【上方芸能な日々 浪曲】第28回浪曲錬声会

浪曲
第28浪曲錬声会

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また今年も季節はめぐり、「浪曲錬声会」の頃となると、もう街はすっかり初夏の装い。この日も暑かったけど、めげずに会場の文楽劇場へ。

ここ数年、1部と2部のどちらも聴くようにしている。
なんかどっちかだけだったら、後で評判なんぞを聞いて、
「しまった!そっち行っとくべきやった!」
なんて後悔しても後の祭りってことだし…。

まあ、金額にして2,100円の話やし、文楽劇場友の会割引もあるし、って、またカネのハナシかえ!(笑)

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<本日のお外題>

~第1部~
会津の小鉄少年時代 — 京山幸太 曲師:一風亭初月
鷺捕り  浪花亭友歌 曲師:沢村さくら
沖田総司哀史  真山隼人 曲師:沢村さくら
高田馬場  春野恵子 曲師:一風亭初月

~第2部~
鳥羽の恋塚 — 真山隼人 曲師:沢村さくら
太閤記-日吉と小六-  浪花亭友歌 曲師:沢村さくら
会津の小鉄新門辰五郎との出会い  京山幸太 曲師:一風亭初月
両国夫婦花火  春野恵子 曲師:一風亭初月

◇京山幸太
第1部、2部ともに幸枝若一門の十八番、「会津の小鉄」から。まず1部で『少年時代』。トップバッターとして客席を大いに活気づける熱演。若き日の(いや、幼き日の?)小鉄の鼻っ柱の強さがよく伝えられていた。2部の『新門辰五郎~』は1部以上の熱演。客席を活気づけた1部とは違う趣で、一門のよいところを彼なりにギュッと凝縮して、パッと拡散させるような一節。人物がよく伝わってきたところで「ちょうど時間となりました」はさすが幸枝若一門(笑)。

◇浪花亭友歌
第1部は落語でもおなじみ『鷺捕り』。「ほほ~、なるほどね、浪曲でやるとこうなるのね」って感じで、落語同様愉快に口演。作者の稲田和浩の妙か。彼女の良さは、全体が醸し出すホワーンとした可愛らしさ。そのキャラがよく生かされた演目を聴くことが多かったが、2部での『太閤記』は結構、押しが利いていた。これは小生自身の持っていた彼女のイメージを改めさせるに十分だった。

◇真山隼人
真山一門と言えば、歌謡浪曲、演歌浪曲。このカラーを打ち破り、最近は三味線伴奏で口演する浪曲の原点に果敢にチャレンジ。この日も二題ともに沢村さくらの三味線で語る。1部『沖田総司哀史』、2部『鳥羽の恋塚』のどちらも新境地を存分に示す熱演。『沖田総司~』は演歌浪曲のエッセンスを生かしながら、『鳥羽の恋塚』は遠藤盛遠&袈裟御前の悲話を堂々とそして朗々と(ちょっと洒落ですw)。

◇春野恵子
「若い人たち頑張ってますから応援よろしく」と訴えるケイコ先生は、いつの間にか入門14年の中堅に。他ジャンルとの共演などの機会も多く、いろんな形で浪曲をPRする。1部は春野一門にとって大事な演目『高田馬場』、堀部安兵衛が印象的。2部は大好きな演題『両国夫婦花火』。ホンマいつも涙目になってしまうこの演題。恵子師にとっても、この会場ともども、師匠春野百合子との出会いを思い出す、大事な演題。

それぞれが、それぞれの色やカタチを十分に聴かせ、見せる、熱のこもった会だった。隼人が曲師付きスタイルで二題やったので、奇しくも曲師は全演題で「出弾き」となった。どうなんだろう、傾向として「陰弾き」は減ってるのかな? そんなしょっちゅう浪曲会行っているわけやないからようわからんけど。幸太の「曲師は一風亭初月おねえさんで~~す」って紹介がなんともかわゆくって(笑)。
あいかわらず客席はフリーダムな方が多く、そっちの観察も結構楽しい浪曲錬声会であった。

(平成29年5月27日 日本橋国立文楽劇場小ホール)



 


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