【支連会解散】

<アイキャッチ画像:2014年6月4日の追悼集会で壇上に揃う当時の支連会幹部。もうこの光景を見ることはない。そしてこの写真を掲載した新聞ももう消えた(2014年6月5日付『蘋果日報』)>


香港市民支援愛國民主運動聯合會(支連会)が解散した。1989年の「天安門事件=六四」への抗議の声を香港から上げ続けた民主活動組織は、32年の活動に幕を下ろした。

総会に先立ち、すでに死去したメンバーに向けて黙とうを捧げる出席者たち by “支連会”

支連会は9月25日、特別会員総会を開催し、解散決議を可決した。

25日午後、旺角の六四記念館で特別会員総会を開催し、130余りの会員団体から45人の代表が出席したとのことだが、「え!まだそないにも残ってたん?」ってまず思った。春先から「あそこが脱退した、あの人が辞めた」ってハナシが後を絶たなかっただけに、この数はかなりびっくりだ。出席したメンバーは、社会民主連線(社民連)の陳宝瑩・主席(=長毛夫人、新婚ホヤホヤ!てっきり女長毛と夫婦なんだと思ってたw)や曽健成(阿牛=牛くん)、觀塘區區議会の蔡沢鴻・元主席らが出席し、解散決議投票の結果、賛成41票、反対4票で解散可決と相成った。見た目には「あらあら、こんなにあっけなく終わってしまうのか…」って感じ。

民主派きっての武闘派だった牛くんも、随分と年を取ったねぇ。解散には反対したとのことだが、要するに、こういうかつて暴れてた人たちの気力が萎えてしまったということやろね…

支連会なんてのは、最後は市民から「もう、あんたたち要らないよ」と完全にソッポを向かれて「どうやら我々の使命は終わったようだ」とか言ってションボリして終わっちゃうのだろうと思っていたが、国安法という支連会が一番立ち向かうべき相手を前にして、意外にも簡単に暖簾を下ろすことになろうとはねぇ…。徹底抗戦するんだと思ってたが、幹部が次々と逮捕されてしまった上、資産も凍結されちゃどうにもならんな…。これ、『蘋果日報』の時と同じ流れだな…。

by “明報”

上の写真は1989年5月21日、北京に戒厳令が発令され、10万と言われる解放軍が包囲したその日のもの。香港は100万の市民が抗議デモと集会を行い、天安門の学生や市民に声援を送った。集会後、司徒華(マイクを持った人物)は集まりを「全港市民支援愛國民主運動聯委會」とすると発表した。支連会はこの時スタートしたのだ。顔ぶれを見れば、その後、民主党教協といった民主派政党や民主派支持団体の成立に寄与したメンバー以外にも、現在は建制派の主要人物となっている者もいる。月日の流れを感じずにはおれない一枚である。しかし、左の二人を除くメンツは、六四、普通選挙要求デモ、尖閣など反日デモ…。あらあゆるデモの先頭に立っていたってが、なんとも味わい深い…。

六四のあの熱気を感じられなくなるってのは、ちょっと寂しさもあるな by “星島日報”

解散にあたって、支連会は即時、清算・解散手続きに入ると発表、支連会公司秘書の蔡耀昌らを清算人に委任。蔡は記者会見で「支連会は今後、組織の名義でいかなる活動も行わない」と表明した。というわけで、毎年6月4日のビクトリア公園での天安門事件追悼集会も終了。あっけないもんだ。六四の追悼集会は香港の風物詩であり、六四はすでに香港の季語みたいなもんだったからなぁ。

解散後、記者会見を開く蔡耀昌。歩道での会見になんとも言えぬ哀感が漂う by”大公報”

とは言え、香港特区政府保安局局長の鄧炳強はラジオ番組で、「いかなる団体・組織も違法行為があれば、解散したからと言って刑事責任を免れるわけではない」と語った。支連会の試練は、いよいよこれからが本番、ってところだな。(いや、意識して洒落たわけじゃないけどw)

警報の中、土砂降りになっても続いてきた六四追悼集会も、幕を閉じる… by “香港01”

これまで何度も記してきたが、小生と香港の縁を作ったのは香港映画だけでなく、「六四を香港から観察する」というのもあって、これはある意味、香港生活での大命題でもあった。だから6月4日直前の日曜日の六四抗議デモと6月4日当日の追悼集会は欠かさず現場で観察してきた。それだけに、支連会、六四の変容ぶりもじっくりと見てきた。本当に100人程度で行われたデモもあったし、「主催者発表」の数字よりはるかに少ない人数しか集まらない追悼集会も何度かあった。もちろん、上の写真のように悪天候の中での開催も何度もあった。それでも支連会は、一途にこの活動を続けてきた。その点だけは、偉いもんだと思う。

2008年、六四19周年の抗議デモ。フラッグを持つ支連会主要メンバーの顔触れに、時代の流れを感じる… 筆者撮影

それだけに、このような幕切れはとても切ない。支連会支持者ではない、むしろ反支連会の小生ですらそう思う。その切なさというのは、国安法がどーのこーのじゃない。むしろ、そっちに中央を動かしてしまった面々のしでかした事の罪の大きさに感じるのである。『蘋果日報』、教協、民陣そして今回の支連会。これも以前から何度も言ってきたが、暴力と破壊で「民主化」を果たそうとした連中の行動が招いた結果が、これである。「似非民主活動」は、結果としてすべてを破壊してしまった。そんな連中が、日本のメディアの取材でいけしゃあしゃあと「香港の未来は暗い」だのと抜かすな!と言いたい。一連の締め付け強化を見て、改めて連中の犯した罪の大きさを思うのである。

そして誰もいなくなった… by “端傳媒”

コメントを残す