【上方芸能な日々 素浄瑠璃】第16回 蝠聚会(ふくじゅかい)

素浄瑠璃
第16回 蝠聚会 文楽座三味線弾きが語る素浄瑠璃の会

文楽ではごくたまに、人形遣いさんが太夫を勤めたり、太夫や三味線弾きが人形を遣ったりする「天地会」というファンサービスの会が、節目のイベントなどで行われることがあるが、毎年1回ながら定期的に開かれている「蝠聚会(ふくじゅかい)」は、イベント性のある会ではなく、三味線弾きが太夫を勤めることで、作品を一層理解しようという前向きな「勉強会」である。今年で16回目だとのことだが、会の存在はかねてより知ってはいたが、どうも訪れるタイミングが合わず、今年初めて拝聴に参ずることができた。

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前日には、大盛況のうちに夏休み特別公演が千秋楽を迎え、間髪いれずに三谷幸喜による新作文楽『其礼成心中』の京都公演(8月7日~17日)の初日を2日後に控えるという時期に、このような会が開かれるほど、文楽の面々は舞台に稽古にと多忙な日々を送っているのだから、もうねえ、ホンマ身体は気ぃつけてくださいよ、と。

会場が小ホール、前売り券も買いそびれているというかなりの悪条件の中、「行ってみなわからん」と駆けつけ、受け付け中の宗助師に「当日券おまっか?」と聞けば、「ございますよ」と。座席表見ればあと数席。ラッキーやんかいさ!どやさ!

まあこの暑い中、びっしり満員。皆さん、お好きです。

『菅原伝授手習鑑』
「杖折檻の段」
・浄瑠璃 鶴澤清介
・三味線 鶴澤清公
「東天紅の段」
・浄瑠璃 竹澤宗助
・三味線 鶴澤清馗

<休憩>

『傾城阿波の鳴門』
「巡礼歌の段」
・浄瑠璃 鶴澤清丈 鶴澤清公
・三味線 竹澤團吾

清介師匠、宗助さんともに、昨日今日の太夫よりは数倍上手。とくに宗助師の大熱演の東天紅は、お客をグイグイ引き込んでゆく力。さすがにこの辺クラスになると、作品の「肚」というもの、登場人物の「性根」というものなんかをよくわきまえてるんだろうな。そういうのが日頃の三味線にも現れる。

清丈くんは勢いで語りとおし、清公くんはやっぱ、かわゆいね(笑)。彼が「巡礼にご報謝~」なんて言うと、もうかわゆくってねぇ~(笑)。<あ、ヘンな趣味は持ち合わせておりませんよww

「もっと声出せ!」とか「腹に力込めんか!」なんて野暮は申しませぬ。太夫の経験をすることで、太夫が語りやすい環境を作るにはどうすればいいかなんてのが、わかるのだろう。そういう経験も積むことも大事だなと。こういうことにトライする三味線弾きの面々の意気を買いたい。

最後は出演陣全員舞台に揃い、代表して清介師がプチ・トーク。このお師匠はん、密かにおもろいねん(笑)。昔からそこんとこも注目してねんけど、日常の舞台でおもろいこと言うことないしね、こういう場が狙い目(笑)。で、恒例により、大阪締めでお開きに。あ、ひとつ要望だけど、やっぱこういうんは、昼間やなしに夜にしてもらわれんかな? なかなか昼間は行きにくいよ。職業・暇人とは言え、それこそ「暇人」という仕事もあるわけで、こっちも…。頼みますわな、そこらのこと。

この日は速報で11月公演の配役表が出た。やはり錦糸さんは嶋さんとペアだ。これは素敵だ! それまではアタシの文楽活動はお休み。え?『其礼成心中』は、って? アタシは行かないね。ほとんど興味なし! えらい人気らしいけどね…。

(平成26年8月5日 日本橋国立文楽劇場小ホール)


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