【今年読んだ本 2019】披露するほどではないですが。

アイキャッチ=2017年2月に「里帰り」したときの夜景をアニメ調に加工。あの頃、まさかこんな日々が来るとは思ってもみなかった…。いずれそうなる運命ではあったのだけど…>

毎年のことだが、「これでいいのか悪いのかはわからん」けど、取りあえずは「年内には最低でもここまで」と思った段階で、いつもよりはちょいと早めに仕事を切り上げて、無事に日の変わらないうちに12月27日は仕事納め。

あちこちのショッピングモールは、すでに1月2日からの「新春バーゲン」に備えてディスプレーの付け替えも完了。新しい年への準備は万端。

で、年末恒例の今年読んだ本。年々、読書数が減っており、今年なんてわずか「15.5冊」その「0.5」ってなんやねん?ってところだろうが、今まさに本読み真っ最中の『リフォームの爆発』は、どうやら年内の読了は無理な模様。マチーダ先生で「越年」である。なんともキリが悪いが、これは仕方ない。「仕事納め」の日に「読み納め」できるかっていうと、そんな段取りよく事が運べば、人生楽勝だ。そうはいかないから、おもしろいのである。

しかし、実質15冊は少なすぎる。60冊ペースで読んでいたのに何をしていたのか、この1年…。とりあえず、その「15.5冊」を網羅しておく。例により、印象に残った本やおすすめ本は「読書メーター」に記したコメントを焼き直して、掲載しておく。

1.『日本の「中国人」社会』 中島恵
日本経済新聞出版社 918円 1月26日読了

2.『ギブ・ミー・ア・チャンス』 荻原浩
文春文庫 745円 2月19日読了

3.『活きる』 余華 飯塚容 訳
中公文庫 1,296円 2月23日読了
2002年に角川書店から出版されたが、しばし「版元品切れ」だったところをこの度、中公文庫から復刊されたので、早速購入。国共内戦、中共成立、「人類史上最悪」と言われる大躍進、さらには文革と、ことごとく時代の波に翻弄され、その都度、実にあっけなく肉親を失いながらも、生き抜いてきた(生き続けてきた)主人公・福貴の一人語り。恐らく、こういう出来事はこの時代の隣国では、あちこちで起きていたのだろうが、その凄まじさに引き込まれてしまう。簡潔で読みやすい訳文もまた、ページをめくる手を止めさせない。1994年に張芸謀(チャン・イーモウ)によって映画化され、日本でも大ヒットしたが、映画とは一味も二味も違うものが胸に響いた。やはり原作に勝るものはなし、ということか。ずっと手元に置いておきたい一冊。

4.『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』 石井光太
新潮文庫 637円 2月27日読了
この取材は、しんどかったろうなと思う。読んでいてもぐったりしてしまうような話の連続だったから…。まさに子供が「飼っていたクワガタに興味が無くなる」ように我が子を扱う親たち。それでも「愛していた」「子育てはきちんとしていた」と、堂々と言う。そこに罪の意識は微塵も感じられない。事件の度に、行政や児童福祉機関に非難が集まるが、結局は「鬼畜」な親が「鬼畜」な子に「育て」、そんな子同士が子供を作り、親以上の鬼畜となって、虐待、そして殺人へと発展する「鬼畜の連鎖」が恐ろしい。帯に大きく書かれている「なぜ産んだ」。事の本質はこの言葉に尽きると感じた。そこへ大きく踏み込んだ取材から強烈に感じたのは、「この親にしてこの子あり」ということだ。得も言えぬ虚無感に襲われた一冊だった。

5.『活版印刷三日月堂 雲の日記帳』 ほしお さなえ
ポプラ文庫 734円 3月12日読了
あ~あ、完結してしまった。4巻読んでまた読書が好きになった、活字が好きになったって人も多いのでは?またいつか読み返したい、何度も読み返したい4冊になった。一応、これでフィナーレとなったけど、5年後でも10年後でも気長に待つので、三日月堂のその後が読みたい。弓子と悠生はうまく三日月堂をやっているか、子供もできたかなとか、浮草はどうなったとか、楓ちゃんはとか、とか、とか…。とにかく、活字を通じて、三日月堂と三日月堂を取り巻く人たちとは末永くお付き合いしたい。なかなか、そう思わせる物語はないよな、と思う。

6.『闇の歯車』 藤沢周平
文春文庫 670円 3月31日読了

7.『虹色球団 日拓ホームフライヤーズの10カ月』 長谷川晶一
柏書房 1,944円 4月8日読了
我が南海が最後にリーグ優勝した年、知らないうちに出来て、あっという間に身売りした日拓ホーム・フライヤーズの顛末を追う。小4だった僕は、日拓戦は見ていないと思っていたのだが、巻末の試合記録や名鑑を見れば、「あれ?この試合ってあの時?」などと思い出すのだから、記録は記憶だ。とは言え、張本、大杉、大下、白を筆頭に、「東映」のイメージは強烈すぎて、かの球団を「日拓」と呼んだ記憶がない。「消滅三球団シリーズ」は、いずれもパ・リーグ。今しか知らないファンには、とても信じがたい話の数々だろうが、こんな不遇な時代が、つい最近まで続いていたということは、知っておいてほしい、パ・リーグファンなら。

8.『てんやわんや』 獅子文六
ちくま文庫 842円 5月1日読了

9.『この世にたやすい仕事はない』 津村記久子
新潮文庫 724円 6月5日読了

10.『東京12チャンネル時代の国際プロレス』 流 智美
辰巳出版 2,160円 6月28日読了
TBS全国中継時代の国際プロレスは、ビル・ロビンソンら欧州系の外人による面白い試合が多く、馬場、猪木、アメリカンプロレス中心の日本プロレスよりも好きだったが、東京12チャンネルになってからは、大阪でのネットがなくなったこともあり、1978年秋のサンテレビでの放映開始までは「未知」の団体となってしまった。たまに全日本との対抗戦などでエースの木村らを見ることもできたが、マイナー度合いが半端なかった。そうなってしまった背景に何があったのかを、本書で公開された当時の12チャンネルの田中チーフディレクターの「メモ」が解き明かしてくれる。メモ中での吉原社長とグレート草津に対する言葉は辛辣で、それ故に同ディレクターの国プロ中継への熱い情熱が伝わってくる。国際プロレスを愛してやまないプロレス評論家、流智美の思いもまた熱い。

11.『サブマリン』 伊坂幸太郎
講談社文庫 713円 6月30日読了

12.闇の穴』 藤沢周平
新潮文庫 594円 7月20日読了

13.『何様』 朝井リョウ
新潮文庫 724円 8月27日読了

14.『中国S級B級論 ―発展途上と最先端が混在する国
高口 康太、伊藤 亜聖、水彩画、山谷 剛史、田中 信彦
さくら舎  1,620円 12月7日読了
香港の争乱を横目で見ながら読んでいたもんで、えらい時間かかった(笑)。95年~09年までの香港在住期間、深圳はもちろん、広州、北京、上海、重慶、武漢、長江下りに長江ダム、果ては雲南省の少数民族の名もなき集落まで、中国へは幾度となく通い、その都度「何、これ?こんなん売ってるの?これ、どうせぇ言うねんww」なIT商品に出くわした。90年代なんて「カス」なものばかりだったが、気が付いたら、香港で普通に使っていた「仕組み」が中国で仕込まれたものだったりして、「えらい時代がキタでぇ~」とワナワナしていたもんだ。そういう体験をしてきたから、色々ツッコミたい部分もあったけど、結構おもしろく読んだ。今さらながら鄧小平の言った「いずれ、中国中に香港を作る」を思い出しながら。

15.『季節のない街』 山本周五郎
新潮文庫 737円 12月22日読了
淡々と「街」の出来事が綴られている中に、舞台となった街のような貧民窟特有でもなく、この時代(おそらく昭和20年代末)特有のものというわけでもなく、非常に普遍的なことが描かれていると感じる。いずれも「アナタ、ちょっと!」って当事者に言いたいような出来事だったが、ふと冷静に思えば、今でもなんか似たような事件が、連日、テレビや新聞にあふれている。貧富の差も時代も関係なく、いつもどこかで起きているような話なのだ。それは作者も「あとがき」で触れている。読み継がれる作品と言うのは、どこかにそういうものを持っているんだと、思わせてくれる一冊だった。街の人たちが頼りにし、一目置く“たんば老人”のような人、最近、いなくなったねぇ…。町会に1人はいたもんだけど、昔はねぇ。

16.『リフォームの爆発』 町田康
幻冬舎文庫 660円 現在、鋭意読書中!

読書ペースの悪かった1年。特に6月以降のペースは悪すぎる。

理由はひとつ。香港の動乱の過激化に比例して、ページをめくるスピードがダウンしてゆく。毎晩、それこそ日本時間で4時、5時まで現地からのLIVEを観ていたのだから、読書なんてできっこない。睡眠時間も激減し、仕事中にペンを持ったまま、PCを見ている姿勢で、知らないうちに爆睡寸前とか(笑)。たまったもんじゃない。黒衣の連中が「民主活動有理」とばかりに、打ち壊し、火付、往来の妨害、リンチ、投石…などの非道の限りを尽くしたおかげで、こっちの生活リズムまで破壊されてしまったということだ。

いつも言っていることだが、「本との出会いは天の配剤」。今年は「配剤」に恵まれなかったということだろう。ま、色々と運が悪かったということだ。そういうあれこれがありながらも、なんとか年を越せるのだから、それで十分じゃないかな。そして、敬愛すべきマチーダ先生で越年なんて、まことに喜ばしい限りではないか(笑)。

ってことで、今年のブログも無事に終了。また来年も、ウダ話にお付き合いいただければ、これ幸い。どちらさんも、よいお正月をお迎えくださいませ!

祝你新年快樂!

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