【上方芸能な日々 落語】繁昌亭昼席公演第319週*旧ブログ

11月1日は、久々に落語漬けの一日と相成りました。
そもそも、この昼席に行くつもりはなかったのだけど、ひょんなきっかけでチケットが手に入り、持病の方もなんとなく落ち着いているので、「ほなら」ということで、夜席の「吉坊ノ会」と連チャンであります。

天満天神繁昌亭
昼席公演
第319週
1979565

<ネタ帳>
桂三幸 「みかん屋」
桂雀五郎 「始末の極意」
桂坊枝 「不動坊」
旭堂南湖 「さやま遊園」
明石家のんき 「饅頭こわい」
笑福亭鶴志 「千早ふる」
中入り
笑福亭鶴笑 鶴笑ワールド「立体西遊記」
森乃福郎 「手水廻し」
笑福亭由瓶 「おごろもち盗人」
桂福団治 「住吉駕籠」

*赤字は「色もん」=落語以外の芸

このラインナップを3時間ちょいでやるのだから、当然、前の方の出演者は時間が限られてくる。そういう見方をすると、三幸はちょっと時間超過、一方で雀五郎は手短にまとまりすぎた感もあり。そこらの配分、難しそう。
坊枝は、先の二人に較べれば、これはキャリアの差が歴然で、余裕綽々の「不動坊」。客席の笑いの波打ち方も全く違ってきます。前の二人が「ゼニ、カネ」関係のネタできて、ここで「不動坊」、そしてお次の講談師につなぐのは、偶然か、はたまた、坊枝の計算か…。いずれにしろ、流れは良い。
講談で南湖。ド派手なアロハシャツのような着物で登場。ネタは、超軽く「さやま遊園」。なかなか昼席の客層にポンポンと本格派の講談を聴かせる、ってのは難しいでしょうね。そこは「色もん」の分をわきまえたネタで、というところでしょうか。実力派だけにもったいない気がします。
明石家のんきは、最近、協会入りいたらしく、昼席登場はこの週が初めてと聞いています。知ってる人はよく知ってると思いますが、笑福亭松之助の息子であり、さんまの弟弟子であります。語り口調の端々に松之助師匠を彷彿とさせるものがあります。話半ばで下がったのは、甚だ消化不良。
中トリはますます恰幅がよくなった鶴志。「千早ふる」をなんなくこなします。ここも余裕の高座。ただ、もうちょっと起伏が欲しかったかも。そんなに起伏に富んだネタではないにせよ、そこは鶴志レベルには、ちょっとメリハリ欲しかった。
鶴笑は、小生が香港住まいをしている頃、シンガポールに腰を据えて活躍していましたので、親近感があります。なんとか海外の人にも落語の面白さを伝えたいと始めたのが、パペット落語。それだけに単純に面白い、まさに誰でもわかる落語のカタチを作り上げたと思います。これ、相当体力いりますよ。歌舞伎の所作がふんだんに入る芝居噺もずいぶん体力使いますが、それ以上かも。この日、一番の笑いを誘っていたのは言うまでもありません。
続く福郎は、はんなりと京都の落ち着きで。「手水廻し」も実に色んな人がやりますが、ここらのベテランクラスがやると、また格別。さらっとやって、なおかつ印象深く…。そしてさらっとサゲで、前の立体落語のざわめきを鎮めます。
由瓶「おごろもち盗人」。「おごろもち」とは、古い大阪の言葉で「もぐら」のこと。なんていうのは、この落語に出会って知った知識。こういう「出会い」が古典芸能鑑賞の楽しみの一つであります。
トリは大ベテラン福団治師匠。この日一番のお目当てでございます。
師の「住吉駕籠」はもう何度も聴いてきましたが、何べん聴いても飽きませんし、幕が下りて、今すぐもう一遍聴かせてくれても、それでも飽きませんし、そのためだけにお金払っても文句言わんどころか、ありがたがっちゃいます。
ここのところ、師とのランデブーは、しんみりした「藪入り」が続いていたので、久々に「住吉駕籠」をやる師に出会えて、ラッキーでした。

全体に、見たい人、聴きたい人、好きな人が揃っていて、番組としては充分に堪能できました。
一方で、客席が気になって仕方なかったのも事実。

木曜の昼間なので、客入りが半分あるかないかなのは仕方ないとして、終始、スーパーの買い物袋をガサゴソさせてるおばはんには参りました。何度かメンチ斬ったんですがねぇ…。見れば、何入れてるのか知らんけど、パンパンに膨れ上がったスーパーの袋、両手に3つも4つも持って…。隣何席も空いてるんやからそこに置けばええのに…。わからんねんなぁ、こういうんが。
また、後方ではおっさん二人の会話がず~~~~っと続いてたりと…。
まあ、こんな感じが常態であるんなら、あんまり昼席には来たくはないというのが、実際のところ。

出演の噺家さんらのご丁寧なるお見送りを受け、繁昌亭をひとまず離れ、天神橋筋商店街でちょいと腹ごしらえなどして、夜席「吉坊ノ会」の開演を待ちます…。


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