【教協の黄昏】新華社、人民日報が教協批判を展開

アイキャッチ画像:2019年8月17日、反送中が転じた「反警察」の風潮の中、教員らが「守護下一代、為良知發聲(次世代を守るため、良知の声を上げよう)」デモを土砂降りの中で実施した。こういうのを新華社や『人民日報』は「反中乱港行為」として見逃していなかったってことだな(端傳媒)>


どっかの民主派組織がデモを挙行した際、先頭グループを行く集団と言えば、香港市民支援愛國民主運動聯合會(支連会)、民主党、そして香港教育専業人員協會(教協)ってのが相場だった。そりゃもう、逃亡犯条例に反対する「反送中」から天安門事件抗議の「六四デモ」、普通選挙実現を訴えるデモ、果ては尖閣領有をめぐる反日デモまで、デモのあるところには必ず存在するという、民主派の一大勢力である。香港の教職員の多くが加盟する組織で、本来は教職員の労組なんだが、実態は民主派の「政治結社」みたいな存在になっている。まあ、日教組みたいなもんか。ってことは、統治する側からすれば、煙たい存在、目障りな存在なのは言うまでもないところで、国安法の施行以降「いつかはやられるやろな」って思ってたら、いよいよ来た。

民主派デモのポジショニングはいつもバッチリの教協 by “香港01”

新華社と『人民日報』は7月31日、それぞれで教協批判の論説を発表した。もうねえ、この二つが発表するってことは「政府がそう決めましたよ~ん」ってことよ。だからもう、教協としては道は一つしかないってことだ。

新華社は「香港教育要正本清源必須鏟除『教協』這顆毒瘤=香港の教育を正すため『教協』というガンを取り除くべし」なる論説を発表した。「国安法が威力を発揮するにつれて、多くの反中乱港組織が倒れ、一部のメンバーは組織を脱退することで保身を図っている」と指摘。「教協は民間人權陣線(民陣)と支連会から脱退したとは言え、この3組織には人員、組織、資金、利害関係で複雑な絡みが存在しており、緊密な連携を解消することは不可能なため、香港の教育を正しい軌道に戻すためには教協を徹底的に調査する必要がある」と言う。また「教協の実際の運営は、早くから労組の趣旨を逸脱して政治組織と化しており、乱港勢力に協力し立法会での議事妨害、国民教育反対運動、中環占拠行動、逃亡犯条例改正反対デモなどの社会事件において、教師や学生の授業ボイコットを奨励した」と非難。逃亡犯条例の改正反対デモで学生に犯罪を教唆した教師を擁護した責任は免れないと言及している。それはもう、本当にそう。「反送中」デモのみならず、デモに中高生を動員するのは「どうかしてるよな~」って思ったものだ。

新華社通信WEB版から

また『人民日報』も、授業ボイコットの扇動や「香港独立教材」を作成し、暴力を奨励する書籍を販売したと批判している。これまでの教協なら、こんなこと言われようものなら猛烈に反論して、『蘋果日報』や民陣に煽らせて即座にデモを企てていただろう。しかしそこは国安法の威力絶大で、なす術無しの状態である。一応、「何をおっしゃる、我々は終始一貫して『香港独立』には反対してきたし、生徒を扇動したりなんかしてませんよ!」と反論はしているが、その声はどこにも届かない。市民だって知ってるよ、「いやいや、やってたやん盛大に!」って(笑)。

さて、この「二大『党の口舌』」からの糾弾とも言うべき批判を受けた教協だが、これに呼応と言うか、「筋書できてたやろ!」と言うか、特区政府教育局は7月31日、教協との協力関係を全面的に打ち切ると発表。以降、教協を教育のプロフェッショナル団体とはみなさず、教協の教師専業カリキュラムも承認しないとのこと。今後は教育問題について教協から意見を聴取することもないと。教協会長の馮偉華教育統籌委員會のメンバーから外されるんじゃなかろうかと、香港のメディアは見込んでいる。

2018年月、教協成立45周年パーティーで祝辞を述べる林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官。つかの間の雪解けだった

政府は「教協は教師の労組だと言いながら、近年の言論と行為は政治団体と変わらない。これまで民陣と支連会に積極的に参加していただけでなく、教師の授業ボイコットを推進し、学校内に政治を浸透させ、暴力・違法行為に参加した教師・学生を指導しなかった」と批判している。教協は当局の決定に対して失望と遺憾を表明し、引き続き教師の労組として続ける意向を示しているが、さあ、どうだろうね。最初に記したように、もはや残された道は一つしかないと思うんだけど…。

この「教協潰し作戦」は、やっぱりあれかね、12月の立法会選挙の民主派議席阻止への布石なのかね?職能枠(業界団体枠)で教育界は教協の頑張りもあって、民主派が議席を守ってきているから、その対策かな?そんなことしなくても、建制派が圧勝すると思うけどなあ。ま、あとは、いつ、どんな形で「解散宣言」するかだな。

創設者の司徒華、あの世できっと泣いてるで。支連会もいつ何時同じ憂き目に遭うかもわからんし…。

あの世で華叔は今、何を思う…。設立当時かな、華叔、随分と若いね by “香港01”

重慶大厦百景』 河畑 悠 (著)

人はなぜ、この場所に惹きつけられるのか? “香港の異境”重慶大厦。外観、内部、働く人々、夜の姿、旅人、屋上…。その全貌を撮らえた写真集。


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