【睇戲】南國再見,南國(邦題:憂鬱な楽園)

台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督デビュー40周年記念
ホウ・シャオシェン大特集

さあ、これからが侯孝賢連発となるよ(笑)。しかし、プロデュース作品も含め、よくこれだけ並べて下さったもんだと感心するやら、感謝感激するやら、忙しいことでありまする。丁度、朱天文(チュー・ティエンウェン)の著書『侯孝賢と私の台湾ニューシネマ』という本が刊行されたのはナイスタイミングだった。鑑賞の手引きであると同時に、撮影の現場で侯孝賢が何を語ったかなどもうかがい知ることができるし、「あ、だからこういう作風になったのか」なんてのを映画を観て確認できたりする。折々に、この本からの引用なども織り交ぜていければと思う。

日程、上映時間の関係で、どうしても観ることができなかったり、「これはええか…」と敢えてスルーした作品も出て来るとは思うけど、一気に観られる絶好のチャンスなんで、可能な限りシネ・ヌーヴォにへばりついていようと思う。まずは『南國再見,南國(邦:憂鬱な楽園)』から。
※どうでもいいお知らせ:今回よりタイトルを『原題(邦題)』表記にします。理由は特にありませんけどw。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

ホウ・シャオシェン監督作品
南國再見,南國 邦題:憂鬱な楽園

台題『南國再見,南國』
英題『GOODBYE SOUTH,GOODBYE』
邦題『憂鬱な楽園』
公開年 1996年 製作地 台湾、日本
製作:侯孝賢電影社有限公司、松竹
配給(日本):松竹富士
言語:標準中国語、閩南語
評価 ―

導演(監督):侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
編劇(脚本):朱天文(チュー・ティエンウェン)
製作人(制作):水野勝博、市山尚三、黄忠(ホァン・チェン)、金介文(ジン・ジェウェン)、謝屛翰(シェ・ピンハン) 監制(製作総指揮):奥山和由、楊登魁(ヤン・ダイクイ)

攝影(撮影):李屏賓(リー・ピンビン)、陳懐恩(チェン・ホアイエン)
美術(美術):黄文英(ホワン・ウェンイン) 剪輯(編集):廖慶松(リャオ・チンソン)
聲音(録音):杜篤之(トゥ・チュンタン) 配樂(音楽):林強(リン・チャン)

領銜主演(主演):高捷(ガオ・ジェ)、徐貴櫻(シユウ・グイイン)、林強(リン・チャン)、伊能靜、金介文(ジン・ジェウェン)
演員(出演):連碧東(リェン・ピートン)、李魁(リー・クイ)、雷鳴、李明朗、李天祿(リー・ティエンルー)、蔡正泰(ツァイ・チェンタイ)

【作品概要】

中年間近のチンピラと、弟分と彼の恋人のその日暮らしの毎日を描いた一編。チンピラのガオは40歳近いが正業に就かず、弟分のピィエンと彼の恋人のマーホァを連れて、田舎町の平渓にやって来る。ラストのオートバイ走行の長回しが圧巻。<引用:「台湾巨匠傑作選」公式サイト作品案内

いやまあ、なんと言うか、「ラストできれいに物語を締めくくってほしい」とか「映画たるもの、終盤に伏線回収を一気にやってしまうべし」みたいな人にはお薦めできないし、何かの間違いで観たとして「なんやこれ?しょーもない映画や!」ってなってしまうだろう。かく申す小生も、その一人だったかもしれない(笑)。出てくる奴、ほとんど流氓(チンピラ)。そいつらがなんやかんやとやってる、って感じ(笑)。しかし、ほんとチンピラの好きな監督である(笑)。

初っ端から(ガオ・ジェ)㊧のこのだらけ具合(笑)。多少の起伏はあれども、映画は終始このモードで進むから「楽園」だ(笑)

オープニングに、台鐵平溪線の長回し。『戀戀風塵(邦:恋恋風塵)』を思い出さずにはおれない。これもまた侯孝賢のお気に入りなんだろうな。小生もお気に入り(笑)。で、乗ってるのは、エエ歳して仕事らしいこともせずプラプラして、恋人にプロポーズも出来ないまさに「チンピラ」の小高を高捷(ガオ・ジェ)、小高の弟分・阿扁を林強(リン・チャン)、その阿扁の恋人・小麻花に伊能靜という3人。このけだるさ、やる気なさ満載のメンツが田舎町・平溪での「行き詰まりの日々」を延々と見せてくれる、という映画。

高捷については、今更説明の必要もない。台湾映画の顔の一人である。特に本作のような「チンピラ」役は天下一品、これほど似合う人も、まあいない。林強は『戲夢人生(邦:戯夢人生)』、『好男好女(邦題同じ)』にも出演しているが、本業は歌手、DJ、作詞、作曲、映画音楽クリエーターという具合に、音楽畑の人間。本作でもサントラを担当しており、オープニングで流れる彼の曲『自我毀滅』がカッコいい!1996年の台湾アングラミュージックという雰囲気満々!↓↓↓

そして伊能靜よ。日本ではどういうイメージを持たれてるのか知らないけど、本作で見せるような、男心にチクチクと針を突き刺してニヤッとする感じの「小悪魔」さが、魅力じゃないかなと思うが、諸兄諸氏はいかに思わるるか?彼女自身も本作で「自然体の演技」を学び取ったと語るほどだから、これが彼女の「本性」ですぜ、きっと。

俟孝賢作品の常連と言うべき李天祿(リー・ティエンルー)は、本作で養豚場の老人を演じたが、これが遺作となった。『戀戀風塵』でのおじいさん役がとても印象深い。

さてさて、上記の【作品概要】にもある「ラストのオートバイ走行の長回し」だが、観てみたら、全然「ラスト」ではなかった。終盤に差し掛かろうかというあたり、「中盤のラスト」あたりだった。結構いろんな作品紹介分が「ラストの~」ってなってるけど、違うよ。

展開は、ただただヤニ臭く、酒臭く、時に料理のいい匂いもするけど、亜熱帯の緑からわきたつ湿気臭ささが全部かき消す…というムシムシしたもので、ラストも大惨事と思いきや、あんれまぁ~な感じで終わってしまう。これを松竹が出資して、かのフランシス・フォード・コッポラが絶賛したというのだから、世の中わからんもんである。ということで、作品スペックに奥山和由ら日本人の名前が多いのは、松竹出資、すなわち日台合作だから。ま、作品舞台は全編台湾だけどな。

とにかく侯孝賢(ホウ・シャオシェン)が思い切り自由奔放に撮った作品なんだろうなと感じた。この気ままさ、奔放さが俟孝賢なのかもしれない。

お読みになって、あまり褒めていないように思われるかもしれないけど、いやいや、難敵ですぞ、この映画。小生はクセになりそうでやんす。

【受賞など】

■第49回カンヌ映画祭
・パルム・ドール(ノミネート)

■第33屆金馬獎
・最優秀オリジナル音楽賞:林強(リン・チャン)

ちょっと長いダイジェスト版@2013高雄電影節

(令和3年7月7日 シネ・ヌーヴォ)


朱天文(チュー・ティエンウェン)の著書『侯孝賢と私の台湾ニューシネマ
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