【上方芸能な日々 文楽】文楽鑑賞教室


「もうええかな?」と思いつつも、やっぱり来てしまう鑑賞教室。今更、教室で教えてもらうことなど、全くないのだが、そこはまあねぇ(笑)。お値段が安いのと、中堅若手中心の座組になるので、「ほー、こんなんできますか!」みたいな発見もある。ちなみに昨年は、スケジュールの関係で、外国人向けの鑑賞教室に行ったんだけど、あれはあれで、「へ~、こういう感じでやってるんや~」と勉強になりました(笑)。

暑い季節に突入したが、今年もまた『仮名手本忠臣蔵』で攻めて来はります(笑)。昨年は「二つ玉」「身売り」「勘平切腹」で、今年は「殿中刃傷」「判官切腹」「城明け渡し」。いわゆる「通さん場」があるので、休憩時におしっこしておかねば…。

人形浄瑠璃文楽
第40回文楽鑑賞教室

五条橋

牛若丸 芳穂
弁慶 小住
碩、聖
清志郎、寛太郎、清公、燕二郎

床は盤石。聖太夫も、このメンツの中で存在感を出していた。人形は弁慶の玉翔が力感を見せる。小住の浄瑠璃とよきマッチング。

《解説 文楽へようこそ》

解説者は蓑太郎。こういうのは、きちんと台本があるので、基本的には余計なことはしゃべらないけど、ちょっとだけ笑いを起こしてたねw。機転の利いたアドリブの有無で、一見さんののめり込み具合も変わると思うので、多少は遊んでいいでしょう。お手伝いで左を和馬、足を簑悠(だったはず)。

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仮名手本忠臣蔵
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<殿中刃傷の段>
靖 清馗

靖と清馗、とても良かった。特に、靖太夫は本公演でここを聴いてみたいし、その力量は十分あると感じる熱演だった。

<塩谷判官切腹の段>
睦 勝平

心配は睦太夫(いつも辛口でゴメン!)。人の心配どこ吹く風で、あくまでも端正に丁寧に聴かせてくれた。勝平のリードも良かったのだろう。客席をピンと張りつめた空気が支配し、この場面にふさわしい緊張感を味わえた。お陰で、床が回ると同時に、一気に尿意を感じてしまい、トイレへ一直線(笑)。

<城明渡しの段>
薫 清方

鑑賞教室出演メンバーでは、一番キャリアの浅いコンビニなるのかな。簾内からの「はったと睨んで~」、毎回言うけど、文楽で一番やらせてほしいシーン。薫もよく声を響き渡らせていた。ここまで中々の良い流れで幕を下ろした。

人形では判官の一輔が相変わらず動きが美しいし、由良助の玉佳も「駆けつけました~」感を存分に見せていた。

「若手会」ほどに明確ではないものの、「鑑賞教室」も若手を中心にして中堅、ベテランが「ここぞ」を締める舞台になる。そんな中で、10年後、20年後が楽しみな若手が懸命につないだ「忠臣蔵」は、見ごたえがあった。10年後はまだしも、20年後は小生は多分、生きてない(笑)。

(令和5年6月17日 国立文楽劇場)


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文楽の三大名作と言われている「仮名手本忠臣蔵」をDVD化。NHKと国立劇場に保管されているアーカイブ映像より全段を収録した作品。今作は大序から四段目「花籠の段」「塩谷判官切腹の段」「城明渡しの段」までを収録。


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