【上方芸能な日々 文楽】令和4年初春公演

新年、明けましておめでとうございます。今年もたま~にで結構ですので、拙ブログをちらっと覗いていていただければ、幸いでございます。

気が付けば、令和の時代も早や4年目。思い返せば、COVID-19に振り回された3年間でありました。年が明けても、まだまだCOVID-19はくたばりません。一体、この先どうなりまするのやら…。

そんな中、文楽の初春公演は無事に初日を迎えております。何かと制約があるのは昨年同様ながらも、まずは新しい年のスタートを切ることができたのは、何よりであります。

まずは、正月ムード漂う文楽劇場の様子をお伝えし、劇評なんぞは次回寄りということに。

劇場玄関には門松そして注連縄。初芝居の気分を高揚させてくれる。

入り口で、もはや入場のルーティンとなった「検温、手指消毒」、さらには間正しいマスク装着の確認を済ませるのだが、そのテーブルの向こうには、大きな三段重ねの鏡餅。

おなじみの干支の文字。今年は住吉大社は髙井道弘宮司の揮毫で「寅」。干支は「虎」ではなく、この字。大阪人なら、大寅だの別寅だのと蒲鉾屋を思い浮かべる字。ま、それも正月らしいというもんだ(笑)。

これまたおなじみの「にらみ鯛」。大阪人のバイブル『大阪ことば事典』に書かれてある蘊蓄が紹介されている。今では三が日のうちに食べきってしまうが、小生の幼いころは、三が日が終わるとアラを煮込んだり、残った個所をこの蘊蓄にあるように餡かけにするなどして、食べれるところは食べきってしまうようにしていたと記憶する。おばあさんが、そういうのん作るのが凄く上手かったが、おかんは…。怒られるからこれ以上はやめとく(笑)。

にらみ題は舞台の上にも。先ほどの「寅」の字をあしらった大凧をはさんでにらみ合う。客席がぐっと明るくなったように感じる。これを正月の「華やぎ」と言うのであろう。

盆の上にも鏡餅。くるりと回って太夫、三味線弾きが登場するのだが、回転の時に飾り物が落ちないかと、毎年ヒヤヒヤしながら見ているが、いまだ落ちたのを見たことがない(笑)。そんなん崩れ落ちるわけないやん、ちゃんとしてはるって(笑)。

床上の御簾にも注連縄。場面によっては太夫、三味線はこの中からということあるので、ここも大事な舞台。時に、御簾内の二人に大きな拍手が送られることもある。逆に、お目当ての若手が御簾内からって時は、「え~~!」とがっかりすることも…(笑)。

という正月の文楽劇場。劇評は今公演が終了してからじっくりと。

(令和4年1月9日 日本橋国立文楽劇場)


本稿で紹介の『大阪ことば事典』は、大阪の家庭に一冊常備しておきたい。「関西弁」などというメディアが作り出した似非方言ではなく「ちゃんとした大阪弁」を知ることができる。

『大阪ことば事典』 (講談社学術文庫)  牧村 史陽 (編集)
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大阪船場に生まれ育った生粋のなにわっ子、稀代の大町人学者とよばれる牧村史陽が、40年の歳月をかけて編纂したライフワーク。西鶴・近松の時代から現代まで、市井の老若男女のことば6400をあげ、最も大阪らしい表現はもとより、歴史的地名・歌謡・俚諺・遊戯・風俗・習慣・年中行事を微に入り細をうがって解説する。町の雰囲気、人々の生活・人情まで生き生きと映し出す編者ならではの無類の事典。全項目にアクセント付き。


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