【上方芸能な日々 歌舞伎】當る酉年 吉例顔見世興行〈其弐〉

歌舞伎
當る酉年 吉例顔見世興行東西大歌舞伎
五代目中村雀右衛門襲名披露

南座の耐震工事の関係で先斗町歌舞練場での開催となった今年の顔見世。

第一部、二部を観たら、やっぱり第三部まで観ておきたいというのが人情というもんで、財政的に「お前、それどうなんよ?」との心の声も顧みず、結局行ってきました第三部(笑)。

いや~、夕暮れ時の木屋町通、先斗町界隈のなんと風情のある事よ…。

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歌舞練場へ向かう前に、まずは南座へまねきを見物に。役者のまねきは従来通りこちらに上がるが、興行まねきは歌舞練場に上がっている。

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夕闇迫る先斗町歌舞練場。提灯にも火が灯り、何とも言えぬ良い雰囲気。京都の町にしか出せない色合いとでも言いますかな、この辺は。

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本日のお座席からの眺め。なんと!前から二列目!

双蝶々曲輪日記 引窓

■初演:寛延2年(1749)7月・大坂竹本座で人形浄瑠璃、8月・京都嵐三右衛門座で歌舞伎
■作者:竹田出雲、並木千柳、三好松洛合作

八幡里十次兵衛住居の場
文楽では何度か見物しているが、歌舞伎では初めての見物になるかな?

まあ、いずれにしろ、まさに上方和事、世話物の王道をゆくような作品であって、こういうのが好きである。
仁左衛門演ずる南方十次兵衛と女房お早の孝太郎、父と息子で夫婦を演ずるのは歌舞伎ならでは。ここに濡髪長五郎の彌十郎、母親のお幸の吉弥と、4人が上方和事ならではの「情」の世界を濃厚に描いていく。この手の世話物はどうしても文楽に軍配を上げてしまいがちの小生だが、今回は舞台が近く役者の息遣いをしっかりと感じることができる座席だったからかもしれないが、どっぷりと「情」の世界に浸ることができた。やっぱり高い席は値打ちがあるねぇ。
事は放生会前夜のこと、

「自分の役目は夜明けまで、今日は生き物を放す放生会」「南無三 夜が明けた。身どもの役は夜の内ばかり。明くればすなわち放生会」

で、罪人たる長五郎を見逃す十次兵衛らの温情がしみる名作であることを改めて思い知る。
それにしても仁左衛門さまのカッコよさったらありゃしない。

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なるほど、上はこうなってるんや

京鹿子娘道成寺

鐘供養より押戻しまで
「聞いたか聞いたか」「聞いたぞ聞いたぞ」のおなじみの掛け合い。強力の不動坊、普文坊は廣太郎、廣松の兄弟で。それぞれめきめき力を付けてきていて、頼もしい。ここは好みが分かれるところだが、小生は廣太郎の踊りが好きだなぁ。好みね、好み。

白拍子の雀右衛門はかれこれ1時間舞いっぱなし。その体力と運動神経には驚く。途中、強力の二人と手ぬぐい捲きのサービス。多分、雀右衛門の名が染め抜かれているんだろうけど、運のない小生はもちろんゲットできず(笑)。

鱗四天の「と尽し」もおもしろ楽しく…ってうちに、鐘の中から現れ出は白拍子変じた清姫の怨霊。雀右衛門の怨霊の青い隈取も大迫力。そして花道から待ってました! 海老蔵演ずる大舘左馬五郎登場でお客さんヒートアップ! ここからいわゆる押戻しで、左馬五郎の威勢が怨霊撃退という展開。見得もバシッ、バシッと決まってカッコイイ。
荒事の魅力たっぷりの晴れやかで豪快な舞台に大満足。

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見得が決まる度に、目の前でツケがバシッバシッと鳴らされるわけで、こういう近距離でそれを見るって経験もそうそうあるわけではない

何度も言うが、先斗町歌舞練場という極めてレアな空間での顔見世は何かと勝手が違ったが、舞台にしろ客席にしろこれくらいの規模が小生には心地よかった。

7月の松竹座に続いて、また雀右衛門の襲名披露に立ち会え、主役を一幕こなすようになった愛之助を観られ、愛する仁左衛門さまにうっとりし、海老蔵の存在感…などなど、なるほど「さすが顔見世」という舞台の連続に大いに満足、めでたく今年の歌舞伎鑑賞を締めくくることができた。

さ、年明けは早々に芝翫親子4人揃ってという、またもや松竹の「襲名ビジネス」にまんまと乗せられて松竹座へ出向く小生であった(笑)。

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(平成28年12月23日 先斗町歌舞練場)



 


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