【民陣の黄昏】「大型デモの寵児」、終焉に向かう

<アイキャッチ画像:2019818日、民陣はビクトリア公園で集会を開催。「警察の暴力の即時停止と五大訴求の実現」を訴えた。続々と集まった市民は皆、黒い服を着用。突然の大雨に色とりどりの傘の花が開いた瞬間。民陣が最も輝いていた頃だ。(端傳媒)>


香港教育專業人員協會(教協)の解散宣言に引き続き、200371日の「50万人デモ」で、一躍世界にその名を知られることになった民主派組織の民間人權陣線(民陣)も、黄昏時を迎えたようだ。今日812日付の各紙は、13日にも民陣が解散を発表する模様であることを伝えている。今年で創設から19年の「大型デモの寵児」も、国安法の前に、いよいよ先が見えてきた。

今年3月に、特区政府が民陣の取り締まりに意欲を見せているとの憶測が出て以来、民主党街工香港民主民生協進會(民協)公民党新民主同盟など、民陣を構成する多くの民主派政党や民主派組織が脱退した。民陣という組織は、元々、各政党や団体が個別に開催していたデモなどの抗議行動を一まとめで行うことで、より多くの動員をかけて、政府への圧力を強化しようという、いわば「抗議の民主派連合艦隊」のようなもんで、リーダーの岑子杰(ジミー・シャム)ら若いメンバーでその連合艦隊を仕切っている。なもんで、構成する各団体が次々と去ってしまうと、民陣そのものは、たちまち弱体化してしまう。それに伴う資金の問題もあるやろうしねぇ。

4月には警察は民陣が「社團條例」に違反していると指摘。設立以来の収入源、支出、銀行と口座番号などを調査している。民陣に対して、設立以来の収入と支出、銀行と口座番号などの6つの情報を書面で社団事務主任に提供するよう要請するも、回答無し。そらまあそうやろう。そんなん答えたら、あっちこっちに火の粉が飛ぶし、そもそも、この集団がなぜ活動できているのかに関して、やっぱり金の出処ってのに大いなる疑問を抱く。そこはマネロンも含め、きれいな金ばかりではないだろう。

2019年「七一」遊行で、メディア取材を受ける当時の召集人、岑子杰(ジミー・シャム)。表情からも、調子ぶっこいてたのがよくわかる。まさか2年後は囚人になってるとは想像もしてなかっただろうよ by “香港01”
by “香港01”

上の写真は「逃亡犯条例」に抗議する「反送中」もたけなわな2019年7月1日、53万人が繰り出したデモ。デモ自体はは平和裏に終わるも、一方では、立法会ビル襲撃からの議場占拠など、暴力や破壊による行動が頻繁に起きるようなっていた。一連の暴力破壊活動は、民陣によるものではないとは言え、そのきっかけとなる大規模デモを何度も開催した民陣の罪は大きいと思う。ま、いずれ何らかの鉄槌が下ろされるとは思ってはいたけどな…。

小生が民陣の存在をはっきりと認識したのは、やっぱり2003年7月1日の50万人デモである。在住中だった小生、あの真っただ中にいて、「なんかすごい場面にいるな」というのは感じたものだ。「これだけの大型ウォーキングイベントを動かすなんて、相当名うてのイベントプランナーの仕業やな」なんて思っていたら、民陣なる民主派政党や団体をデモでまとめる集団がおるねんでぇ~ってことを知るわけで。以降、民陣は毎年7月1日の回帰記念日の「七一大遊行」、新暦1月1日の「元旦大遊行」と定期的に大型デモを挙行するようになる。「せっかくの祭日に、なんもデモに行かんでも…」と大勢の参加者を嘲笑しつつ、小生もカメラ首からぶら下げて、デモ現場をうろちょろしていたのであった(笑)。

ああ、そう言えば、2003年7月1日のデモは「公安条例」と言われる香港基本法第23条の立法化が採り沙汰されたことに反発するものだったが、先にもっと強烈な「国安法」が施行されてしまったわな。なんか歴史のいたずらみたいなもんを感じるなぁ…。

2003年7月1日、民陣は50万人がデモに参加したと発表した by “香港01”

翌年の7月1日も、民陣はデモを実行。テーマは「爭取07、08雙普選」。2007年の行政長官選挙と2008年立法会選挙の双方で、全面普通選挙の実現を訴えた。この時も小生はデモの真っただ中で写真を撮りまくっていたんだが、ぞろぞろ歩いている分には53万人を実感することはなかったが、いざ、歩道橋の上から眺めると、壮観そのものだった。思い起こせば、この当時はもっぱら全面普通選挙実現というのが、特区政府への抗議の主体だった。

2004年7月1日のデモ。もっとも人でごった返したのは、銅鑼灣(Causeway Bay)から灣仔(Wan Chai)だったらしく、この写真の撮られた金鐘(Admiralty)まで来ると、さすがに隙間だらけになっている by “香港01”

召集人の岑子杰(ジミー・シャム)が牢屋の中にいるんで、臨時召集人の鍾松輝が実質、今の代表者なんだが、若い集団と思っていた民陣のイメージを覆す、なんだか覇気のないおっさんでちょっと笑った(笑)。

で、このおっさん、一連の解散報道に関しては、一切「ノーコメント」を貫く。ま、これだけ香港のメディアが一斉に「明日、解散するみたいやでぇ~」って報じているってことは、解散は十中八九間違いのないところだろうが、今日の時点ではそう言うしかないわな。すべては明日になればわかること。『蘋果日報』が廃刊となり、教協も解散するという今日この頃、民陣が解散したところで、何の驚きもないが、どいつもこいつも、案外脆いもんだなぁと感じることしきりである。


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