【睇戲】『うちのおバカ社長』(英題=My Stupid Boss) <日本プレミア上映>

第12回大阪アジアン映画祭
特集企画《アジアの失職、求職、労働現場》

『うちのおバカ社長』(英題=My Stupid Boss)

poster

大阪アジアン映画祭では毎年、テーマを絞った企画でアジアの映画を紹介する「特集企画」ってのが、見どころの一つになっているが、今年は「アジアの失職、求職、労働現場」というテーマで6作品が上映される。そのひとつがこの『うちのおバカ社長』。なんとも素敵なタイトルだが、これが「アジアの失職、求職、労働現場」というテーマの作品なのだから、もしかしたらタイトルとは裏腹にめっちゃ重苦しい内容だったら嫌だな~と。そりゃそうだ。月曜日からそんな思重たい映画は見たくないだろう、誰だって。さあ、どないなりますやら…。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

Poster_My_Stupid_Boss_英題 『My Stupid Boss』
邦題 『うちのおバカ社長』
現地公開年 2016年
製作地 インドネシア、マレーシア
言語 インドネシア語、マレー語

評価 ★★★★(★5つで満点 ☆は0.5点)

Sutradara(監督):Upi Avianto(ウピ)

Pemeran(主なキャスト):Bunga Citra Lestari(ブンガ・チトラ・レスタリ)、Reza Rahadian(レザ・ラハディアン)、Alex Abbad(アレックス・アバド)、Bront Palarae(ブロント・パラレ)、Kinwah Chew(チュー・キンワ)

心配は席に着くまでにすっかり解消。そらそうよ。このポスター観たら暗くて重たい作品じゃないってことは一目瞭然。あとはどこまで「おバカ」なシャチョーさんなのか、その降臨を待つだけではないか。

インドネシアからマレーシアはクアラルンプールへ夫・ディカの転勤に同行してきたディアナは、ディカの親友が経営する会社の面接へ。社長秘書に採用されのはよかったが、この社長は、天上天下唯我独尊を地で行くどうにもこうにもなおっさんで、元からいたスタッフも半ば諦めの境地。でも観ていて、なぜか嫌いになれないキャラなんだな…。

で、この現状を打開すべく、ディアナが「蜂起」してスタッフたちも巻き込んで「おバカ社長」に立ち向かう、というストーリーで、重たさはまったくないどころか、終始爆笑の連続。とりわけ、社長役のレザ・ラハディアンの強烈なキャラは、忘れがたい濃さで迫ってくる。インドネシアのトップスターなんだそうだが、いやもう、世界は広いね実に。この作品を観なければこの素晴らしいキャラには出会えなかったわけだから、すっごく得した気分になれた。というのは、帰りの地下鉄谷町線の車内でも、依然としてこの強烈キャラが頭の中を駆け巡っていて、周りの乗客に対してすっごい優越感を感じたというわけで、まあ、それほど笑わせてもらったというわけだ。

で、終盤には「おや?おっさん、実はめっちゃええ奴やん!見直した!」って展開になって、笑うばかりでなくホロッとさせられる。で、ええ奴ついでにスタッフに初めてランチを御馳走するということになって、そこからオチが待ち受けていて…、と最後は何となく想像できる終わり方で。

合作とは言え、インドネシア映画というものは初体験。まったく想像つかない世界だったが、色の使い方というかコーディネートが美しく、東南アジアらしいビビッドな色彩感覚が目を引く。途中でインド映画よろしくみんなで歌って踊るシーンがあって、これも楽しい。筋立て自体も「?」がまったくなく、知らない役者のオンパレードながらも、安心して観られるコメディ。ってことで★4つの高評価。満点にしなかったのは、監督へのさらなる期待をこめてってことで、よろしくひとつ★。素敵な作品でした。

My Stupid Boss | Official Trailer

(平成29年3月6日 梅田ブルク7)



 


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