中国映画祭「電影2018」
『追跡』(中題=追・踪)
2本目は『追跡』という作品。こちらも本国では4月の公開予定になっている。
ポスターやスチール、紹介文などを見るにつけ、さっき観た『無言の激昂』同様に、重たい感じが漂う。気分的には、からっとお気楽な作品を観たいってところだが、きっとそういう作品はあんまり中国では作られていそうにないなあ…。
「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。
中題 『追・踪』
英題 『ASH』
邦題 『追跡』
製作年 未公開(2018年4月公開予定) 2017年10月14日、「第22回釜山国際映画祭」で上映
製作地 中国
言語 標準中国語
評価 ★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)
導演(監督):李霄峰(リー・シャオフォン)
主演(出演):羅晋(ルオ・チン)、聶遠(ニエ・ユエン)、黄覚(ジュエ・ホワン)、姜珮瑶(ペイヤオ・ジャン)、辛鵬(シン・ポン)
<概要>
医学部の学生と製鉄所で働いている青年が1冊の本を通じて友達になった。同じく生活に恨みを持っている2人は共謀し、殺人を犯してしまう。犯行後、二度と会わないことを約束して2人は別れ、事件の手掛かりを追う若い警察官は彼らを捕まえることができなかった。10年後、医学部学生は一人前の医者に成長し、幸せな家庭を築いていた。一方で、良心の呵責に苛まれた製鉄所の青年は約束を破り、医者を見つけ出そうとする。
ついに再会した2人は贖罪をするのか、それとも壊滅への道を選ぶのか…。
(「電影2018」HPより)
1本目の『無言の激昂』での質疑応答が白熱したこともあり、外のうどん屋とかに行く時間もなく、館内でホットドッグを食らう。朝飯兼用としては、寂しいメニューだが、これこそ二度寝の悲劇である(笑)。
そしてこっちも重たかったが、さっきのとは違い、クライムサスペンスとでも言うべきもので、二つの殺人事件を扱いながらも、重苦しい気分にはならなかった。そして結末もはっきり誰にでもわかる形でケリをつけているので、あれこれ考えずに済む分、気楽なもんであった(笑)。
んなワケで、俳優もじっくり観察できた。
主役の位置づけにある、医学生、後に善意あふれる医師を演じた羅晋(ルオ・チン)と、製鉄所工員、後に生花店店主を演じた辛鵬(シン・ポン)が、やっぱり光る。まあそこは、光るような役どころだから当たり前なんだけど(笑)。
羅晋は1981年生まれで、テレビドラマ出演が多い俳優で、映画はこれが8作目である模様。画像を検索すると、古装片が圧倒的に多く、時代劇俳優での活動が多いようだ。一方の辛鵬は1992年生まれで、李霄峰(リー・シャオフォン)監督作品の出演は、『少女哪吒』に次いで2作目である模様。劇中では、双方にとって目障りな人物をそれぞれ本人の代わりに殺害する。
過去の殺人との向き合い方に、双方にズレが生じてゆき、最終的に悲劇を起こしてしまうのだが、その向き合い方を二人ともうまく演じていたと思う。特に、ゲストで上映終了後に登場した辛鵬は、ごくごく普通の今風の若者で、映画の中とは180度違っていたのにはけっこうビックリだった。劇中、何かを吹っ切るためなのか、ディスコのお立ち台で狂ったように踊るシーンが印象深い。
かれこれ20年前に、長江下りの出発点として遠路、昆明から鉄道で乗り込んだ重慶の街が舞台となっていた。劇中では重慶とは一言も言ってなかったが、見ればわかる。ここも他都市同様、再開発が猛スピードで進み、あのころの風情はこの作品の中ではほとんど見られなかったが、暑くない季節にまた行ってみたいと思っているが、さてどうなりまするやら…。
上映後、ゲストの質疑応答で辛鵬と李霄峰監督がステージに上がったが、残念ながら次の予定があったので、写真を1枚撮ったところで退散。どんなハナシになったかは、またどこかの誰かが詳しく書いてくれるだろうから、そっちをご覧になってくだされ…。
(平成30年3月11日 梅田ブルク7)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。