【睇戲】有一天(邦題:One Day いつか)

台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督デビュー40周年記念
ホウ・シャオシェン大特集

今回の企画上映で唯一の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)プロデュース作品である『有一天(邦:One Day いつか)』を観た。東京の上映では他にも上映されたようだが、大阪はこの1本のみ。まあ、色々あるんでしょう、そのへんは。いつか巡り合える日があるでしょうと、期待しておこう。で、この作品はとにかく唯一なんで、見逃してはならない。多分、こういう機会でないと観られないだろうし。この作品、監督が侯季然(ホウ・チーラン)。さん同士でちょっとばかりやいこしいね(笑)。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

ホウ・シャオシェンプロプロデュース作品
有一天 邦題:One Day いつか

台題『有一天』 英題『One Day』
邦題『One Day いつか』
公開年 2010年 製作地 台湾
製作:時光草莓電影有限公司 言語:標準中国語
評価 ★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):侯季然(ホウ・チーラン)
編劇(脚本):侯季然
監制(製作総指揮):侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
制片(製作):陳俊蓉(ゾーイ・チェン)、廖士涵(リャオ・シーハン)
攝影(撮影):馮信華(フォン・シンフア)
剪輯(編集):廖慶松(リャオ・チンソン) 
配樂(音楽):韓承燁(ハン・チェンイェ)
錄音(音響):杜篤之(ドゥー・ドゥージー)、郭禮杞(クォ・リーチー)、曾雅寧(ゾン・ヤーニン)

主演(出演):謝欣穎(ニッキー・シエ)、張書豪(ブライアン・チャン)、姚坤君(グウェン・ヤオ)

【作品概要】

高雄と金門島を結ぶフェリーで働くシンインは、忽然と人が消えてしまった深夜の船内で若い兵士アツォンと出会う。シンインはアツォンから「これは夢の中だ」と告げられ…。夢と現実、記憶と時間が織りなす、幻想的なロマンチック・ラブストーリー。<引用:「台湾巨匠傑作選」公式サイト作品案内

「侯さん同士でちょっとばかりやいこしい」と上述したが、台湾では侯孝賢(ホウ・シャオシェン)を「大侯導=大ホウ監督」、侯季然(ホウ・チーラン)を「小侯導=小ホウ監督」と呼んでいるらしい。多分、映画好きの間での呼称だと思うけど(笑)。

で、その侯季然だが、徴兵の際に金門島に派遣のくじを引き、1年10か月の兵役期間を金門で過ごしたという。台湾では2018年以降は志願制になったが、つい最近まで徴兵制があり、派遣地はくじ引きで決まった。そういう場面は本作の中でもあった。この物語がそのときの体験を基にしたというものではないだろうが、なにがしかのインスピレーションは沸いたのかもしれない。撮影には國防部もよく協力してくれたらしい。

さて、小生はこの作品、あまり性に合わなかった。途中で「しまった!」と思ったほどだ(笑)。あえて「ほほー」と思った点を言えば、台北駅に近い東陽街の予備校街の「自習室」かな(笑)。別に台北で勉強していたわけじゃないけど、東陽街にはちょいとしたほろ苦い思い出もあるんで…。

どうなんだろう、女性的にはキュンとするストーリーなんかな? 何をどうキュンとしたらいいのか、小生にはわからんかった、残念ながら。年取ったのかな…。

高雄から金門へ向かう兵士を乗せた船中、狂ったインド人?が暴れ出して、謝欣穎(ニッキー・シエ)演じる欣穎が襲われそうになって、「これはホラー映画なのかな?」と思ったら、兵隊さんの阿聰(演:張書豪/ブライアン・チャン)が現れて「これは夢の中だ」って言う。「はあ?お前ら、自習室で知り合って、ラブラブやったんちゃうの?」みたいな(笑)。ややこしい、っちゅうねん。要するに、阿聰が夢の中で欣穎に会うときには、既に全部知ってしまってる、ってこと? ちゃうの? と、実にややこしい。おまけに現実のシーンとも行ったり来たりするから、「おい、もっとわかりやすうしてくれや!」と思ってしまう(笑)。どうも、二人はひとつの「夢」を共有しているんだが、欣穎がその夢を見るのは2009年で、阿聰が夢を見るのは2010年という設定らしい。だから、阿聰は「結末」を知っているわけですな…。「で?」って思ってしまった。作った人、ごめんなさい…。

この後、侯季然(ホウ・チーラン)監督作品の『南方小羊牧場(邦:狼が羊に恋をするとき)』でも共演する主役の二人。謝欣穎(ニッキー・シエ)は、2006年に『愛麗絲的鏡子(邦:アリスの鏡)』で第43屆金馬獎で最優秀助演女優賞を獲得。俟孝賢の『刺客聶隱娘(邦:黒衣の刺客)』にも出演。先日観た『凶徒』で雨衣大盜(演:吳慷仁/ウー・カンレン)の相棒役。さらには8月公開の『怪胎(邦:恋の病)』の女主役と、本作以降、順調に映画出演を重ねている。男主役の張書豪(ブライアン・チャン)はこれが初主演だが、以降は小生が観た作品だけでも、『女朋友。男朋友(邦:GF*BF)』、『行動代號:孫中山(邦:コードネームは孫中山)』、『百日告別』、『比悲傷更悲傷的故事(邦:悲しみより、もっと悲しい物語)』。とくに『比悲傷更悲傷的故事』での歯医者さん役が光る。

「あんれまあ!」という結末があるんだが、まあ、切ないと言えば、切ないのかな…。わりとよくあるパターンだったけど。そこは「う~ん」と考え込んでしまったなぁ。

Teaser Trailer 前導預告

(令和3年7月17日 シネ・ヌーヴォ)


ユリイカ 2021年8月号 特集=台湾映画の現在
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