立たない。だからと言って「中国で香港の悪口は言うなよ!」と。それでも、香港映画に一時代、それも非常に大きな時代を築いた映画人であるには違いなく、そこの部分は永遠にリスペクトされるべきだと思う。

今年で67歳(撮影時は65歳)のジャッキーに、昔のようなキレッキレの功夫アクションをやれとは言えない。それでも今作でも「もうやめときなはれ!」と言ってあげたいくらい、体を張って動いていた。そこは偉いなぁ~、さすがやなぁ~と思う。周りは次世代の華語片(中国語映画)のアクションスター候補ばかり。彼ら彼女らを動かせながら、自らも「ここ」という場面で若い連中以上のものを見せる。泣けるね、なんか…。特に、アフリカの激流シーンは滝から落ちるかもしれないという危険な状況でのギリギリの撮影。相変わらずの「命を張って」のアクションでドキドキさせてくれた。

ジェットスキーも乗り回せる65歳!この後、危機一髪のシーンが!

ストーリー的には、これというものは何も感じず。唐季禮(スタンリー・トン)とのコンビは久々なので期待もしたが、唐季禮ももはや過去の人なのか…、と思わざるを得ない。中国作品なので予算は潤沢。ってことで、撮影地は台湾、ロンドン、アフリカ、中東、ドバイと飛び回った割には、「それで?」という感じにしかならないのが残念。やはり、このコンビの作品で『警察故事III: 超級警察(邦題:ポリス・ストーリー3)』を超えるものは無いなぁと。

それでもこの映画が、なんとか観るに堪えたのは、ジャッキーを取り巻く若い俳優陣の活躍あってのことだろう。特にヴァンガードの若手メンバーでチームリーダーの一人、張凱旋を演じた楊洋(ヤン・ヤン)、現場チーム唯一の女性、弥雅を演じた母其彌雅(ムチミヤ)、事件にかかわる人物でアフリカの野生動物保護活動家、Fareedaを演じた徐若晗(シュ・ルオハン)の3人が光る。いずれも日本ではほとんど無名に近い存在かと思うが、売り方次第で今後、人気が出る可能性が十分ある。まあ「売り方」の前に、もっともっと中国映画が公開されることが先なんだが…。

小生は母其彌雅(ムチミヤ)と徐若晗(シュ・ルオハン)のどちらも好み(笑)。母其彌雅は名は体を表すのごとく、ムチでシバきそうな「強い女」って感じがすこぶるよろしい(笑)。こういう人、大好き。徐若晗はちょっと勝気な表情がよくて、なるほど野生動物の保護活動しそうな感じの女子。密林の木の上に暮らし、野生のライオンとも子犬相手のようにじゃれ合う(笑)。

よいです!ムチミヤ!
いかにも中国好男子という感じのヤン・ヤン

体育会系揃いのヴァンガードにあって、一人だけひょろこい兄ちゃんがおるなあと思ってたら朱正延(ジュー・ジャンティン)だった。中国の女子たちに超人気の「アイドル育成番組」で勝ち抜いて、トップアイドルの座を勝ち取った男子。この男子のことはどこかで耳にした記憶があるので、「ああ、こいつか」と。ひょろこいから地上戦には参加せず、ドローンみたいなのに乗って空中から銃撃する。

まあ、ジャッキーがこうした将来性のある若い俳優を紹介する映画、という意味もあるのかもね。これが大陸でも米国でも空前の大ヒットというのだから、ほんと世界は広い(笑)。と、言いながら、平日にもかかわらず「おお!」ってくらい客入ってて、びっくりするやら感動するやら…(笑)。

エンドロールは、ジャッキー作品恒例のNG映像のおまけ。これは譲れないようですな(笑)。

【受賞ノミネート】

第12届金扫帚奖=第12回がっかり映画大賞
最も失望した作品 (ノミネート)
最も失望した脚本:唐季禮(スタンリー・トン)(ノミネート)

納得のノミネートだが、なんとかそこはノミネート止まりでよかったね(笑)。

Vanguard (2020) 急先锋 – Movie Trailer – Far East Films

(令和3年6月3日 TOHOシネマズなんば別館)


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