【睇戲】少林寺 <4Kリマスター版>


「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

なんとまあ!あの『少林寺』が4K修復版として21世紀の今、再びスクリーンで観ることが叶うとは!

いやはや、長生きするもんだ(笑)。なにせ1982年の公開である。当時、小生は浪人生活の真っ最中。予備校帰りに、阿倍野のノーパン喫茶「あべのスキャンダル」でキャッキャしたり、授業さぼってビリヤードで遊んだり、夏にはキャンプやらなんやら(笑)と、とにかく「大学生か!?」ってくらい遊んでた時代。そんなときに観た李連杰の少林拳法に衝撃を受けたのである。何と言っても、李連杰と小生は同い年ってのが衝撃度抜群(笑)。片や、キレッキレのアクション俳優で一世を風靡し、片やノーパン喫茶に入り浸り…。あかんがな、こんな日々送ってたら、と思ったかどうかは忘れたけど(笑)、とにかく「すごいなー!こいつ!」と思ったのは確か。

そんな様々な思いを抱きながら、よみがえった『少林寺』を観てきた。

少林寺 邦題:少林寺 

港題『少林寺』 英題『The Shaolin Temple』
邦題『少林寺』 公開年:1982年 製作地:香港、中国
言語:標準中国語
評価:旧作につき、評価無し

導演(監督):張鑫炎(チャン・シンイェン)
編劇(脚本):薛后(シッ・ハウ)、盧兆璋(ロー・シウチェン)
監製(製作):廖一原(リャオ・イーイエン)
武術指導(武術指導):馬賢達(マ・シャンダ)、于海(ユエ・ハイ)、潘清福(パン・チンフー)、王常凱(ワン・チャンカイ)

領銜主演(主演):李連杰(リー・リンチェイ)、丁嵐(ティン・ラン)
聯合主演(共演):于海(ユエ・ハイ)、于承恵(ユエ・チェンホイ)、王光權(ワン・クァンチュアン)、閻滌華(イェン・ディホア)、張建文(チャン・チェンウェン)、胡堅強(フー・チェンチァン)、孫建魁(スン・チェンクェイ)、王珏(ワン・ジュ)、劉懐良(リウ・ハイリャン)、計春華(チー・チュアンホア)

中国隋朝末期。激しい動乱の最中、圧政を強いるワン将軍(ユエ・チェンホイ)に囚われた青年シャオフー(ジェット・リー)は、目の前で父親を殺害され、自身も重傷を負いながらもなんとか逃れ、少林寺の門前で倒れたところを僧侶たちに助けられる。心優しいタン師父(ユエ・ハイ)や師父の娘パイ(ティン・ラン)らの介抱で元気を取り戻したシャオフーは、父の敵を討つことを誓って少林寺の仏門に入り、厳しい修行の末、立派な少林拳士へと成長していった。しかしワンの魔の手はついに少林寺にも迫り、シャオフーは師父と若き勇敢な僧侶らとともに、ワン将軍の軍勢に決戦を挑んだ! <引用:作品公式サイト>

「色褪せない面白さ」とは、こういうことを言うんだ、というのがよくわかる。ほんと、この映画は面白い。とにかく李連杰はもちろんのこと、他の出演者(ええもんも悪いもんも)みなさん、武術が凄い!上のポスターのコピーにもあるように《中國功夫驚天下、天下功夫出少林》ってもんで、それはまた《唯我獨有》という次第だ。

「かいらしい」李連杰。右はヒロインを務めた丁嵐(ティン・ラン)

そういえば、このころの李連杰は「ジェット・リー」ではなく、「リー・リンチェイ」って呼ばれてたなぁ。作品のクレジットもそうなっていた。「かいらしい*男の子やなw」と思ってたら、どえらい技を連発して「ほぇ~!」ってスクリーンに釘付け。さらにプロフィール見たら小生と同じ年!「なんじゃ、こいつ」ってもんですわなww。で、後に「『少林寺』のジェット・リー、待望の最新作!」なんてコピー見て、「へ?そんな英文名の奴、出てましたぁ?」と思ったら、何のことない、あの「かいらしい」李連杰ではないか(笑)。そんな時代もまた懐かしい。

*かいらしい:大阪弁で「可愛らしい」の意。本人は「かわいらしい」と発音しているつもりでも、「かいらしい」と言っているw

最近のことだが、李連杰自身がインスタに10代の頃と思しき画像を数点アップした。この年になると、やたらと昔の紅顔の美少年だった頃の写真を懐かしがるんだ。同じ1963年生まれ、この気持ちはわかるなぁ…。って、画像アップの真意を勝手にわが身になぞらえてみただけだが…。ジャージに北京と大書されていることから北京什刹海体育学校(71年に入学)で武術を学んでいた時代だろう。ちなみに、小生とは生年月日が全く同じの甄子丹(ドニー・イェン)と李連杰は、この学校の同級生である。

さてさて、この作品については、色々語りつくされているので、小生ごときがあーだのこーだの言うこともないのだが、今回久々に大きなスクリーンで観て、思ったこと感じたことを、ちょいとだけ記録しておきますわな。

みんなこのポーズ真似したでしょ?(笑)。やってみてわかる、出演者たちの身体能力の高さが!

冒頭、中国の「嵩山少林寺」と日本の「少林寺拳法」に関するちょっとしたドキュメンタリーがある。この部分に関してはあれこれは控えておくが、結果的に、この映画がきっかけで、当時は荒寺同然だった嵩山少林寺が少林拳の総本山的な場所となり、やがて観光地化してゆくことになったのだろう。そして映画の世界においても「少林寺ブーム」が巻き起こり、嵩山少林寺や少林拳を題材にした作品が続々と作られてゆく。いまだに少林寺ものは製作されていることからも、この作品の功績は大きい。

作品の時代背景は隋末期の混乱期から唐の成立あたり。李世民(太宗)が登場する。この時代に果たして少林寺が存在したかどうかは…。まあ、そこはあくまで娯楽なんで見て見ぬフリしておきましょう♪

ドキュメンタリー部分に続いて、ああ、懐かしのあの歌、♪少林(しゃーおーりーん)、少林(しゃおりん)…で始まる主題歌が流れる。あの歌は頭から離れないね~(笑)。少林僧から勇気をもらえるような、いい歌だと思う。下記の予告編でも聴くことができるので、ぜひ少林寺の世界に浸ってほしい。

ストーリーについては多く語られているので、そちらの上手くまとめてはる美文をご確認いただくとして、印象深い人物・俳優について触れておきたい。

『少林寺』と言えば何と言ってもこのシーン。「ㇵッ!ㇵッ!ㇵッ!」の掛け声がいつまでも耳に残る!

まずは何と言っても主役の李連杰。圧政を強いる王将軍(演:于承恵/ユエ・チェンホイ)に父を殺されるも、命からがら少林寺に逃げ込む。この頃は小虎(シャオフー)と名乗る。快復するにつれ、快活な若者としての本来の姿を取り戻す。スキンヘッドや五厘刈の頭を見慣れているので、若々しいフサフサなロン毛の李連杰は新鮮。やがて少林僧たちの技の数々や稽古を見て、沸々と王将軍への復讐の念を燃やす。そして、少林僧として修行の日々へと入ってゆく…。ここでトレードマークともいえるスキンヘッドで「いつもの」李連杰に(笑)。ちなみに、少林僧の前頭部にあるやいと(お灸)の跡みたいなん、あれ「戒疤」って言うそうですよ。

山中で春夏秋冬かまわず修行を続ける。いかにも「スタジオ撮りで~す!」みたいなセットが、80年代を感じる場面だった

少林僧になってから色々あったが(笑)、ついに王将軍と対決の時を迎えた小虎改め覺遠(チュエン)が、修行で身に着けたキレッキレの少林拳炸裂。いや~、カッコいい!ほんと、動きが素晴らしい。王将軍も「酔拳」の相当な使い手で一筋縄ではいかない相手だが、10代の躍動する、そして父の敵討ちに執念を燃やす覺遠には敵わず、ついに撃沈!と、言葉で書くとたったこれだけなんだが、実に見ごたえのある格闘シーンだった。李連杰は初演作にして出世作となるこの作品で、その後の人生が決まったようなもんだ。

行き倒れ同然で少林寺にたどり着いた小虎を迎え、介抱する面々もナイスガイ揃い。中でも師父(=師匠=演:于海/ユエ・ハイ)の優しい笑顔が印象深い。小虎や弟子たちを見守る、まさに師であり父の顔。修行は厳しいが、時に寺の戒律をフレキシブルに解釈して、犬肉を食っちゃったりする一面もあって、好感度抜群。壮絶な最期もまた目に焼き付くシーンであった。

その師父の娘、 丁嵐(ティン・ラン)が演じた白無瑕(パイ)が印象深い。「白い瑕(キズ)の無い」とは大層な名前だ(笑)。昔観た時はたしか「中国にもなかなかかわいい子おるねんなぁ」と感心したような記憶が微かにある。今、改めて観てみるとかわいいと言うよりも、勝気な雰囲気を感じた。年齢とともに女人から感じるものも変わるのやね(笑)。もっとも、二十歳の頃って、女子を見れば「かわいい」の一言で片づけるもんだがな(笑)。

小虎はこの子の飼い犬を誤って圧死させてしまったため、気づかれないように丸焼きにして食べられてしまうわ、王将軍の手下に放牧中のヤギをひねり殺されるわで散々。動物愛護がうるさい昨今では、こういうシーンは撮れない。ヤギは絶対に何頭か撮影中に殺戮されてるな、あの塩梅では(笑)。ま、そういうのが通じた時代よ、1982年。そんなこんな色々あって、展開的にもわかるけど小虎改め法名・覺遠と好き合う仲になるんだが、覺遠が本格的に仏門に帰依することとなり、戒律のために恋の成就はお預けとなる…。

明るく歌ってるけど、この後、悪党どもにヤギをひねり殺され、挙句は拉致らて、危うく王将軍の餌食にあうところを小虎に救出される

兄弟子たちもすごくいい連中。特徴として法名に「空」がつく。筆頭弟子(?)が悟空(演:胡堅強/フー・チェンチァン)。たしか地躺拳の使い手だったっけ。81年の全国武術大会のチャンピオン。強いし心優しい兄弟子。武術ついでに言うと、本作には実に多くの武術が出てくる。地躺拳以外では縄鏢蟷螂拳酔拳・酔棍少林拳三節棍槍術刀術鷹爪拳…。いずれもスタントやCGを使わない「リアルアクション」なので、想像以上に迫力があって後半の格闘シーンは手に汗握る得意武術の応酬となる。

あれこれ、つべこべ連ねてきたが、初の中・港合作映画となった本作は、世界中で空前の大ヒットとなり、観客を熱狂させたわけで、当時の最高レベルの娯楽大作だったのは間違いない。そんな作品を36年ぶりに4K(この劇場では2K上映w)で甦らせ、見せてくれたことに感謝感激!

映画『少林寺 4Kリマスター版』予告編

(令和4年4月27日 シネ・リーブル梅田)


←そのうち4Kバージョンのソフトが販売されんじゃないかと…。

『少林寺』 アルティメット・エディション

 


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