【睇戲】『昨日からの少女』(越題=Cô gái đến từ hôm qua)<日本プレミア上映>

第13回大阪アジアン映画祭
特集企画《ニューアクション! サウスイースト》

『昨日からの少女』<日本プレミア上映>
(越題=Cô gái đến từ hôm qua)


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今回、最初で最後のベトナム作品鑑賞となったのは、『昨日からの少女』という映画。監督がファン・ザー・ニャット・リン。一昨年観た『ベトナムの怪しい彼女』の監督だ。
同作で遅ればせながら、ベトナム映画デビューを果たした小生だが、その後は機会に恵まれていない。多分、いっぱい見逃しているんだとは思うが。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

Cô_gái_đến_từ_hôm_qua_Poster越題 『Cô gái đến từ hôm qua』
英題 The Girl from Yesterday
邦題 『昨日からの少女』
製作年 2017年
製作地 ベトナム
言語 ベトナム語
評価 ★★★★(★5つで満点 ☆は0.5点)

Đạo diễn(監督):Phan Gia Nhật Linh(ファン・ザー・ニャット・リン)

Diễn viên(出演):Ngô Kiến Huy(ゴー・キエン・フイ)、Miu Lê(ミウ・レ)、Hoàng Yến Chibi(ホアン・イエン・チビ)、Jun Phạm(ジュン・ファム)、Lê Hạ Anh(レ・ハー・アィン)

キュンキュンする良い映画だった。
主演は、やはり『ベトナムの怪しい彼女』で主演したミウ・レとゴー・キエン・フイの二人。この人選について、ファン・ザー・ニャット・リン監督は上映後の質疑応答で、「最初の考えは、まったく新しい顔ぶれでというものだったが、なかなか『これ!』という人材に行き当たらず、二人に少し演じてもらい「ああ、やっぱ、この二人だな』ということに落ち着いた」と語っていた。結果的によかったなあと思う。
で、ミウ・レは、「ああ、あの子だ」とすぐわかったけど、ゴー・キエン・フイは言われてみて、「あ、そう言えば」という感じだった。ちょっと太ったのかな?

舞台は1997年のベトナム南部の田舎町。
1997年と言えば、先日観た台湾映画『私を月に連れてって』も同様だが、こちらの情景はもっともっと昔に見える。台北と比べるな、ってハナシではあるが(笑)。

1998年に出版された原作本が描いたのは、1978年から1988年の話だという。
映画化にあたって監督は「自分が高校生だった時代に設定をずらした」と話す。「インターネットより前のラブストーリーを描きたかった」ということもあるらしい。
この辺は『私を月に連れてって』や、一昨年観た『王家欣 ウォン・カーヤン』、『私の少女時代』に通底するものがあるんじゃないかな。


落ちこぼれ高三男子が、美人転校生にあれこれアプローチしてゆくが上手くいかず…。彼の幼いころの「恋のトラウマ」が、いつも脳裏をよぎる…。で、実は…。という展開はある意味「ベタ」なんだが、かわいい子役の名演技もあって、子供時代の別れのシーンは胸に響く。だれでも一度は経験するだろう、幼いころの淡い恋と悲しい別れ…。おじちゃんは鼻の奥がツンツンしてしもたわいな。そして、成長した二人がこの映画のように、再会できればどんなけ小生の人生もドラマチックであったか…。ま、そこは置いといて(笑)。

この二人の子役が、ホンマよかった!

時に、アニメやCGも使って、ベトナム映画が意外にも大胆なことをやっていることに、「おお~!」と感心するやら「あざといわ~、なんじゃらほい」と斜に構えたりするやら、物語以外の部分でも見どころがあった。

前回来阪時同様、ひとつひとつの質問に丁寧に答えるファン・ザー・ニャット・リン監督

いくつかの作品は、高い評価を得て日本でも公開されてきたが、まだまだ認知度の低いベトナム映画。監督も願望を語っていたが、映画祭なんかで上映機会が増えればうれしい。と言いながら、今回、もう1本ベトナム作品が出ていたのだが、どうしても時間がとれなかったのが残念だった。
この作品もそうだったが、風景が日本人の心をキャッチするものがある。おそらく緑の水田の風景がそうさせるのだと思う。伝統衣装アオザイも日本人は男女ともに好きな人が多いし。あとはプロモーションか。そこやな、まずは。

Phim chiếu rạp “CÔ GÁI ĐẾN TỪ HÔM QUA” Official Trailer

(平成30年3月17日 シネ・リーブル梅田)


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