【上方芸能な日々 落語】第381回 上新庄えきまえ寄席

落語
第381回 上新庄えきまえ寄席
BUNTOらくごワールド2016

毎年この時期だけ行く「上新庄えきまえ寄席」。
そりゃまあ、近ければ毎月行ってますがな(笑)。ミナミの人間にとって、淀川越えたら上新庄だろうが東京だろうが、「遠い」という点では何ら変わりはない(笑)。

で、この時期は文都師匠の「BUNTOらくごワールド」が開かれる。この会自体も「遠いから」(笑)、行ったことがなかったんだけど、一昨年、二番弟子の初舞台ということで行ってみた。会場の規模もあって、相当に「密」な空間での会が非常に好ましく、昨年はまた三番弟子の初舞台及び芸名披露ということで2年連続で参戦。となると、今年も行かなきゃなんとなく居心地がよくないわけで、3年連続参加と相成りし候。

上新庄は大阪経済大学の最寄り駅なので、大学側の駅前はなかなか繁華な街だが、反対側は寄席の会場となる春日神社も含め、かなり古風な街並みとなっている。

IMG_3322春日神社って、小生の記憶に間違いが無ければ、春場所に中村部屋が土俵を張るはず。違った? 隅々まで清掃の行き届いた、居心地のよい境内である。

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<ネタ帳>
「つる」 月亭都来
「てんしき」 月亭秀都
「らくだ」 月亭文都
仲入り
「七段目」 月亭天使
「のっぺらぼう」 月亭文都

丁度一年前の上新庄が初高座だった都来。彼も1年間色々とあったと推察するが、それでももうちょっと聴かせてくれるものと期待もあっただけに、肩透かし食らった感あり。ネタに登場する人間がだれもかれもが同じ人物に聴こえてしまう。これ、ナマ高座だからまだいいものの…。

で、1年先輩の秀都は、彼は小生は大いに期待している。しているがゆえに、いつも苦言を敢えて呈するようなことを記しているのだが、まあ、今日はやめといたろ(笑)。都来の次だったから余計にそう感じたのだと思うが、登場人物の色分けがよくできていた(と感じた)。そう言ってしまうと、都来も立つ瀬なしだが(笑)。で、やっぱり言う。大きな壁にぶちあったている秀都が見たいと。どっちも関大の後輩。がんばってほしい。しかし、『転失気』とせずに仮名書きなんですな。

5年ほど前にブログで「どうも『らくだ』が性に合わない」とぼやいたことがあったくらいで、この日もやはり構えていた。が、どうしたことでしょう~! なんかこの日の『らくだ』はすんなりと体中に行きわたり、53年の人生の中でこれほど『らくだ』とウマが合ったことはないというくらい堪能できた次第。それは文都はんがうまくリードしてくれたということにつきるわけだが、そもそも5年前にぼやいたときの『らくだ』も何を隠そう、八天時代の文都はんでっせ(笑)。『らくだ』って、こんなに面白かったのねと、今頃気づく(笑)。

上新庄

一番前の席が必ずしも特等席というわけではない。しんどい。後方のいす席で見たい…。

隣席の紳士が、大きな花束を抱えて天使の登場を待つ。誕生日プレセントだと言う。感激の天使は『七段目』で。芝居噺って言うのは、客はほったらかしで、もっぱらやってる本人が悦に浸って芝居のまねごとをやって楽しんでるってのが、いいのである。そのさまを見て客が楽しむというもので、ネタとしてはなんら面白い筋立てではない。だから、やる方には思いっきり芝居の世界を楽しんでもらいたいのだが、果たして天使は芝居を楽しんでいたのだろうか?

IMG_3325トリはお師匠はんの『のっぺらぼう』。オチの無い無限地獄的なネタである(笑)。頃合いを見て「はい、終わりますよ」という流れ。軽い気分で帰路につけるのがいいのだが、子供の頃、一番怖い妖怪変化が「のっぺらぼう」だったことを思い出してしまう。ふっと見回せばお客全員がのっぺらぼうやった…なんて思ってしまった。アホですな、実に(笑)。

出る前に文都はんにちょいとご挨拶をば。
「(飲み食いに)行かなあきまへんな」
と、ご互いにもう何年も言っている。これだけは言うときます、アタシは言うてもろたらいつでもOKですからね(笑)。

そんなあれこれの1年ぶりの上新庄であった。

(平成28年8月24日 上新庄・春日神社)



  


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