【睇戲】「短編3本」

tirasiこれまで見逃してきているが、大阪アジアン映画祭では、インディー作品を中心に短編作品のラインナップも非常に充実している。小生の場合、どうしても香港をはじめとした華語片に偏ってしまうので(それでも予定がびっしり詰まってしまう!)、申し訳ないが、ここまで手が回らないのが実情。たまたま今回は、三本立ての内、二本が台湾映画だったので、これは絶好の機会とばかりに、時間を作った。「電影2018」で『追跡』を観て、上映後のゲストコーナーの途中で梅田ブルクを出て、速攻でシネ・リーブル梅田へ向かうという、なかなかの強行軍。階段を上がったり下がったり、50歳代半ばの人間には、ホンマきつい移動である…。

第13回大阪アジアン映画祭
特集企画《台湾:電影ルネッサンス2018》
インディ・フォーラム部門

『パープルな日々』<日本プレミア上映>
台題『紫色紐約』 英題『Purple Days』
制作年:2017年 制作地:台湾・米国 言語:日本語
評価:★★★(★5つで満点 ☆は0.5点)
導演(監督):曾駿堯(ケヴィン・CY・ツェン)
出演:斉川蘭子、清水周平

台湾人の監督が米国で撮った、日本人のNY生活という21分の不思議な短編作品。一応、この映画祭では「台湾映画」に分類されてはいるが、ある意味、無国籍映画。
何か特別なメッセージを発しているわけでもないが、知らぬうちに引き込まれていた。小生自身が、15年近く海外生活を送っていたこともあるからだと思うが、「帰国する人」「残る人」の微妙な心動きが手に取るようにわかった。
小生が観た回の上映後、出演したジャズシンガーの清水周平さんが登場。「(リアルと演技の)線引きは難しいですね~」と言う。いや、あれは演技では無理でしょう。実際に、ほぼノンフィクションで、役柄同様、彼は歌手で斉川蘭子さんは美容師だとのこと。劇中、口論になる場面があったが、「僕は、いたって温厚ですから、怒るということに苦労しました。蘭子さんとは普段から仲のいい友達やから、あの口論の場面は監督の腕ですね」とは、またまたご謙遜を!


『亮亮と噴子』<日本プレミア上映>
台題『亮亮與噴子』 英題Babe’s Not Alone
制作年:2016年 制作地:台湾 言語:標準中国語
評価:★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)
導演(監督):李宜珊(リー・イーシャン)
出演:李雪(エンジェル・リー)、陳彥希(チェン・イェンシー)、劉引商(リウ・インシャン)、吳宏修(ウー・ホンシウ)

昨年の金馬奨で最優秀短編賞を獲得した、堂々の30分は圧倒されっぱなっしのひととき。
18歳の誕生日なのに、放蕩者の兄の元カノの乳呑児「噴子」の子守を押しつけられ、家族を助けるためにエビ釣堀(実はエロいサービスもあり)で働き、「赤子は迷惑する」と責められるわと踏んだり蹴ったりな「十八歲正值青春年華的亮亮」。無言でいることで、周囲への反抗心を表現する。と言っても、そこには暗く沈んだ表情はなくユーモラスに物語が展開してゆく様に、観る者の心もカラッと晴れてくると言う感じで、観客に代わってうっぷん晴らしをしてくれているような感じなのがいい。
主演の李雪(エンジェル・リー)のむっちりボディとすっぴん顔も、愛嬌たっぷりでよろしゅうございました。最後に、そんな憤懣やるかたない日々を送る彼女に、「生日快楽!」と誕生日祝いの言葉をかけてくれたおばあさん、超ベテラン女優の劉引商(リウ・インシャン)の一言が、びしっと映画を締めくくる。


『夜間勤務』<日本プレミア上映>
韓題『야간근무』 英題『Night Working』
制作年:2017年 制作地:韓国 制作地:韓国語
評価:★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)
監督:김정은(キム・ジョンウン)
出演:キム・イェウン、ウォンニ・スレン

カンボジアから韓国へ来て4年のリン、韓国女性ヨニが主人公。韓国では、外国人労働者を描いた作品が増えていると言う。『パープルな日々』とは角度が違えども、この作品もまた、海外で暮らすということを描いている。世界各地の人々が、自国で生きることにこだわらず、海外へ飛び出して自分の可能性を見つけたりしてゆく。この作品の二人の主人公もそう。韓国人のヨニは、会社を辞めてオーストラリアへワーキングホリデーに旅立つ。そしてカンボジア人のリンは、遠く離れた韓国で、母親のことを思いながら工場勤務を続ける…。サイン会の時に、監督にも伝えたのだが、いくつかの問題提起があり、そこは人それぞれ考え方や受け取り方が違うだろうけど、全体として優しい思いの伝わる映画だった。
ちなみに映画に出ていたカンボジア人の女性は、「7年前に韓国に来られ、結婚もされています。彼女には大統領や映画俳優になりたいなど大きな夢があります」とのことだった。

(平成30年3月11日 シネ・リーブル梅田)



 


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