【上方芸能な日々 文楽】源大夫、藤蔵 襲名披露*旧ブログ

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桜満開の大阪日本橋は国立文楽劇場。
待望の4月公演が4月2日より始まっております。

今公演、何と言っても、竹本綱大夫改め九代竹本源大夫、鶴澤清二郎改め二代鶴澤藤蔵襲名に尽きるでありましょう。
満開の桜に真新しい幟が映えます。

襲名披露口上が行われます第一部を見てまいりました。

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襲名披露口上は、『源平布引滝』の「糸つむぎの段」の前に行われました。
住大夫、寛治、清治、文雀の各人間国宝を従えた口上は、そのメンバーだけでも豪華絢爛。
でもそこは上方の文楽。清治師匠は訥々とした口上に少しばかりのおかしみも交え、満員の観客をなごませる場面も。
文楽の襲名口上は本人はしゃべりませんから、襲名したお二人の口上は聞けません。しかし、もうテレビや新聞、さらには公演パンフレットで数多くのインタビューを受けられていますから、お二人の思うところは、観客はよくわかっていたことかと思います。

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綱大夫という、大きな名前からご自身の祖父も名乗った源大夫という、これまた大きな名前を名乗る、九代源大夫。
その子息で、自身の祖父、九代源大夫の父の名、藤蔵を名乗ることになった清二郎改め二代藤蔵。
親子で襲名という、誠に喜ばしい襲名であります。

人間国宝・源大夫師匠は、綱大夫を名乗る前の織大夫時代から、「ごっついおっちゃんやな~」という印象でして、実際、重厚な語りで聴く者をぐいぐいと義太夫の世界に引っ張り込んでゆく方。
一方の藤蔵さん、小生と年齢が近いこともあり、ずっと気にかけていた三味線弾きさんの一人。若くして父君の切場語りの合い三味線に抜擢され、悩んだ時期もあったと聞きますが、若手のリーダー格として存在感がここ数年でぐっと増したと思われます。
生きる道は違えど、やはり、同年代の人の活躍は気になるし、刺激になります。お見送りに立っていた藤蔵師に「おめでとうございます!」と声をかけたのは言うまでもありません。シャイな方が多い文楽の客筋ですが、せっかく出てきてくれてるんやから、声かけてあげましょう。

そうそう、観劇前に、両師の近著『文楽の家』をざっと流し読みしました。
世襲制でなく実力主義の文楽において、四代にわたって大夫・三味線を交互につないできた家ならではのエピソードの数々。こういう背景を知って見ると舞台がまた一層楽しく、また興味深くなるものです。

源大夫師匠は、公演前に手術をされたため、口上のみ出演、床は休演となりましたが、順調な回復とのこと。藤蔵師と勤める予定だった「実盛物語の段」を英大夫が見事に代演、藤蔵師は約一時間の長丁場をびしっと弾いてはりました。
さて、幕間では文楽座技芸員が募金箱を持ってロビーに立って、震災支援の義捐金を募っておりました。
住さんが先頭に立って大きな声で募金を呼びかけてはりましたが、そんな人間国宝に思わず胸アツ。

今回はいわゆる「劇評」はなし。
公演期間中、まだ何回か行くと思いますので、それはそのときにしましょう。

まずは何をもちましても、九代竹本源大夫、二代鶴澤藤蔵のご襲名をお祝い申し上げる次第であります。


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