【睇戲】愛・殺(台題:愛・殺)<日本プレミア上映>

第16回大阪アジアン映画祭

早くも最終日となった大阪アジアン映画祭。この日は朝っぱらから3本を観る。まあ、例年よりは楽なスケジューリングよ、最終日にしては(笑)。シネ・リーブル梅田では、ほぼ同じ時間帯に台湾映画『愛・殺』と話題の邦画『いとみち』がバッティング。最後までどっちを観るか悩んだが、『いとみち』はすでに全国公開が決まっているし、一方の『愛・殺』なんてこの日限りで日本で観ることはできない可能性が高いし、ならばこっちだわな、と結局「華語片」をチョイス。ま、しゃーないか(笑)。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

特集企画《台湾:電影クラシックス、そして現在》
愛・殺 台題:愛・殺 <日本プレミア上映>

台題『愛・殺』 英題『Wrath of Desire』
邦題『愛・殺』
公開年 2021年 製作地 台湾
言語 標準中国語
評価 ★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):周美玲(ゼロ・チョウ)

領銜主演(主演):陽靚(ピース・ヤン)、翁嘉薇(ウォン・チアウェイ)、徐宇霆(シュー・ユーティン)
主演(出演):黃尚禾(ホァン・シャンホー)、陳俋君(チェン・イーチュン)

一言で言えば、「通路挟んで向かい側のシアターで『いとみち』観るべきだった…」ってところだ。これで周美玲(ゼロ・チョウ)に大いなる肩透かしを食らったのは2回目だ。最初は現地台湾でも大コケにコケた『花様~たゆたう想い~』(台題=花漾)以来、8年ぶりの肩透かしだ。まあ「肩透かし」と言うのとは、ちょっと違うかもな…。それほど期待していたわけでもなく、ただ「華語片」だからって理由だけで選んだこっちも悪いんだから…。に、してもだ…。

【作品概要】

検察官のイージエ(ウォン・チアウェイ)は一夜の過ちで、過失致死事件の被疑者シャオフォン(ピース・ヤン)と体の関係を持ってしまう。シャオフォンは起訴され懲役刑を宣告されるが、刑務所からイージエに手紙を書き続ける。しかし、信心深いカトリック教徒のイージエは罪の意識にとらわれ、シャオフォンを忘れようと、モンイェ(シュー・ユーティン)という若い男性と結婚。シャオフォンが出所した時、3人はいびつな三角関係に陥っていく。<引用:大阪アジアン映画祭作品紹介ページ

色々と倒錯していて何を言いたいのか、さっぱりわからん(笑)。もっとも、好きな人は好きなんだろう。客席もかなり埋まっていたし、そこは久々の周美玲作品ってことで期待値も高かったんだろうと思う。でも、小生には無理だった。何をどうせよと言うのだ…。すっとそんな感じでスクリーンに向かっていた。現地台湾ではこの5日後、3月19日から一般公開だという本作。色々とメディアを賑わしているが、さあ、興行成績はどうなるんでしょうな。

だって、いきなりこんなシーンから始まるんですぜ。もうその時点で「今から『いとみち』に行ってもいいですか?」ってなったわいな(笑)。でもそれは一旦、観ると決めた作品には失礼だし、この先どんな展開があるのかわからないから、118分間おとなしく観ていたわけだが(笑)。

周美玲はオープンリー・レズビアンの映画監督として有名なんで、ある程度、この展開は予想はしていた。となると、これはもう相性の問題。周美玲との相性、クィア映画と言われるジャンルとの相性。ま、そんなもんですよ。

さて、個人的にはこれという見どころも見いだせないままに終わったんだが、個々の出演陣はなかなかの力演、怪演ぶりでそこは大いに評価してあげたい。

何と言っても杜小鳳(シャオフォン)を演じた陽靚(ピース・ヤン)。多分、日本では初お目見えのはず。ハスキーヴォイスと少年のような風貌に、役への熱意が感じられる好演。

この「男っぷり」で翁嘉薇(ウォン・チアウェイ)演じる検察官のイージエの内側にあった欲望を抉り出し、刑務所内では孤高を決めつつも女囚たちの標的となるなど、性の境界を往来する役柄。一言で言えば「かっこいい」のである。翁嘉薇という女優も小生の手元には何の資料もないのだが、エリート検察官が泥沼に引きずりこまれてゆく苦悩、同時に倒錯してゆく内なるものに戸惑い、目覚め、もがく…。そんなところを熱演。

そして見れば見るほど狩野英孝にそっくりの徐宇霆(シュー・ユーティン)は義理の兄に虐待を受けるモデルのモンティ(孟燁)を怪演。と言っても、彼は子供の時からその虐待を求めているので、なんともねぇ…。彼の資料も手元にない…。ちょこちょこっと調べると、ジェンダーレスモデルってやつだそうで、画像を見るとなかなかのイケメンである。出演のために10キロも減量したという性根の座ったところを見せる。

左のロン毛野郎が、徐宇霆(シュー・ユーティン)。正面から見ると、ホント狩野英孝そっくりなんだから!

そしてラストはまたもやオープニングのような山海塾みたいなwシーンにつながってゆく…。私はどうすりゃよろしいんでしょうか?って感じで、もうねぇ(笑)。この作品は、恐らく事前に監督のインタビューを拝見しても、どうにもならんかったろうなと感じた。ということで、小難しい作品だった。監督自身も「風変わりな映画」って言ってるしね(笑)。

OAFF2021『愛・殺 / Wrath of Desire / 愛‧殺』予告編 Trailer

(令和3年3月14日 シネ・リーブル梅田)



 


コメントを残す