【睇戲】『ミセスK』(馬題=Mrs K) <日本プレミア上映>

第12回大阪アジアン映画祭
オープニング・セレモニー|オーサカ Asia スター★アワード&トーク|オープニング・フィルム

『ミセスK』(馬題=Mrs K)

第12回大阪アジアン映画祭が開幕した。poster
今年は全58作品のラインナップ。2月18日の午前10時の「チケットぴあ」の予約開始時には、例年通りアクセス殺到でまったくつながらず。いつもなら、近所のサンクスに走って端末から直接購入するのだけど、今年はPCで粘り強くアクセスを繰り返し、その時点で観たい作品15本分のチケットをゲットすることに成功した。もちろん、そこからは二度寝に突入(笑)。

オープニング作品は、小生のようなオールドタイマーな香港映画ファンにはうれしい惠英紅(カラ・ワイ)主演の『ミセスK』の日本初上映。
当初、「うん?カラ・ワイ?だれやそれ?」って思っていたんだが、中文名を見て即座に解決、「おおお!ベティ・ウェイねーさんではないか!」と。「カラ」なんか「ベティ」なのか、はたまた「クララ」なのか…。とりあえず公式発表通り「カラ」でいっときます、今回は。なんか違和感あるけど(笑)。

dscn0375上映前のオープニングセレモニーでは、惠英紅をはじめ『ミセスK』の何宇恆(ホー・ユーハン)監督、『世界の残酷』のサンジェイ・クマール・ペルマル監督、『パティンテロ』のミーク・ヴェルガラ監督、『恋とさよならとハワイ』に出演の綾乃彩、亀田梨紗、篠原彩、『バーミー』田中隼監督が登壇し華々しく開幕。
惠英紅には長年にわたる活躍とアジア映画への貢献が認められ、「オーサカ Asia スター★アワード」が贈られた。

dscn0392セレモニーも終わろうかという時点で、惠英紅が「二分だけ時間もらえますか?」と、自らが主演する『幸運是好(英題=Happiness)』(2016・香港)の内容について触れた。惠英紅が痴呆症を発症した女性を演じたこの作品に、同じく痴呆症を発症し、数年前に他界した自分の母親を重ねていたと。「痴呆症の人、その家族と優しく接してほしい。そしてこの作品を支援してほしい、ネットでも観られますよ」と訴える一幕も。1960年代、まだまだ香港そのものが貧しかった時代に母と苦労を重ねて育った彼女らしい言葉だった。
また、今回の来日は、滞在時間わずか20時間というハードスケジュールながら、この日のために大阪へ来てくれた恵英紅、さすが「天下一女功夫藝人」(あ、小生が勝手にネーミングしたw)である。いやもう、栄えある「第1回香港電影金像奨主演女優賞」が来てくれるなんてねぇ!

dscn0395

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

mrsk馬題 『Mrs K』
邦題 『ミセスK』
現地公開年 2016年
製作地 マレーシア、香港
言語 広東語、標準中国語

評価 ★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

監督: 何宇恆(ホー・ユーハン)

主なキャスト:惠英紅(カラ・ワイ)、伍佰(ウー・パイ)、任達華(サイモン・ヤム)、蕭麗煊(ショウ・リーシュアン)、Faizal Hussein

ゲスト出演:劉永(トニー・リュウ)、黄志強(カーク・ウォン)、陳果(フルーツ・チャン)

「これが私にとっては最後のアクション作品です」と言う惠英紅。「もう全身ズタボロですから」と。そりゃそうだろうな、この作品撮影中つまり昨年は56歳、今年57歳。いくら小生が勝手に名づけた「天下一女功夫藝人」と言えども、年齢からくる体力の衰えや故障には勝てない。とは言え、劇中で見せる総合格闘系の技も巧みに取り入れた(このへんは、甄子丹/ドニー・イェンの影響もあるだろう)アクションシーンは、大向こうをうならせる激しさだったし、その鍛えこまれた肉体は「伊調馨か吉田沙保里か!」ってほど。
オープニングシーンでは、宅配業者に扮した強盗を蹴散らして、のっけから健在ぶりを見せてくれた。

惠英紅と伍佰の娘役、蕭麗煊の熱演ぶりが目を引く。マレーシアの新人とか。この子の頑張りが中盤からの緊張感をずっとキープさせていたようにさえ見えた。

で、やっぱり任達華はすごい存在感。任達華のアップの撮り方がめっちゃ上手で、この役どころが持つ心の闇の部分を見事にクローズアップさせていたし、そういう表情づくりや空気の作り方というのは、任達華はピカイチの役者と改めて確認。闇に至る過去をクドクド説明する必要のない撮影と演技だったではないか。

ゲスト(と勝手に小生が位置づけた)お三方は、よく香港映画のゲスト登場場面にある手法で。笑う場面でもなかったけど思わずニンマリしてしまう。

ラストに西部劇を感じたのは小生だけではないと思うが、どうだろう…。

手に汗握るシーンの連続ではあったが、もう少し話を整理して見せてほしいという若干の不満も残った。

上映後、惠英紅と何宇恆監督登場でアフタートーク。幼少時代を香港の灣仔(Wan Chai)で過ごしたという惠英紅。「家の下が映画館で、ある日こっそり忍び込んでタダ見したのが『ドラゴン怒りの鉄拳』」だった。それがきっかけで李小龍(ブルース・リー)にあこがれ「あんな風になりたり」と思う日々が続く。転機となったのは張徹(チャン・チェ)監督との出会い。そこから映画人生が始まる。
また、何宇恆は、惠英紅が鬱を患っていたときに『心魔』への出演をもちかけてくれたことで、本格復帰を果たせたこともあり、「私の恩人です!」と言う。

次の上映が押しているからあまり話を聞けなかったが、功夫映画華やかかりし時代のショウ・ブラザーズのことなども聞けたんじゃないかと思うと、そこは残念。

dscn0400

Mrs K Trailer

(平成29年3月3日 梅田ブルク7)



 


1件のコメント

コメントを残す