【睇戲】『共犯』(台題=共犯)

『共犯』
(台題=共犯)

しばらく香港映画、台湾映画の上映がなく(探せば、いくらでもあったかもしれないけど)、少し飢えていたら、シネマート心斎橋で台湾映画『共犯』が公開されていると知り、さっそく酷暑の中、アメリカ村まで。

夏休み中のアメ村は、坊ちゃん、嬢ちゃん、もはや当たり前になった大陸旅団など、人がいっぱい。暑い中、皆、ご苦労である(笑)。
この作品も、そんな坊ちゃん、嬢ちゃん世代がメーンキャストとの物語。客席は大人ばっかりだったが、PR次第では、こういう世代にも観てもらえたと思うんだが、どうなんでしょうねぇ、その辺は。まあ、内容がタイトルからも何気に想像できるように、刺激が強いからなぁ…。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

PartnersInCrime-poster台題 『共犯』
英題
 『Partners In Crime』
邦題 『共犯』
製作年 2014年
製作地 台湾
言語 標準中国語

評価 ★★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):張榮吉(チャン・ロンジー)

主演(出演):巫建和(ウー・チエンホー)、 溫貞菱(ウェン・チェンリン)、鄭開元(チェン・カイユアン)、 鄧育凱(トン・ユィカイ)、 姚愛寗(ヤオ・アイニン)、 洪于晴(サニー・ホン)、 李烈(リー・リエ)、 柯佳嬿(アスター・クー)、梁赫群(ヴィンセント・リアン)、 黃鐙輝(フランキー・フアン)、黃采儀(アリス・フアン)

片尾歌(エンディング曲):flumpool 『孤獨』(『強く儚く』を中文書き下ろし)

監督は、『逆光飛翔』(邦題『光にふれる』)で、視覚障害ピアニストの感動の物語でデビューし、台湾金馬奨新人監督賞を受賞した張榮吉(チャン・ロンジー)。今回は、まったく趣の違うサスペンス系学園ものを世に送り出した。「送り出した」と言うよりも、「世に問うた」とした方が正確かもしれない。

【甘口評】
主人公となる6人の男女高校生、とりわけ男子3人が、なかなかの性格俳優ぶりを発揮していた。ある作戦を「共犯」し、その成功を喜び、池で水浴びして戯れていた3人のうち、溺れて死んでしまう黄立准を演じた巫建和は、すでにテレビドラマや映画で主役級を務めているが、あとの2人、鄭開元と 鄧育凱は、ともにこの作品がデビュー作。監督は、高校生たちの人選について、色んな学校を回って決めたと言う。決め手は「私の思い描くイメージにより近い高校生をありのままで演じられる」こと。そのために、家庭環境などについても深く入り込んで、聞き取りをしたらしい。その甲斐あって、作品が非常にリアリティーなものになっていたし、少年3人の「孤独」の叫びが、見る側の胸に強い痛みを覚えさせる効果をさらに上げていた。SNSの使い方も、効果的だった。
色彩トーン、カメラアングルなども、サスペンスらしい、息詰まる雰囲気に仕上がっている。『牯嶺街少年殺人事件』と似て非なるものか、と思って臨んだが、そんな「甘い見込み」を大きく裏切ってくれた。若いキャスト、監督の今後の飛躍を感じさせる。

【辛口評】
特に不満な点はなく、満点を差し上げたい作品。ただ、最初の方にも記したけど、せっかくflumpoolが中国語でエンディング曲を歌う学園サスペンスなのに、どうもその世代へのアプローチに欠けているようで、少なくともこの日は、客層の年代が高かった。結局、中華電影おたく向け作品の範疇止まりなのかと思うと、すごく残念。

《共犯》正式預告HD

(平成27年8月6日 シネマート心斎橋)


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