【慶祝香港特別行政區成立25周年 3】これからの香港は…

アイキャッチ画像:時代廣場(Times Square)の大型ビジョンに映し出された習近平国家主席のスピーチを見る親子。この子は「50年不変」の終わりの時を見ることになるのだろう(端傳媒)>


てなことで、25周年の香港に時を進めましょう。

昨年は、ざわざわと「わけもなく」湧き出てきた群衆に対して銅鑼灣(Causeway Bay)などで警察が警告する場面もあったし、その銅鑼灣では警官襲撃事件が発生、犯人はその場で自殺なんて物騒なこともあった。今年は、国家主席の訪港ということもあって、6月29日からの3日間は一層の厳戒態勢が布かれた。その甲斐もあってか、あるいはCOVID-19の感染を警戒してか、はたまた台風接近の荒天のためもあってか、大きな騒動は起きなかった。毎年7月1日に大型デモを挙行してきた民間人權陣線(民陣)も昨年、解散に追い込まれた。自称「デモ観察家」(笑)の小生にとっては、寂しいことではあるが、そういう時代ではなくなったということだ。

昨年同様に国旗、特区旗の掲揚儀式は、解放軍様式で執り行われた。台風接近で、いつ警報の「八號風球(シグナル8)」が発令されてもおかしくない強風の中、我らが優秀なる香港警察の精鋭陣は、雨にも風にも負けずに立派にこなしておりましたな。ただ、そんな悪天候なので列席の皆さんは大変だった様子。

おばさーーん!スカートめくれてますよーー!!危うし、林鄭月娥(キャリー・ラム) by “香港01”

この後、会場を香港會議展覽中心(Hong Kong Convention and Exhibition Centre)に移し、再度香港入りした習近平国家主席臨席の下、「香港回歸祖國25周年大會暨香港特別行政區第六屆政府就職典禮(回帰25周年記念式典及び特区政府第6期閣僚就任式)」が執り行われた。

まず、李家超(ジョン・リー)行政長官が習主席に行政長官就任の宣誓。次に「3司15局」の長官・局長ら主要官員が揃い、代表して政務官の陳國基(エリック・チャン)が習主席と李長官に宣誓。さらには閣議に相当する第6期の行政会議メンバーが習主席と李長官に宣誓。

習近平国家主席に就任の宣誓をする李家超(ジョン・リー)行政長官
主要官員の宣誓
住宅問題の解消、COVID-19の流行の抑制なんかを必死でやります! by “香港01”

昨年の式典では、中共建党100周年記念式典で不在だった林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の代行で、壇上でスピーチをしたのが当時、政府ナンバー2の政務官だった李家超。小生、「来年3月に予定されている次期行政長官選挙だが、この人。立候補するかもしれないよ、とはもっぱらのウワサである。」と記し、キャプションでも「来年も私、ここに立ってますよ、ウフフ』と思ってたりして(笑)」って記したけど、夢が実現してよかったね、李さん(笑)。

続いて習主席が重要講話を発表。「4個必須和4點希望(4つの必須と4つの希望)」を提示した。ちあきなおみじゃあるまいし(笑)。ま、お古い歌手のハナシはさておき…。

by ”香港01”

《4個必須》
1)一国両制の方針を全面かつ正確に貫徹するべし
2)中央の全面的統治権堅持と特区の高度な自治権保障は同等であるべし
3)「愛国者治港」を実現するべし
4)香港の独特の地位と優位性を維持するべし

《4個希望》
1)統治水準の向上に努めてね
2)絶えず発展のエネルギーを増強させてね
3)民生問題を効果的に解決してね
4)みんなで融和と安定を守ってね

とまあ、これまでも言ってきたことを改めて「4個必須和4點希望」という形にまとめて、回帰25周年の記念式典の場でしっかりと念押しをしたという塩梅だが、こういう場所で国家主席自ら「講話」として発したということは、中国政府としては「重要講話」なわけで、香港のこれからの道筋が示されたということになる。特に「4個必須」は主権事項がからむ必須事項なだけに、この道を外すようなことがあってはならない、中央は黙ってませんよ、ということになる。ちなみに下記は、『明報』が作成した20周年の際の講話と今回の「4個必須和4點希望」の比較。お暇な方はどうぞ(笑)。相変わらず『明報』は、ええ仕事しはりますな…。

習主席はまた、祖国回帰後を3つのポイントから振り返った。

1)回帰後も香港は変わることなく、国際金融都市、国際貿易都市として祖国の本土と世界各国・地域を結ぶ重要な架け橋、窓口であり続けた云々…。

2)香港はあらゆる風雨や課題を克服し、着実に前進してきた。国際的な金融危機であろうと、新型肺炎の流行であろうと、あるいは激しい社会不安であろうと、香港の進歩を止めるものは何もない云々…。

3)香港同胞は「港人治港」「高度自治」を実践し、香港に真の民主主義をもたらした。過去25年間、憲法と「香港基本法」に基づき、香港の法秩序は確実に機能してきた。「国安法」の制定に加え、選挙制度も改訂され「愛國者治港」の原則が確実に実施されるように改善された云々。

「色々あったけど、概ねうまいことやってくれてる」ってところかな。本心のところはどうなんかわからんけどね…。

さらにこんなことも言ってるねぇー。

一国両制の実践は国益、香港・マカオの利益、香港・マカオの同胞のためのものであり、その基本的な目的は「国家の主権・安全・発展の利益を守り、香港・マカオの長期的繁栄と安定を維持する」ことだと指摘。「一国両制を変更する理由はなく長期的に堅持しなくてはならない」と。「2047年以降の香港の将来についての一部の人々の疑念を和らげた」という見方もあるようだが、実際、そんな先のことまではわからんわな。

まあここらの解釈は、その人の立ち位置によって180度違うものになるな。民主派Loveな一派なら「一国両制なんてとっくの昔に形骸化されてる!」となるし、親中派Loveな一派なら「ほら見ろ!一国両制はこれからも守ってゆくって言ってるじゃないか!」となる。結局ねえ、いつも言うように、こういうのは「一国=中央政府」の解釈が通されるわけですよ。中央がそう言えば、民主派Love一派が何をどう騒ごうと、一向に揺るぎはしないのだ。悲劇かもしれないけど、これこそが「香港返還」というものなのだ。

祖国復帰25年を喜ぶご婦人たち。今年に限らず、7月1日には必ずこの手の一団が現れる。決してメディアの「中国化進む香港」なんて見出しに騙されちゃいけませんよ。返還された時点で、ここはまぎれもなく中国なんだから…

習主席は、こんな感じであれこれ喋った後は、駐港人民解放軍を訪問。「頑張ってや!」と激励し、午後には李家超行政長官に見送られて、夫人とともにさっさと香港を離れた。

鉄路で離港する習国家主席。左は就任ホヤホヤの李家超行政長官。前日の出迎えは林鄭月娥・前行政長官だった by “端傳媒”

習主席が去って、いよいよ雨風が本格的となり、午後7時過ぎに「八號風球」が発令された。7月1日に八號風球が発令されたのは1997年以降では初めてのことだと、メディアは一斉に報じたが、そんなん一々「1997年以降では!」って断る必要もないだろう。素直に「観測史上初めて」とか「xx年ぶりのこと」だけでええんちゃうの? どうしても1997年を入れたいわけやな(笑)。

国旗で雨宿りするちびっ子。これって国安法にひっかれへんのか(笑) by “端傳媒”
各種の祝賀イベントが予定されていたビクトリア公園だったが、暴風雨でそれどこではなくなり、イベントは中止に。少なからぬ市民が「ざま~~」と思ったことだろう(笑) by “端傳媒”

タイトルで「これからの香港は…」と謳った以上は、多少なりとも触れておかねばならない(笑)。まずは、下記の一文に目を通していただきたい。『鄧小平文選 第三巻』の一文である

 絶対に勘違いしないで欲しいことがある。それは「香港のことはすべて香港人に任せて、中央政府がまったく関与しなければ、全部が万々歳!」という考え方ではダメだし、現実にそぐわないということだ。
 中央政府が特別行政区の具体的な仕事に一々と干渉しないのは確実なことであり、干渉する必要もないとすら考えている。だが、国家の根本的利益を脅かすような事態が、特別行政区に起きないと言えるのか? まさか起こり得ないとでも言うのか?
 もし、そんなことが起きた時、北京はこれを問題視すべきではないのか? まさか香港の根本的な利益を脅かすようなことが、香港では起きないとでも言うのか? 香港に干渉しなければ、破壊的な勢力も生まれないと考えることができるのか?
 私が見たところ、このような自分に言い聞かせるような安心材料に、どれも根拠はない。中央政府がすべての権力を放棄するとなれば、それは香港に混乱を起こし、香港の利益を損なうことになるだろう。ゆえに、中央政府がいくらかの権力を保持することは、有益無害と言える。
 香港の皆さんも冷静に考えてみて欲しい。香港にも、時には北京が乗り出さなければ解決できない問題が起こり得るのではないか? 過去を振り返れば、香港で問題が発生した時、いつも英国が解決に乗り出した。中央政府が乗り出さなければ、あなた方には解決困難な事態もありえるだろう。
 中央政府の政策は、香港の利益を損なわない。また、国家や香港の利益を損なうことが、香港に起きないことを望んでいる。しかし、もしそんなことが起きたらどうする? だからこそ、諸君には基本法を起草する上で、そうした点を考えてほしいのだ。
 例えば、香港人が共産党や中国本土を罵倒しても、我々は1997年以降も認めるだろう。だが、そうした言論が「実際の行動」に変わり、香港が民主主義の看板を掲げた反中国の拠点になってしまったら、どうする?
 そうなってしまったら、「むしろ干渉しなければならない」。まずは香港の行政機構が干渉する。解放軍が出動する必要はない。解放軍が出動するのは、動乱や大動乱が起きた時だけだ。ただし、干渉はしなければならない。

1987年4月16日、鄧小平が「香港基本法」の起草委員会メンバーと会見した席での発言である。35年経過した今なお、中央はこの発言の通りに香港と向き合っている。そのまんま踏襲されていると言ってもいいだろう。しかしまあ、鄧小平、恐るべしである。

鄧小平が35年前に危惧したように、2019年には「国家の根本的利益を脅かすような事態」が起きてしまった。なので中央は「干渉しなければならなかった」。それが国安法の制定である。

こんな植民地時代の旗を振っても、中央は文句を言わなかった。「国家の根本的利益を脅かすような事態」ではなかったからだ (2016年7月1日の大型デモ)

これからの香港も、「国家の根本的利益を脅かすような事態」が起きない限り、中央から干渉を受けることはないだろう。習主席も上述の通り、長期的な一国両制の堅持を明言している。

ただし、国安保以前のように「香港人が共産党や中国本土を罵倒しても、我々は1997年以降も認める」とはいかなくなってしまった。その点は大いなる不幸ではあるが、その不幸を招いてしまった一派に、果たして鄧小平のような洞察力があったかどうか…。あれば、あのような破壊と暴力の限りを尽くしていなかっただろう。重ね重ね、取り返しのつかないことをしてくれたもんだと思う…。


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