【睇戲】『私の少女時代』(台題=我的少女時代)

『私の少女時代』
(台題=我的少女時代)

今年の大阪アジアン映画祭で見逃してしまった作品。
見逃したというよりは、即完でチケット買えなかったという悔しさ。我が家のPCの反応がもうちょい良ければゲットできていたかもと思うと、さらに悔しい。

待つこと9カ月。意外にも早く劇場公開となった。こういうナントカ映画祭で上映されて好評だったからと言ってそれが劇場公開につながるというわけでもない。マニア受けしても一般に受け入れられなければその後映画館でお目にかかることはできない。そこはそれ、興行の世界。ビジネスだから仕方ない…。

で、この『私の少女時代』はそのハードルをクリアして、いままさに全国の映画館で上映されているのである。よかったよかった。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

%e6%88%91%e7%9a%84%e5%b0%91%e5%a5%b3%e6%97%b6%e4%bb%a3台題 『我的少女時代』
英題 『Our Times』

邦題 『私の少女時代』
制作年 2015年
制作地 台湾
言語 標準中国語、閩南語

評価 ★★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):陳玉珊(フランキー・チェン)

領銜主演(主演):宋芸樺(ビビアン・ソン)、王大陸(ダレン・ワン)、李玉璽(ディノ・リー)、簡廷芮(デヴィ・チャン)

特別演出(特別出演):劉德華(アンディ・ラウ)、陳喬恩(ジョー・チェン)、言承旭(ジェリー・イェン)

t01a_170686上の台湾版のポスターにしろ、こっちの日本版のポスターにしろ、そしてそのタイトルにしろ、想像できるのは「キャンディーのように甘い少女漫画的学園恋愛もの」のというのが正直な印象だったが、ストーリーが進むにつれて、まるで少女のように胸がキュンキュンしてきて「50過ぎたおっさんのハートをこんなに締め付けるものは何なのか?」と思うに、結局この作品もまた「集體回憶=集団の記憶」にやられたのである。そのメーンにいたのが、この作品の舞台となった90年代初頭も今も中華圏アイドルの頂点にいる劉德華(アンディ・ラウ)なのである。

「集體回憶」にやられた作品には、『点対点』、『王家欣 ウォン・カーヤン』があるが、今作は後者で感じた「集體回憶」に似た感覚だった。それにしても、恐るべし劉德華である。

568cbf7de6bc390年代も!
21世紀も!

284534220435劉德華はずっとアイドル!

さすがに90年代での登場は無理があったか、等身大パネルでのご出演だった(笑)

img_3540シネマート心斎橋での上映は12月3日からだが、それに先立つ11月26日、先行上映会が行われ、主人公の林真心の少女時代を演じた宋芸樺(ビビアン・ソン)が上映後、舞台挨拶に立った。あ、もちろんこの上映を逃さなかったわけだけど、びっしり満員でびっくりした。とにもかくにも、みなさんお好きです(笑)。

女子高生役での出演だったことを意識してか、制服を思わせるいでたち。いやもう、かわいいねえ、ホンマに。おじちゃんは舞台に立った娘の晴れ姿を客席の片隅から見守る父親の心境だったよ(笑)。
撮影のエピソードなどを二つ三つお話しして舞台を下りたけど、よく日本へ来てくれた。たしか今作が映画出演2作目のはず。これからのお嬢さん。期待しようではないか皆の衆!

<ネタバレ御免!(勘弁してほしい人はスルー願いたし!)>

【甘口評】
とにもかくにも、宋芸樺(ビビアン・ソン)の好演技が光った。舞台挨拶翌日のスポーツ紙などの報道では「台湾の新・国民的アイドル!」なんて書き方してるのもあったけど、正直そこはまだまだ未知数の部分だと思う。そうなってくれればうれしいな…ってところだが。

前半のイケてない女子高生から一変、兄貴の彼女のアドバイスも受けて校内のだれもが振り返るような美少女に変身してから、グッと王大陸演ずる徐太余への思いが募って行くあたりに、女性は胸がキュンとするんだろうな…、違うのか?(笑)。その王大陸も問題児(実は優等生だった過去アリ)を体当たり演技。彼もこれから台湾を代表する俳優になっていきそうな予感。あの手の顔は日本でも受けそう。あ、李玉璽(ディノ・リー)の足の長さにもびっくり!

冒頭で記したように、劉德華(アンディ・ラウ)が1分ほどの出演にもかかわらず、客のハートをつかんでしまうのには恐れ入った。大人になった主人公の林真心がアンディのライブのサイトを開けた途端に目に飛び込んできた「チケット完売」の文字に「30年前からずっとアイドル、賞味期限はないの?」と叫ぶシーンが印象的。彼が歌ってこのころ大ヒットした『忘情水』も効果的に使われていて小生なんぞは、心中「やられた!」と涙ぐんでしまう。

アンディに限らず、草蜢(グラスホッパー)の『失戀陣線聯盟』、鳳飛飛『追夢人』、使用曲リストにはないがアンディ主演映画『アンディ・ラウの逃避行(香港・1990『天若有情』)の主題歌『天若有情』(唄・袁鳳瑛)など、あのころの香港、台湾芸能を知る世代には、こっちの方がずっと胸キュンだったりする。

「女の子が大丈夫と言う時は、大丈夫じゃないとき」
これは名言だな。しっかり胸にとどめておこう、恋愛で失敗しないためにも(笑)。

【辛口評】
作品自体に突っ込みどころはほとんど見当たらないが、せっかく吹き替え版まで作って、日本の女子たちにも観てもらおうという姿勢にもかかわらず、今の日本の女子高生にはこの手のストーリーは通じにくいんじゃないかと思った。現に2回目に観た日曜午後(字幕版)では客席は寂しく、若者の姿は無かった。実際、記録的な興行成績となった台湾でも、客層には中年が目立ったというから純愛学園ものは難しい時代なのかなとも…。

先行上映とロードショウとで2回観た。やっぱり胸キュンになる。特に終盤の屋上での雨のシーンはハートが痛む。と、50過ぎたおっさんをここまでにさせるのは、やっぱり「集體回憶」の効果。【甘口評】で記した「あのころ」の歌や映画のシーンが散りばめられていて、「おお、この場面でそれきたか!」な制作側への「共感」があったから。そうでなきゃ、イケメンとカワイ子ちゃんの純愛学園ものを2回も観に行ったりはしないよな(笑)。

SNSはもちろん、ネットすらなかった時代の恋愛というものにも、自然と共感するものがあった。歳は取りたくないもんだね(笑)。あのシンプルな時代よ…。

img_3627シネマート心斎橋は主役の宋芸樺一色だったが、台湾なのになぜ簡体字なのだ?
ご配慮を願う!

電影【我的少女時代】正式預告終極版 -1080P高畫質版

(平成28年11月26日、12月11日 シネマート心斎橋)



 


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