【睇戲】『ハッピーパッポー』(港題=恭喜八婆)<日本プレミア上映>

第14回大阪アジアン映画祭
特集企画《Special Focus on Hong Kong 2019》

ハッピーパッポー
港題=恭喜八婆<日本プレミア上映>

大阪アジアン映画祭、いよいよ最後の1本。例年とは打って変わって、鑑賞予定作品を絞りに絞ったため、やはり多少の「物足りなさ感」もあることはあるが、その分、お財布にも優しく(笑)、作品に没頭もできたわけで、「これくらいのペースがいいのかな」と思ってみたり…。ま、来年は15回の節目、御代替わり最初ということで、何らかの記念のイベントや上映も期待できる(かも?)。となれば、また10本以上は観たりすることになるかも…。期待しつつ期待しないでおこう(笑)。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること

港題 『恭喜八婆』
英題 『Missbehavior』
邦題 『ハッピーパッポー』
公開年 2019年
製作地 香港
言語 広東語
評価 ★★★★★(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):彭浩翔(パン・ホーチョン)

演員(出演者): 陳逸寧(イザベル・チャン)、陳靜 (ダダ・チャン)、梁詠琪(ジジ・リョン)、林兆霞(ジューン・ラム)、徐天佑(チョイ・ティンヤウ)、陳奐仁(ハンジン・タン)、林雪(ラム・シュー)、丁可欣(ヤンキ・ディン) 、謝賢(パトリック・ツェー) 、谷祖琳(ジョー・コク) 、楊千嬅(ミリアム・ヨン) 、梁洛施(イザベラ・リョン) 、鄒凱光(マット・チョー)、邵音音(スーザン・ショウ)、曾國祥(デレク・ツァン)、郭奕芯(アシナ・コック)、湯加文(カーマン・トン)

最後の最後、今年の締めくくりは、小生の大好物の作品となった。もうねぇ、こういう作品があるから、香港映画、やめられないのよ~。

ポスターに《春嬌與志明》《低俗喜劇》大合體 とあるように、「香港人のために、香港の俳優を使って、香港で撮影した、広東語の映画」を、お届けしてくれる、我らが彭浩翔(パン・ホーチョン)監督の人気シリーズの出演者がズラリとキャストに名を連ねる、今年の農暦新年娯楽作品である。彭浩翔自身も出演。これがまた、監督が一番ノリノリで演技してたという(笑)。

なんちゅうても、アナタ、そのタイトルがよろしいではないか。「八婆」だなんて、なんともお上品でございます(笑)!  英語で言えば「ビッチ」。字幕ではちゃーんと、広東語由来で「クソ女」となっていて、非常に原文に忠実な字幕に好意が持てる。ともすれば、こういうお上品極まりない言葉は、現地で普通に使われていても、字幕では多くは意訳されてしまうけど、大阪アジアン映画祭の字幕は、総じて「原文忠実」ですな。って、広東語映画の字幕しか判断できんけど(笑)。

<作品解説>

婦警、ストリートミュージシャン、その元相方で現巨乳女流作家、幼稚園教諭、ゲイのカップル…香港に暮らすハッピーでパッポー(八婆=ビッチ)な男女8人の仲間たち。最近は疎遠気味だった彼らのスマホに、突如届いた緊急招集。仲間のひとりジューンが人生最大の危機に瀕している。彼女を救う方法はただ一つ。「本日午後5時までに新鮮な母乳を手に入れること!」大の大人が本気で挑む、インポッシブルなミッションが始まった。
引用:第14回大阪アジアン映画祭HP

我が憧れの人、梁詠琪(ジジ・リョン)の婦警姿がカッコいい。それに向かって「おい、クソ女!」と呼びつける陳逸寧(イザベル・チャン)ら、WhatsAppつながりの「チーム八婆」も素敵だ!

とにかく、出演者がそれぞれに個性を存分に発揮し、思い切り映画撮影を楽しんでいるから、観ている方も楽しくなる。小難しい思想や「これからの香港映画は…」なんて考える必要ないから、腹の底から笑って席を立つことができる。小生には、やっぱりこの手の香港映画が一番ピッタリ合っているようだ。

色々オモロすぎて、それが一々小生のツボにはまってしまい、多分、ここ数年ないくらいに、にやけた顔で観ていたと思う。ホンマ、「これぞ、旧正月映画の王道!」って感じで、非常によろしい!

で、どんなことがツボだったかというと、挙げていくとキリがないので、「これ!」ってのを記しておくと…。

任何仁(英語名:Anyone
これは、香港消防處が発表した「吉祥物及代言人」。要するに、「ゆるキャラ&スポークスマン」。ブルーのボディスーツを着た奇妙極まりない人物? で、もちろん、香港ではお笑いネタに。これを徐天佑(チョイ・ティンヤウ)、陳奐仁(ハンジン・タン)、丁可欣(ヤンキ・ディン) の3人が身にまとって、母乳を手に入れるべく…。というシーン。これ、香港の映画館で香港人と笑いあいたいシーンやったなぁ…。

消火活動、人命救助、なんでもお任せ、任何仁!
徐天佑なんて、ジャニーズにいても不思議じゃないくらい、爽やかでシュッとしてるのに、こんなことやっちゃうんや(笑)。そこが旧正月映画のいいところ!

その徐天佑は、陳奐仁とのゲイカップルとして、「チーム八婆」に参画。これ、結構似合いのカップルやったね(笑)。まあ、徐天佑なんて、きっと香港の男同志のみなさんの人気が高いだろうから、ぴったりの役だわな(笑)。

淘寶(タオバオ)でオーダーすれば?
アリババ傘下の中国最大ネット通販「淘宝」。司徒慧焯(ロイ・シト)が演じる「パチもん売り」の その名も「淘寶強」。こういうのは、中華事情に詳しくない日本人にはわからないネタ。越境ECの仕事でもしていりゃ話は通じるだろうけど、それがなぜお笑いなのかは、やっぱり現地で暮らしていないとねぇ…。司徒慧焯も『春嬌與志明』シリーズのレギュラー陣。

林雪の凄味ある茶餐廰おやじ
これはもう大爆笑しかなかった。それこそ「粗口(ちょうはう=広東語のスラング的な言葉)」が速射砲のように飛び出す。それもかなりの凄味を利かせて(笑)。指をコップに突っ込んでお茶を客にポンと差し出すなんて、もはや絶滅種だ。これが普通だった時代が懐かしい…。一連の攻撃の的が、なんと『春嬌與志明』シリーズの余春嬌!そのまんまの名前で登場。結局、楊千嬅(ミリアム・ヨン)の出演シーンは、ここだけだったが、《春嬌與志明》《低俗喜劇》大合體 と謳うだけのことはある(笑)。こういう一瞬だけの出演でも「オールスター総出演!」なんて堂々と言うのが、これまた旧正月映画ならでは(笑)。

楊千嬅に向かって「Fuck You!」なんて言えるのは、アナタくらいなもんですよ(笑)

早起きは三文の徳、巨乳!
陳靜 (ダダ・チャン)の巨乳は、これこそ「ボイン」と呼ぶにふさわしい! 朝からエエもん見させてもらいました! そのボインに負けていなかったのが、郭奕芯(アシナ・コック)のボイン。巨乳大競演、すばらしい!(笑)  前日は「朝が弱いの~」なんて言ったが、やっぱ、早起きするといいことあるね(8時起きはまったく早起きではないが)ww。

陳靜のこのシーンに思わず目が釘付けに! ちなみに「點撃睇片」をクリックしても何も出てこないよ、写真が大きくなるだけww
出来の悪いOL役。そこはまあ、巨乳に免じて(笑)

ノリノリの監督さん(笑)
かなりノリノリの出演だった監督の彭浩翔(パン・ホーチョン)。日本語字幕では「カンちゃん」との呼称だったが、中文字幕では「豬豬」、直訳すれば「豚豚」。トントンとでも言いますか。今年は豚年(日本に干支が渡った時代には、日本に豚はいなかったので、猪に置き換えられた)だから豬豬(笑)。イージーな命名がいかにも旧正月映画っぽくてよろしい。しかし、なんで「カンちゃん」なんやろ?

他にも色々突っ込みどころ満載にして、そこが逆に笑いのツボでもあり。謝賢(パトリック・ツェー)や邵音音(スーザン・ショウ)といった大御所も出演。なんか久々に、超久々に、香港の旧正月映画を存分に楽しんだって感じ。大満足のひとときだった。

さて、エンディングは陳奕迅(イーソン・チャン)が歌う『最佳損友』が流れて、「へー、テーマは友情やったんか~」なんて感心してたら、そうはいかんわな(笑)。こんな感じで終わったのが、また大変好ましい。

《恭喜八婆》(Missbehavior) 電影預

(平成31年3月17日 シネ・リーブル梅田)



 


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