【上方芸能な日々 文楽】平成31年初春文楽公演<1>

人形浄瑠璃文楽
平成31年初春文楽公演 第一部<1>

太棹を三本揃へ初芝居 草間時彦

別に小生が太棹三味線を三本持って劇場へ出かけた、っていう句ではない。断っておくが(笑)。こういうことを、説明しておかないと、洒落も言えない、わかってもらえないという、困った世の中である。だから、文楽も歌舞伎も、能・狂言も、落語も、つまりは諸芸全般、芸事をお見せし、堪能してもらうには、大変な時代になったのである。これが、平成という時代の30年間の一番の変化ではないかと思う。こういうのは、年齢を重ねるに従って、多少の個人差はあっても、知識が蓄積されていったものだが、今や50歳を超えた人でも、「三つ違いの兄さんと言うて暮らしているちに」を知らない、なんてドヤ顔で言う人がいるんだから、エライ時代になってしまったもんである。第一、「知らん」ってアンタ、恥ずかしいないんか? と聞きたいもんである。

さて。新年早々のウダ話は、ここらにしといて。

「初芝居」なんて言ってるが、公演3日目の初見物である(笑)。見物の感想なんぞは、次回以降にするとして、やっぱり最初は華やかな文楽劇場の風情から。

玄関で迎えてくれるのは、先代萩の政岡と、琴責の阿古屋さん。どっちも衣装が重そうですな。政岡は和生はん、阿古屋は勘十郎はんが遣う。どちらも見ものだが、やっぱりどうしても観たいのは、阿古屋さんやよな、この場合…。

黒門市場から毎年届けられる、おなじみ「にらみ鯛」。劇場のお向かい、黒門市場は、今や外人さんでいっぱいだが、文楽劇場はそうでもない。もうちょっと来てもええと思うけどなぁ。外人限定で、幕見をもう少し細分化してもええのではないかと思うが、難しいかな?

そう言えば、4月から料金値上げとなる。こっそりと(笑)、チケット売り場にお知らせが出ていた。ほら、こういうのんは、ちゃんと番付パンフに載せなアカンでしょう。ちなみに、1等席6,000円は6,200円に、2等席2,400円は2,800円にそれぞれ値上げ。一方で、2等席が現在の後ろ2列から3列に増席

あ、それから。二階の弁当売場、復活してるよ。ちょっとお弁当メニュー変わったけど、柿の葉寿司はあったから、一安心。あれ、好きやねん(笑)。これは番付にもHPにも載ってたな。昼飯は大事やからねぇ。小屋の周り、意外とメシ屋がない。隣のうどん屋かたこ焼き屋、向かいのCoCo壱くらいしかないから、大変なのよ…。

今年の干支「亥」は、第1部『壺坂観音霊験記』にちなみ、壺阪寺の常盤勝範住職の揮毫。そして拡大版は舞台の上、にらみ鯛にはさまれた大凧にも。

十日戎を目前にして、「宝惠駕籠」代わりの蓮台も、準備万端。当日は清十郎はんが乗り込んで、ミナミの街を巡行。午後には福娘たちもやってきて、福笹授与なんだが、あいにく平日。いくら暇人でも、一応、仕事を持つ身である故、参れぬ。結局、余人に替え難い特殊な技能を要する職務が、一番の佳境にさしかかっていて、えべっさん3日間いずれの日も参詣叶わず…。別の日に行きまっさ、堪忍しとくなはれや…。

思い起こせば、去年は、織太夫襲名で、一層華やいだ雰囲気のあった正月の文楽劇場だったが、今年は、ごくごくいつもの正月風情だった。幕間の手ぬぐい撒きも、うっかりしてて、弁当買いに走ってしまったのは、大失態と言うかご愛嬌と言うか…。

ま、それはそれでいいのだが、咲さんが休演というのが、かなり残念。とは言え、今や唯一の切語りの太夫。ここは、じっくり時間をかけて養生してもらい、元気に復帰してほしい。ご快癒の舞台を、気長にお待ちしております!

(平成31年1月5日 日本橋国立文楽劇場)


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