【睇戲】『日光之下』(中題=日光之下)<日本プレミア上映>

第15回大阪アジアン映画祭

そしてこの日の3本目。「たまには大陸映画も観ておかないと」と選んだ1本。て言うか、もう1本の大陸作品の方が観たかったんだが、上映日時が合わなかったので、こっちを観た次第。

ま、そんな塩梅だからか、はたまた作品が面白くなかったからのか、身が入らず、うたた寝することしばしばで、散々だった。どこかに、いいところを見出そうと努力はしたんだが…。娯楽である映画を観るのに「努力」する時点で、ダメだ。客席も空席だらけで、昨今の情勢を差し引いても、そりゃもうねぇ。あくまで、小生的には、ってとこなんだが。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

コンペティション部門
日光之下 中題=日光之下 <日本プレミア上映>

中題『日光之下』
英題『Wisdom Tooth』
邦題『日光之下』
公開年:2019年
製作地:中国
言語:標準中国語
評価:★☆
導演(監督):梁鳴(リャン・ミン)
演員(出演):呂星辰(リュー・シンチェン)、吳曉亮(ウー・シャオリャン)、王佳佳(ワン・ジアジア)、王維申(ワン・ウェイシェン)

【あらすじ】

若い女性グー・シー(演:呂星辰/リュー・シンチェン)は異母兄のグー・リャン(演:吳曉亮/ウー・シャオリャン、本作で第4回マカオ国際映画祭男優賞)と中国北東部の寒村でカップル同然の生活を送っているが、韓国帰りの女性チョウ・チンチャン(演:王佳佳/ワン・ジアジア)とリャンが親しくなって寂しさを感じる。シーは漁業を営むチンチャンの父親の秘密を知り、さらなる苦悩にさいなまれて……。<引用:第15回大阪アジアン映画祭「日光之下」作品解説

う~ん…(笑)。

凍てつく北の大地での物語なんだけど、観ている小生もまた心が凍てつくような内容で…。これはもう、完璧に小生に合わない作品だった。少なくとも小生の耳には「これ!」という前情報も入って来なく(大陸作品ではありがちなんだが…)、かと言って、ほとんど「ゼロ」の状態でスクリーンと向き合うことの、独特のドキドキ感もなく、「とにかく観ておこう」という姿勢が間違っていたのか、と思うほどに合わない作品だった。そもそも、こういう姿勢で観ること自体、作り手や演者に失礼だわな。

ま、筋はともかくとして(笑)。雪原の中での凍った空気感を、見事に映像化していて美しい。全体にピンとした空気感が伝わってくる。監督は婁燁(ロウ・イエ)門下の俳優だとのことだが、さすがにこのあたりの撮り方に、婁燁の影響を感じる。『二重生活』では助監督を務めるなど、作り手としても経験を積んできたということだろう。今作では自身のオリジナル脚本で挑んだ。

兄妹の生活とではあるが、そこは異母兄妹の関係。兄は普通に「妹思いの兄」という感じだったが、妹の心情は複雑で、時に兄妹で、時にその線を超えた感覚で兄を思う。チャンチャンの出現により、後者の感覚が深まり、同時に苦悩へと変わってゆくのだが、そういう揺れ動く気持ちを、凍てつく空気感と雪原の風景が代弁していたような…。そんなとこでよろしいでしょうかね?(笑)

チンチャンを演じた王佳佳(ワン・ジアジア)ってのが、よろしいね。トロットみたいなテンポいい曲で踊る場面、なんかカッコよかった。リャン(演:吳曉亮/ウー・シャオリャン)には勿体ない(笑)。そこそこに色気もあって、小生の好きなタイプ(笑)。

そこで一緒に踊っていた、リャンの友人なのか舎弟なのか、その立ち位置がもひとつはっきりせんかった、役名知らないけど(笑)、王維申(ワン・ウェイシェン)は「誰かに似てるな~」と思っていたが、ゴンことサッカーの中山雅史にクリソツだった。

主演の呂星辰(リュー・シンチェン)はよかったねー。この目に吸い込まれそうになった…

ラストは、「ちょっと捜査に協力するだけ」と言って、警察と家を出てゆく兄…。妹の胸の内やいかに、という幕切れ(だったかなww)。決め手が「カセットテープ」というところに、この作品の時代背景が感じられた。

これと言って、胸に響くものがない映画で、感想を残すのに苦労した。これで許して(笑)。

■第3回平遥国際映画祭
「フェイ・ムー賞(最優秀監督賞)」受賞=梁鳴
「ロベルト・ロッセリーニ賞/審査員賞」受賞=『日光之下』
■第4回マカオ国際映画祭
「中国語新作映画最優秀男優賞」受賞=吳曉亮
■第49回ロッテルダム国際映画祭
「コンペティション」ノミネート
■第43回ヨーテボリ国際映画祭
「イングマール・ベルイマン コンペティション」ノミネート

話は変わるが、この日も含めこの数日、ABCホールで鑑賞していたが、やはり本格的な映画館であるブルクは音響がまったく違う。これが映画館と公録での使用が主目的のABCホールの違いというもんだろうな。

(令和2年3月14日 梅田ブルク7)



 


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