【反送中】デモ主催者襲撃、反対勢力大量逮捕

しばらく「反送中」ネタから遠ざかっていた。もちろん、何事も起きなかったわけでなく、むしろ事態は「暗黒の3日間」からさらに悪くなっている。そんな悪くなっている「暗黒の3日間」以降の出来事をざっとまとめておこうと、したため始めて、「さて、仕上げに取り掛かろう」と思っていたら、8月29日以降、なんだか非常に良くない知らせが、続々と入ってきて、それどころではなくなってしまった。8月のまとめは、また後程ということで、先にその「良くない知らせ続々と」に関して記しておく。

デモ呼びかけ人への相次ぐ暴行

繰り返すが、香港を取り巻く事態はさらに悪化している。と言っても、中央からしたら「これから始めるよ~ん」と言うことなのかもしれないが。

まずは8月29日。2014年の雨傘行動のきっかけとなった、全国人民代表大会(全人代)常務委員会による普通選挙に関する決定から満5年ということで、8月31日に民間人權陣線(民陣)による、集会、デモが予定されていたが、いずれも警察から許可が出ず。30日には上訴も受け入れられずに中止を余儀なくされる。「勇武派」が暴徒化の一途をたどる昨今の状況を鑑みれば、警察の「許可せず」の決定も仕方ないが、民陣主催デモそのものに関しては、これまで警察が懸念するような事態は起きていない、ということは付け加えておきたい。そして「許可せず」であっても、当日は、必ず衝突が発生するだろう。

この日の午前、民陣の召集人(実質代表者)の岑子杰(ジミー・シャム)は、九龍の佐敦(Jordan)の路上で、民陣に反対する親政府の市民団体に包囲され、激しい口論を展開した。団体側は粗口(スラング)も交えながら岑子杰を「この暴徒め!」「死にやがれ、ゲイ野郎!(ちなみに10年ほど前にカミングアウトしている)」などと罵倒、一方的に多人数で「口撃」を展開した。さらには、親政府の市民団体に抗議する一般市民も加わり、付近は騒然となる。私服の警察官数名が仲裁に入って、ひとまず騒ぎは収まった。

通りすがりの一般市民と親政府市民団体メンバーも激しい口論。間に立った私服警官も「もう、ええやろ、そのへんで」とあきれ顔? by “香港01”

その数10分後、岑子杰が友人と食事中に木製バットを持った二人組の暴漢に襲撃された。頭部を狙われたという岑自身にはケガはなかったが、友人が腕を負傷した。目撃した店員によれば、犯人は南アジア系ではないかとのこと。

また、7月27日の元朗デモの発起人、鍾健平(マックス・チュン)が、屋外で港真傳媒(TMHK)なるWEBメディアの取材を受けているところを、これまた南アジア系とおぼしき四人組に鉄パイプや雨傘で暴行を受ける事件が発生した。鍾氏は首や背中などを負傷した。

痛々しい傷口を披露する鍾健平

襲撃犯がどちらも南アジア系らしいというのが共通項だが、果たして同一犯なのか? と、すれば操っているのは誰だ? ということになると、即座に「親中派だ」「親中派の背後の中共だ」と言う人が続出するが、それ以外にも一連のデモを快く思っていない人は、山ほどいるわけで、簡単に「親中派だ」「中共だ」とは言い切れないと思うよ。小生だって、もし在住中だったら、一連のデモや衝突にはうんざりして、「わーい、もっとやっつけろ~!」って思っていたんじゃないかと思う。4回や5回ならまだしも、2か月以上続くと、大概うるさいし邪魔だし、こんな迷惑千万なハナシはないのだから。ホントにねぇ…。ま、親中派が関与しているとは思うけど、そうなると真相は永遠に闇の中ですな。

反対勢力、大量逮捕!

そして8月30日。午前0時ごろ、香港国際空港から東京へ出発しようとしていた、港獨派香港民族党の前代表者、陳浩天(アンディ・チャン)が警察に身柄を拘束された。陳は8月1日に破壊力のある武器貯蔵の容疑で逮捕され、保釈の身だが、今回の再逮捕はその関連で「暴動参加」と「警官襲撃」の容疑となっている。

本土自決派(香港のことは香港人が決める主義)の香港眾志(Demosistō)の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)秘書長とメンバーの周庭(アグネス・チョウ)も逮捕された。6月21日に発生した警察本部の包囲事件で「無許可の集結に他人を参加させるのを扇動」「無許可の集結と明らかに知っていながら参加」の容疑で逮捕し、取り調べが行われた。ジョシュアについてはさらに「無許可の集結を組織」の容疑も加えられている。ジョシュアは午前7時半ごろにMTR海怡半島(South Horizon)駅に向かう途中で突然、自家用車に乗せられ、警察本部に連行された。アグネスは大埔(Tai Po)の自宅で逮捕された。なお、夕刻には二人は保釈された。前日に香港を離れている香港眾志主席の林朗彥(イヴァン・ラム)にも逮捕状が出ている。

東區法院へ移送されるジョシュアとアグネス

また、香港大学学生会の孫暁嵐元会長も30日未明、自宅で逮捕された。7月1日の警官隊との衝突と立法会議事堂への強行進入について、もう1人の女性とともに「毀損策謀および財産損壊」「会議場の範囲に進入・滞在」の容疑での逮捕。さらに本土派熱血公民の立法会議員・鄭松泰(チェン・チュンタイ)も天水圍(Tin Shui Wai)で逮捕された。このほか、沙田區会議員の許銳宇(リック・ホイ)、汎民主派公民党の立法会議員・譚文豪(ジェレミー・タム)、民主派無所属でかつては民陣の召集人でもあった立法会議員・區諾軒(オー・ノック・ヒン)と、汎民主派自決派本土派港獨派のいわゆる「反対勢力」が続々と逮捕された一日となった。

前日のデモ呼びかけ人二人への襲撃、暴行、そしてこの日の「大量逮捕」。何かこれまでとは違う力が動き始めていることを感じるのは、小生だけではないだろう…。

ただ、逮捕された面々は確かにそれぞれの容疑はあるんだろうが、決して一番問題視されるべき「警民衝突」のキーパーソンではない。むしろ前線で警察とやり合う勇武派からは排除されていると言っていいほどだ。NHKの夜のニュースでは「若者のリーダーたちの逮捕が…」なんて言っていたが、まったく見当違いだ。一連のデモに関しては、ジョシュアもアグネスも、全然リーダーではないということだけは、念を押しておきたい。

それにしてもだ…。

いや~、これは明日8月31日は、許可が出なかったとは言え、「無許可デモ」や「不法道路占拠」、さらには勇武派の「快閃游擊戰=フラッシュモブ作戦」による警察攪乱そして衝突と、荒れる予感がする。

俺、知ぃ----らない!

参考までに。WEB媒体『端傳媒』と日刊紙『明報』がまとめた8月29日~30日までのデモ参与による逮捕者と容疑一覧を貼っておく。

拙ブログではこれまで暴力的なデモを行う一派を「先鋭化部隊」と呼んできたが、香港メディアでは「勇武派」で統一されてきたようなので、今後はそれに倣って「勇武派」と記すことにします。勇武と持ち上げるような言い方はしたくはないのだけど、ま、ええか、という次第で。ちなみに『文匯報』などの親中メディアは一貫して「暴徒」「暴民」と呼んでおります。小生の気持ちは、どっちか言うと「暴徒」に近いけど、言い切れるもんでもないし…。

アイキャッチ写真:黄之鋒(ジョシュア・ウォン)ら香港眾志の3人の逮捕のきっかけとなった6月21日の警察本部包囲。その罪状なら、ここにいた人全員逮捕しないと!(信報)>



 


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