【上方芸能な日々 文楽】夏休み特別公演第1部 《親子劇場》

<暑さ厳しい日々が続いてイヤになるけど、この青空と桜木の青葉に心癒され、いざ、文楽へ!>


ホンマ、うだるような暑さでございます。こういう日は、冷房完備の文楽劇場で一日過ごすに限ります(笑)。ということで、夏休み公演を見物してきた。夏はCOVID-19以前から三部制。第一部はお子さん向けの「親子劇場」。と言っても、大人一人で見物しても入場を断られることはない(笑)。と言うか、普通に楽しめる。

人形浄瑠璃文楽
令和4年夏休み文楽特別公演《第1部 親子劇場》

 夏休みということで、親子連れで熱気ムンムンかと言えば、そうではなく、まだまだCOVID-19の感染拡大は継続中。多くの親子連れでにぎわう日々は戻ってくるのだろうかと、心配になる客席…。第7波の真っただ中にあって、親子連れでお越しやす、と言われても…。ねぇ、無理がありますわいな…。

鈴の音 作・演出=桐竹勘十郎/作曲=鶴澤清介/作調=望月太明蔵

靖 小住 亘 碩
友之助 清公 清方

勘十郎師が蓑太郎だった時代、昭和62年(1987)に初演。今回は平成24年(2012)以来10年ぶりの再演。まあ、まさにお子さん向けの「人形劇」です。その背景と言うのも、そもそもが当時、勘十郎さんの娘さんが通う幼稚園で上演する幼児向けの新しい作品を手掛ける際に、1)動物が出てくる 2)場面転換がある 3)上演時間は20分程度 との要望があったということ。これ、お子さん、特に幼児にはとても大事。小生が幼児時代に人気沸騰した「ケロヨン」の「木馬座」に着ぐるみ劇なんぞは、こんな感じだっと思う。ああいうのを、文楽でやっちゃおうという感じかな。

河童の河太郎はこのチラシほど緑ではなく、狐のコン平とはつねも、こんなあざとい顔はしていない。「奥庭狐火」で最後に大勢出てくる狐さんたちだろう、恐らく(笑)。ただ、はつねは何かとアクセサリーが付けられていて「女の子感」を醸し出す努力をしていた。大体、動物はパッと見て、雌雄の区別はつかんもんな(笑)。物語は、動物は「鈴」の何ぞやはわからないが、人間はそれがわかる、鈴を身につけたため窮地に追い込まれる狐…。さあ、大変!という、わかりやすいストーリー。小さいお子らは楽しめただろう。

床は若くて声の大きい太夫が並び、靖が引っ張るという感じで、三味線は友之助と清公で清方を引っ張り上げるというところか。人形は全員黒衣なんで顔は見えない。これが本来の姿。最後、河童と狐の知恵で、スッポンポンにされて逃げて行く猟師を勘介(前半は玉彦)。勘介だけは、どんな顔してスッポンポンの猟師を遣うのか、見てみたかった気もする(笑)。

【解説 文楽ってなあに?】

解説者:勘次郎  あんた、案外上手やね。これくらいしか感想はない…。

瓜子姫とあまんじゃく 作=木下順二/作曲=二代野澤喜左衛門

靖 (千歳休演につき代演)
富助 錦吾 燕二郎

夏の親子劇場の定番狂言。木下順二作と言うことで、どっぷり民話調。そんなことで、こちらもまた人形劇という感が強い作品。お子達向けとしては、よいでしょう。ストーリーも結構面白いので、大人も十分楽しめる。ただ、これで「文楽、おもろいやん!」とお子らが文楽に興味を持つかというと、そこは甚だ疑問ではあるが、反応自体は頗るよろしい。床は千歳休演で靖太夫、連チャン。まあ、千歳さんには悪いけど、ここは靖でよかったのかもな。とは言え、義太夫は義太夫として語り、三味線も同様に鳴らすので、字幕があろうが床本があろうが、子供には「何言うてはるかわからん」世界である。そこで、人形。

瓜子姫の紋臣、あまんじゃくの玉佳、ともに良き。玉佳なんてお方は、こういう役はホントイキイキと遣ってくれるので楽しい(ほかの役がダメってハナシじゃないですヨ)。要するに「ようわかってはる」のだ。文楽の本筋を離れて、丸々人形劇をやってしまってはダメであって、そこは決して外さないけど、さりとて子たちが退屈しない遊びも随所に挟んで、あまんじゃくは暴れるのである。うまいこと見せるなぁと、感心しながら見物していた。

毎度思うが、子供は正直。退屈ならお構いなく爆睡するし、舞台とは全く関係ない話題で子供同士で盛り上がる(笑)。反対に「ここ!」と言う場面では、意外にも舞台の人形の動きを凝視し、口語交じりの義太夫節にも耳を傾ける。「タダ券」もらって本公演を見に来る一見さんの大人より、玄人筋なご見物衆なのだ。中には、毎年楽しみにしている常連さんもいる。だからこそ、子供に媚びず、しっかりと文楽の舞台を見せてあげてほしい。

(令和4年7月31日 日本橋国立文楽劇場)


人形浄瑠璃文楽 名場面選集 -国立文楽劇場の30年-』 

竹本越路大夫、竹本津大夫、先代鶴澤燕三、吉田玉男、先代桐竹勘十郎の人間国宝をはじめ、錚々たるメンバーによる思い出の舞台が映像で蘇える。昭和の新作「瓜子姫とあまんじゃく」、文楽劇場で創られた新作「夫婦善哉」も初めて映像収録。越路大夫、簑助の「神崎揚屋」、津大夫、玉男、先代勘十郎、文雀の「沼津」などの名演に、この30年間の襲名・引退披露口上と披露演目を加えた文楽ファン必携のバイブル映像。


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