【上方芸能な日々 落語】第357回上新庄えきまえ寄席 BUNTOらくごワールド2014

台風11号。「強い台風」だそうで、各地で被害続出。南東の風が吹き込みにくい地形の大阪は、こういうとき、雨の被害は最小限にとどまることが多いが、さて今回はどないなことに?

などと、安穏と構えてたら、まだそやつは遥か四国沖にあるというのに、大阪市内は午前中、香港式に言えば「黒色暴雨警告(大雨警報の最上級)」な土砂降りで、
「こりゃ、情況によっては行くのを断念するしかないな」
などと思いながら、ひたすら台風情報を流すNHKを凝視しているうちに、なんとなく雨も小休止となったようで、
「ほな、行きまひょか」
と、阪急京都線上新庄は春日神社へ向かう。
途中、淀川を渡ったら、「うひゃ~!」っと驚くほどの水量でもなく、まあその辺は堰でうまいこと調整してはるんやろうけど。
阪急電車淡路の駅前周辺が更地になって、着々と高架工事が進行していて、こっちにびっくり!
思えば、大学時代は毎日、この駅を通って北千里行きを利用していたわけで、当時の雑多な駅前周辺の光景が脳裡に焼き付いているだけに、驚き具合は強烈。「おんや、まあ!」
今日は、大学時代に利用の千里線ではなく、京都線で淡路の次の駅、上新庄に。ちょっと駅間長い…。どうでもええけど。
この駅も、とある大学の受験の際に一回だけ降り立ったことがある。それ以来だから、おう!、32年ぶりなんか!!

てなわけで、歴史ある「上新庄えきまえ寄席」に357回目にして初めて参戦という、愚かなる落語ファンであった…。
いやねえ、大阪の人なら理解でける思うけど、市内南部の人間が淀川越えて遊びに行くって、なかなか無いのよね、ましてや台風の日に…。
え?それは俺だけ?…。ああ、そうでっか、えらいすんまへんな…。

第357回上新庄えきまえ寄席
BUNTOらくごワールド2014
kamisinjyo0809

この会ははずしたくなかった(でも、ご予約はギリギリw)。
文都師匠の二番弟子、秀都(しゅうと)の初高座の日。どんなヤツなのかな~。アラ探しして、いびったろ~。なんて少しは考えているけど(笑)、デビューを温かく見届けてあげましょうという、実に心やさしい落語ファン、それが俺!

<ネタ帳>
『東の旅』       月亭秀都
『延陽伯』       月亭方気
『船弁慶』       月亭文都
        仲入り
『十枚目』       月亭天使
『一文笛』       月亭文都

新弟子の初高座を観ると、寿命が延びる…、なんてハナシはございませんが、こういうのは見ておいて損は無い。いずれそいつが売れっ子になったら「俺なあ、こいつの初高座ナマで見てんでぇ~」と、人に自慢の一つもできるというもの(笑)。ってわけで、秀都くん、初高座。緊張してハナシが飛んでしもても、そこは初高座のご愛嬌、笑って許そう…。なんて思っていたら、アナタ、こりゃもう堂々としたもんでござんすよ。新人の第一歩『東の旅』から「発端」そして「野辺」あたりまでを、基本所作の基本中、「叩き」でテンポよく進めて行く。なかなかやるなあ。記念すべき初高座でここまでできるのは、本人の努力、持って生まれた素質もあるだろうし、なんと言ってもそこは、師匠の指導の賜物!(と、文都さんを誉めておくw)

方気(ほうき)くんが二番手で登場。こちらも、まあ、新人さん。八方師匠の六番弟子。新人とは言え、すでに31歳とかで、その辺の「人生経験」がハナシに落ち着き感を持たせている風情。写真で見ると、チャラいあんちゃんという感じだが、実際はそうでもなく、そつなくやってうように見える。あくまで「見える」だけどな。文都師に稽古をつけてもらい、もっぱら文都師と行動を共にしているようなので、しっかりきっちりと落語が身に付くのは間違いない。こちらも期待の若い人。

文都師はまず『船弁慶』で。ちなみに、秀都、方気、さらには囃子場の手伝いに来ている桂小留(かつらちろる=小枝門下)の3人とも関大出身とのこと。おお!俺のカワイイ後輩たちではないか!そうとわかれば、小留も含め、3人まとめて熱烈支持いたしまするよ! 上手かろうが下手だろうが(笑)。そう言えば小留って文楽の咲寿太夫の同級生のはず…。で、『船弁慶』。文都師匠のこのラインのハナシ、好き。若干、「そんな急いて進めんでも…」と感じる場面もないこともなかったけど、なんか久々にギャハハっと笑えたような気分がした。別に暗い日々を送っているわけでもないんだが、どうしたことでしょう…。

待望の弟弟子誕生で、ちょっと気が楽になった天使は『十枚目』という新作もので。ピンとくる人は落語好き。古典の『皿屋敷』の後日譚というかスピンオフというか、そんな感じのお話(そういう捉え方でエエねんよね、おねえさん?)。オチが「はは~ん、そう来たか。せやから十枚目なんやね」と、わかるのに数秒要した。もっとネタ振りがあれば、ストンと落ちたのになあ~。まあ、そこらへんは磨いてゆくのでしょう。次に機会があればそうなってるように期待。

トリは文都師で『一文笛』。若干、苦手なパターンのハナシ。これはねえ、やる人によっては、寝てしまうネタ(笑)。実際、お客が10人もいない会で、ある人がこれやってしまって、堂々と居眠りこいてしまったもん、アタシ(笑&ごめん)。あ、もちろん今日の文都師匠では寝ませんよ。なんでこうも差がつくのかな…。ま、それはさておき、いつも思うけど、トリは「どうだまいったか!」みたいな大熱演の大ネタよりも、これくらいのライトなネタで締めてくれる方が、小生としては嬉しい。ほら、文楽や歌舞伎でも最後には「追い出し」って言うて、景事や舞踊もので締めるやんか。ああいうのがイイなあ。『一文笛』が「追い出し」なのかどうかは、位置付けが難しいけど…。

こんな感じで、「初めての上新庄えきまえ寄席」、そして秀都くんの初高座を見届けた次第。お師匠はんのもとでしっかり修業積んでください。大いに期待そして末永く応援していきますからね!

余談ながら。この日、堂々の初舞台を踏んだ秀都だが、バタバタした場面も実はあったのだとか。その辺は文都師匠のブログをご一読を!

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(平成26年8月9日 上新庄春日神社)


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