【反送中】8月のあれやこれや(1)「激光指示筆事件」「ByeBye,阿sir!」「快閃游擊」

民間人権陣線(民陣)の集会、デモ行進に警察から許可が出なかったことについては、前稿に記したが、やはり8月31日から9月1日未明の香港は、これまで以上に大荒れとなりましたな。幹線道路や鉄道路線を中心に、香港中で破壊行為を重ねる勇武派やその便乗犯たちだが、税金、運賃などで、やがて君たちの世代がその代償を払ってゆかねばならない時期がくるのだから、せいぜい荒れなはれ、ってところだ。もっとも、その前に「暴動罪」確定で、10年は刑務所から出てこれないんだろうけど(笑)。

色々と取り沙汰されている解放軍あるいは武警の香港入りだが、わざわざ境界越えて来なくても、元々、香港には5,000~6,000人の駐港解放軍がいるので、もしそうとなれば、まずは駐港部隊が動くのだろう。もっとも、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は「香港の警察力で十分事足りる」と言っているけど、さてねぇ…。

一方で、中国側は「深圳から香港まで10分で行ける!」なんて馬鹿げたことほざいているが、実際に警民衝突の現場まで10分で来れるはずなく、「武警が来た!」の一報ととともに、デモ隊はもちろん、市場で買い物してるおばちゃんまで一斉に帰宅して、テレビで武警の入境を観ているだろうから、だれもいない香港の街で、武警は一体何をするってんだろう? その光景を想像すると、笑ってしまうわ。

さて、恐らくやって来ないであろう解放軍や武警に気をもむよりも、ざっと「暗黒の3日間」以降の8月の出来事を振りかえっておきたい。そうしようと思ってたら、襲撃事件や大量逮捕で、あわてて前稿を上げたのだが、いやもう、何がなんだかわからんようになってきた(笑)。

激光指示筆事件

別に「事件」と言うほどの出来事でもないのだが、香港浸會大學(Hong Kong Baptist University)の学生会会長・方仲賢(20)が、激光指示筆(レーザーポインター)を購入した後に、私服警官に逮捕されたという出来事。レーザーポインターは実にウザいね。見ているこっちでさえそう思うのだから、あれを直接目に当てられている警官隊はたまらんやろ。立派な「攻撃性武器」だと思うが、デモ隊のほとんどがあれを所持している。

香港警察の有組織罪案及三合會調查科(通称・O記=おーげい)の周學賢総督察は、8月6日午後7時過ぎに非番の捜査員5人が、「究極の下町」深水埗(Sham Shui Po)の電子部品屋台が並ぶ鴨寮街(Apliu Street)で挙動不審の男に、職務質問すると逃走したので取り押さえたら、男が持っていたレジ袋から長さ約18センチのレーザーポインター10本が見つかり、男性の反応と購入数、レーザーポインターが警官への攻撃に使用されていることから、攻撃性武器所有の容疑で逮捕したと説明。逮捕時には多くの街坊=町の衆が集まり、騒然となる中で、男は「僕は香港浸會大學の学生会会長で方仲賢。レーザーポインターを買っただけでなぜ逮捕されるのか!星を見るために買っただけだ!」と叫んだ後、ゲロを吐いて体の不調を訴えたため、病院に搬送された。

「非番の捜査員」と言いながら、4、5人いるから、方クンを遠くから監視していた私服警官だろ(笑)。ましてデモ隊と同じ黒装束だし(笑)。

逮捕がよっぽどショックだったのか、方クンはゲロを吐いて倒れる。40度の高熱を出していたそうだから、堪えたんだろうか? by “香港01(讀者王先生提供)”

で、この後は、ご想像の通りだ。逮捕劇の一部始終を見ていた街坊を中心に、いつの間にか勇武派も参集し、1,000人ほどが深水埗警察署を包囲し、周辺の道路も占拠。警察署への投石や放火も開始したため、午後11時から警察は署内から催涙弾をぶっ放して排除行動。事態が収束したのは真夜中の1時半を回ってからのことというから、街坊の皆さん、大健闘。とは言え、大多数の住民は「うるさいな~、催涙弾臭いなぁ~、ええ加減やめとけよ、何時やと思てんねん!」とうんざりしていたことだろう。たった10本のレーザーポインターがきっかけで、こんな大騒ぎになるのだから、「逃亡犯条例なんかどうでもええやん」と思っている人には、迷惑千万なハナシである。

この日は珍しく何もないのどかな一日だと思っていたら、最後の最後にドカーンときましたな(笑)

翌日には、この逮捕への抗議として、ネット民の呼びかけにより市民が尖沙咀(Tsim Sha Tsui)のプラネタリウムに集結し、「全民觀星」を開催。方仲賢の言うように「星を見よう」とレーザーポインターを一斉に照射しようという集まりだ。また警察の「レーザーポインターで着火する」という頓珍漢な実験と会見があったことで、実際にレーザーポインターを木やビルに照射し、「おかしいやんか、燃えへんねんけど~」とやっちゃうから、見ている分には可愛らしい人たちだ(笑)。

プラネタリウムの外壁にレーザーポインターを一斉照射!おお、結構綺麗やん!でも、これを何本も目に当てられたんじゃ、お巡りさんもたまったもんじゃないから、やめなさい!
こんなことをする人も出現。ま、やりたくはなるよな(笑)

ある参加者は、『明報』の取材に「爪楊枝で人を傷つけることがあるんやから、そのうち爪楊枝禁止令が出るんとちゃう?(笑)」。君が率先して爪楊枝の使用をやめなさい(笑)。とりあえず、こういうのどかな場面にはヘルメット被って盾を持った警官は来ないから、楽しく遊んでおればよろしい。

大埔遊行と「ByeBye,阿sir!」

8月2週目の週末は、またもや警民衝突が発生した。

8月10日(土)は、新界の大埔(Tai po)でデモ行進。いつも言うが、警察が申請を認めたデモは、一般の市民が参加し、平和的に秩序を保って行われる。ヘルメットに防毒マスク、スポーツギアで身を固めた参加者はまずいない。ただ、昨今の流れからいつ何時、勇武派が出現し、道路を占拠したり警察署への攻撃を開始するかもしれないから、武装した警官隊は配置されてはいる。すると、こんな光景も垣間見られる。

by “香港01”

親子連れで警官隊と「対峙」なんて、ちょいとほほえましい光景が。警官隊の中には思わず表情を緩める隊員も。ま、こんなことをしている内は、まだいい。だが、そうはいかないのが、昨今の香港。

by “香港01”

秩序を保ち、平和的なデモをする人たちが、そろそろ平和的に去り始めるころ、ぞろぞろと黒装束にヘルメットの勇武派が登場する。「曱甴」(ゴキブリ)と蔑む人も少なくはない、この連中。いや、小生もそう思っている一人(笑)。最初は理解も示していたが、抗議行動が「vs警察」に転じてからの狼藉の数々は、「理解してあげて」と言われても、無理だ。

で、大埔で衝突かと思いきや、「ByeBye,阿sir!=バイバイ~、おまわりさん!」の掛け声と同時に、例の快閃游擊戰=フラッシュモブ作戦でさっさと移動。何が「ByeBye,阿sir!」だ。ふざけた野郎どもだ。ちなみに「阿Sir」はかつての英領香港時代の名残で、あの頃は本当に敬意を表して、お巡りさんを「阿Sir」、婦人警官を「Madam」と呼んでいたのだ。そんな敬称も今や落ちぶれたもんだ…。

さて大埔からは二手に分かれる「兵分兩路」で、ある一群は沙田(Sha Tin)でバリケード作って、別の一群は、トンネル抜ければ九龍の大圍(Tai Wai)に転戦。そしてここで最初の衝突発生。

バリケード作るの早いのなんの。段々、悪知恵がついてくるから始末の悪い連中だ
で、いつもバリケード撤去するのは一般市民や警察、清掃請負会社のおばちゃんたち。ちゃんと片付けてから移動しなさい!
移動させまいと駅で待ち受けて催涙弾攻撃する警察。徹底的にやっちゃってください!
最近は催涙弾も効果なし。耐熱手袋で催涙弾を手づかみにして、警官隊へ投げ返す

快閃游擊戰=フラッシュモブ作戦で警察を翻弄?

日本でも報道されているように、連中はTelegramというインスタントメッセージシステムを利用して、常に連携を取りながら快閃游擊戰=フラッシュモブ作戦を展開している。ここに上がった様々な意見について多数決を取って、次の作戦を決めているという。李小龍(ブルース・リー)の名言「Be water=水になれ」からヒントを得た、最近主流の快閃游擊戰=フラッシュモブ作戦は、成功例だろう。この日は、8か所で衝突や不法道路封鎖を実行している。

九龍ー香港の海底トンネルを封鎖する勇武派 by “香港01”
そしてフラッシュモブは荒すだけ荒して、風のように去って行く。なんともお行儀の悪い子たちである by “香港01”

九龍と香港を結ぶ海底トンネル「紅磡海底隧道紅隧」も、もちろん不法封鎖。ETCをぶっ壊してドライバーに「トンネル通行料無料で過海=クロスハーバーできますよ!」などとほざく。気の毒に…。いずれ君たちの車の通行料やバス代にしわ寄せが来るのに…。

その後、連中は彌敦道(Nathan Road)に転じ、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)で警察と衝突する。土曜の夜ということで、本来なら観光客や買い物客でにぎわう一帯は、ほとんどの商店がシャッターを下ろし、早々と店じまい。警察は「黒旗」「橙旗」を掲げ、催涙弾を連射し、彌敦道を不法占拠する勇武派を攻撃するが、勇武派も飛んできた催涙弾を消火したり、尖沙咀警察署へ向けて投げ返すなどして反撃する。

彌敦道(Nathan Road)でデモ隊「勇武派」と対峙する我らが香港警察のみなさん!
飛んできた催涙弾をカラーコーンや水などで煙の蔓延を防ぐ、勇武派の「消火部隊」

攻防は夜11時半ごろまで続いたが、一旦、尖沙咀警察署に引き返し、署内から催涙弾を発射していた警察部隊が、一気に彌敦道に飛び出し、デモ隊に突撃したことで、雲の子を散らすように勇武派撤退で、彌敦道は週末の賑わいを取り戻す。

この間、別動隊は九龍塘(Kowloon Tong)や牛頭角(Ngau Tau Kok)、九龍灣(Kowloon Bay)、黄大仙(Wong Tai Shin)へもフラッシュモブを仕掛け、不法道路封鎖を犯している。

勇武派がフラッシュモブでいい気になっている頃、ネット上に「荃灣(Tsuen Wan)で白シャツを着た黒社会人士20~30人が鉄パイプなど武器を持って集結している」という情報があふれ、同様の通報が市民から警察にもあったことから、警察が周辺を40人でパトロール。結局、事は起きなかったが、警察には勇武派の制圧にも力を注いでいただく一方で、こっちの方にも十分、目を光らせていただきたい。

鉄パイプらしき棒状の物を手にした「白シャツ軍団」が集結 by “香港01″=現地テレビ局NOW新聞台画面より

さて、功を奏する、「Be Water」、快閃游擊戰=フラッシュモブ作戦だが、やはりこの手法を疑問視する連中も勇武派にもいるようで、度々、争議を引き起こしていると言う。そもそも、意見を集約して多数決を取るというのは、時間を無駄に浪費しているではないか、との意見もあるらしく、そこでもめてしまうのだと言う。ただ、現状では警察の力を消費させているのは確かなので、ひとまず意見は落ち着いていると、複数の地元メディアの取材に、勇武派メンバーが答えている。

ただ、警察も十分対策は練っているだろうから、そのうちこの作戦も通じなくなる日が来る。その時、連中は何をしでかすのだろうか? 一般市民を巻き添えにするような作戦は、絶対にするな!

ざざっとやるつもりが、結構長くなってしまったので、続きはまたの機会に。と言いながら、またまた色んな事が起きてます(笑)。

アイキャッチ写真:駅のホームでTelegramに上がった意見を集約し、その場で多数決を取って次の行動を決定する勇武派(香港01)>



 


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