【睇戲】海上花(邦題:フラワーズ・オブ・シャンハイ)

台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督デビュー40周年記念
ホウ・シャオシェン大特集

此度の「台湾巨匠傑作選2021」鑑賞予定も、あと2作品となった。観たいけど予定が合わなかった作品、「ま、いいか」とスルーした作品も数作あり、皆勤とはいかなかったけど、まあホント、よく観たもんだ。今度、いつ観られるかもわからんしね。行けるときに行っときましょ。この日は『海上花(邦:フラワーズ・オブ・シャンハイ』を観る。4Kデジタルリマスター版としては、劇場初上映だそうである。古い作品がどんどんデジタルリマスターされていくのは喜ばしいことである。フィルムのまま放置されていると、必ず傷んでくるから、こうしてデジタル化しておいてもらいたい。いわゆる「台湾ニューシネマ」ってのは、ナントカ映画祭で大きな評価は受けるけど、日本では劇場公開に至らず、現地台湾での興行成績もまったく振るわずで散々なことに。時代の先を行き過ぎていたのかな…。まあ、あの頃は香港映画や大陸映画が隆盛だったから、台湾映画自体が冬の時代だったってのもあるな…。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

劇場初上映
海上花 邦題:フラワーズ・オブ・シャンハイ

台題『海上花』4K全新數位修復版
英題『Flowers of Shanghai』
邦題『フラワーズ・オブ・シャンハイ』4Kデジタルリマスター版
公開年 1998年 製作地 台湾、日本合作
製作:松竹、侯孝賢映像製作有裉公司
配給:松竹富士(日本公開時)
言語:呉語上海方言、広東語
評価 ―

導演(監督):侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
原著(原作):韓子雲、張愛玲『海上花列傳
編劇(脚本):朱天文(チュー・ティエンウェン)
制片(プロデューサー):廖慶松(リャオ・チンソン)
監製(製作):楊登魁(ヤン・タンクェイ)、市山尚三
攝影(撮影):李屏賓(リー・ピンビン)、陳懐恩(チェン・ホアイエン)
剪輯(編集):廖慶松 配樂(音楽):半野喜弘 錄音(録音):杜篤之(ドゥー・ドゥージー)

領銜主演(主演):梁朝偉(トニー・レオン)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)、李嘉欣(ミシェル・リー)、羽田美智子、高捷(ガオ・ジエ)
演員(出演):潘迪華(レベッカ・パン)、伊能靜、魏筱惠(ビッキー・ウェイ)、方璇(ステファニー・フォン)、張瑞哲(チャン・スイチッ) 、徐明(シュイ・ミン)、謝衍(シエ・ヤン)、李小平(リー・シウピン)、徐慧霓(シュー・フイニー)、陳依萱(チェン・イーシュエン)、徐天祥、夏禕、羅載而、方瑄、潘玉琴、林郁涵、蔣維國

【作品概要】

ホウ・シャオシエン監督が中国文学の古典『海上花』を映画化した文芸ロマン。19世紀末の上海を舞台に、清朝末期の高級遊郭で繰り広げられる男と女の愛憎劇。全編を室内カットのみに限定し、アヘンの煙が匂い立つような官能的映像世界を演出構築した。当時の家具や装飾品を買い揃えたという贅沢なセットをバックに、香港、日本、台湾の豪華スターが痛々しいまでの愛の葛藤を演じている。<引用:「映画.com」作品情報

良い夢をご覧ください」とは、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督が、「2019年東京フィルメックス」にて、4Kデジタルリマスター版の世界初上映の際に寄せたコメントとのことだが、うっかりしていると、本当に夢の世界に行ってしまうから要注意だ(笑)。まあ、小生には合わなかった作品ということで…。おかしいなぁ、トニーさまにカリーナさま、ミシェルさまと小生が大好きな香港スターが揃っているのに、うつらうつらと夢心地に陥ってしまうとは、どういうことかなぁ。原因を一言で言うと「退屈な映画」だから。そこはあくまで「個人の感想です」ではあるけれど(笑)。

大体がこんな場面w

延々と妓楼の内部の映像が続く。これまで、台湾の土地の風、匂い、味を存分に描いてきた侯孝賢の作風とはまったく異なる世界が描かれている。小生はけっこう面食らってしまうのである。「もしかしたら、王家衛(ウォン・カーウァイ)?」と思うほど。外がまったくないのである。ひたすら飲んで、じゃんけんして、一気飲みして、騒いで、食って、言い争い…。「で、筋はなんやねん?」な113分。そりゃまあ「良い夢」も見ますわな(笑)。

小生的なクライマックスは、さあどうだろ、梁朝偉(トニー・レオン)演じる王蓮生が嫉妬から大暴れして、部屋の調度品をぶっ壊すシーンかな…。大きな動きのあるシーンというのはそれくらい。美しい衣装、少ない動き、半野喜弘による静謐な音楽…。なんか「舞楽」を鑑賞しているような感じで、終わっちゃった。

妓楼の映画ということで、少なからず「ウッフン、アッハン~」なシーンを期待していた小生は愚か者でした(笑)。映像自体はほんと綺麗。4Kデジタルリマスターということもあるけど、李屏賓(リー・ピンビン)が極上の仕事をしたってところだな、この映像美は。

清朝時代の古装片(時代劇)は辮髪が基本。そのため、男優は一旦スキンヘッドにして、辮髪のかつらを装着する。トニー君ももちろん、つるっぱげになった(笑)

原作は韓邦慶(1856年~1894年)によって著された清末の長編白話小説海上花列傳』である。「白話小説」は、文語文(いわゆる漢文)で記述された文言小説に対して、話し言葉に近い口語体で書かれた文学作品で、本作は呉語(蘇州方言)による作品である。呉語自体はいくつかの方言があり、違いが非常に大きく、ほぼ会話が通じないという。映画のベースとなっているのは、中国の小説家、張愛玲(チャン・アイリン 1920年〜1995年)の現代語訳版。

先日観た『南國再見,南國(邦:憂鬱な楽園)』と同じく、松竹が一部出資している。羽田美智子が女主人公の一人、沈小紅(シャオホン)役で登場しているのは、当時、「チームオクヤマ」のメンバーとして活躍していたから。本作は基本的には上海語で展開するが、日本人の羽田は同じ長さのセリフを日本語で語り、そこに上海語で吹き替えた。吹き替えは上海出身の陳寶蓮(ポーリン・チャン)。また同様に上海語が話せない梁朝偉(トニー・レオン)は、広東から来た役人という設定にしている。

その羽田が演じた沈小紅は、当初は張曼玉(マギー・チャン)を考えていたと、朱天文(チュー・ティエンウェン)は著書『侯孝賢と私の台湾ニューシネマ』に書いている。張曼玉はセリフがすべて上海語ということに尻込みするも、役作りについてアヘンの準備を希望したという。このあたりから数ページは、アヘンや水パイプの使用に関する記載が続く。詳細は実際に本を読んでもらうとして、アヘンを吸う演技は梁朝偉、水パイプは劉嘉玲(カリーナ・ラウ)が上手かったとある。な~んだ、後々の夫婦じゃないか(笑)。確かに、梁朝偉はこういうのすごく上手い、って言うか、あの「眼神」でアヘン吸ってまどろんでるんですよ、何の説明もいらんわな。

それにしても侯孝賢って、色んな引き出しを持ってるなぁ…。それが一番感ずるところであった。

どうでもいい話だが、トニー氏は小生のちょうど11か月年上である。ほんと、どうーでもいいです(笑)。加えて、オープニングタイトルが「丸ゴシック」でなく、「特注」のタイトルってのが、気合入ってる!

【受賞など】

■第1屆台北電影節
・商業映画最優秀監督賞:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
・商業映画最優秀芸術指導賞:黃文英(ホアン・ウェンイン)

■第35屆金馬獎
・最優秀美術設計賞:黃文英、曹智偉
・評議団大賞:『海上花』
他三部門でノミネート

20週年4K經典修復《海上花》預告

(令和3年7月22日 シネ・ヌーヴォ)


侯孝賢(ホウ・シャオシェン)と私の台湾ニューシネマ』(竹書房)
朱天文(著), 樋口裕子(翻訳), 小坂史子(翻訳)

台湾ニューシネマのミューズによる、珠玉のエッセイ集。
侯孝賢と歩んだ台湾ニューシネマ時代/写真が語るあの時 この想い/侯孝賢を語る・侯孝賢と語る


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