【睇戲】『ご飯だ!』(馬/星題=開飯啦!)<海外プレミア上映>

第11回大阪アジアン映画祭
コンペティション部門

『ご飯だ!』
(馬/星題=開飯啦!)<海外プレミア上映>

posterこれこそまさに「アジアン映画祭」ならではのチョイス。こういう機会でもない限り、マレーシアやシンガポールの映画を観ることはまずないと思う。そもそも、日本においては、その方面の映画を買い付けて上映するなどという勇気のある配給会社は、まず存在しないし。

で、この作品。マレーシア、シンガポールの今年の農暦新年の公開なのだけど、そこは安心と信頼の香港の雄、杜汶澤(チャップマン・トー)が監督にして主演の作品だから、大きく外れることはないだろう。と言うか、相当な期待が持てるんじゃないか? 予告編を観た限りでは、広東語で物語は進んでいくようだし、ほとんど香港映画だな、これは…。さてさて、実際に期待通りの作品だったのかどうか…。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

113012agbbi1g2b6unpg15馬/星題 『開飯啦!』
英題 『LET’S EAT!』
邦題 『ご飯だ!』

現地公開年 2016年
製作地 マレーシア、シンガポール
言語 広東語

評価 ★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督): 杜汶澤(チャップマン・トー)

領銜主演(主演):杜汶澤、陳茵媺(エイミー・チャン)
主演(出演):盧海鵬(ロー・ホイパン)、莫小玲(パトリシア・モク)、C君(チェン・シークワン)、關棟珉(トミー・クヮン)、劉倩妏(ダフニー・ロウ)
客串(ゲスト出演):李國煌(マーク・リー)、程旭輝(ヘンリー・ティア)

杜汶澤、満を持しての初監督作品。さらには自分が主役も張るという熱の入れよう。相当張り切って撮影に臨んだことだろう。そんな「やる気」が随所に見受けられる一方で、なんか釈然としない散漫さもしくは「なんでそんな急旋回するわけ?」みたいなシーンも無いことはない。ま、今回は目をつむるよ、トー君。

小生は、彼のことをトー君と呼ぶ。友人でも顔見知りでもなんでもない。小生は彼のことをよく知っているが、彼は小生のことなどまったく知らない。でもそこは狭い狭い香港のこと。もしかしたら何度かすれ違っているかもしれない。

小生がトー君を認識するようになったのは、もう20年以上前のこと。当時、トー君は、この4月で停波となる地上波テレビ局ATVの専属タレントだった。wikiの情報をもとに思い出すと、1996年放映の『我和春天有個約會』なる連続ドラマにちょい役で出演していたのだが、続く『我和殭屍有個約會』と『我來自廣州』では結構存在感出していて、「あ、そう言えばこいつ『我和春天有個約會』に出てたよな~」と思ったり。~しかし俺、どんだけテレビっ子やねん(笑)~

徐々に映画に軸足を移し、『無間道』シリーズ、『金雞』シリーズの常連キャストに。一時、難病で芸能活動を休止していたが、復帰。現在は東南アジアを主戦場にして、制作活動に取り組んでいる模様…。

俳優としては、台湾の金馬奨最優秀主演男優賞ほか、多くの受賞歴に輝いている。香港映画界にとっては欠かせない人物だが、その発言がしばしば物議を醸し、大陸で封殺されることも。でもまあ、香港の映画人、何かと大陸に気を遣ってしまいがちだから、トー君くらいにやってくれる方が見ていて楽しい(笑)。

さてこの作品、上述の通り、マレーシア、シンガポールの今年の旧正月娯楽映画である。「マレーシア、シンガポールの」と言いながら、全編広東語。それもそのはずで、役者の大半が香港チーム。主役のトー君はもちろん、女性側主役の陳茵媺、名脇役ぶりを発揮したベテランの盧海鵬、三枚目を好演したC君と主要なところが広東語組。また、シンガポールチームの莫小玲も広東語OK、マレーシアチームの關棟珉、劉倩妏も広東語問題なしということで、舞台はKLなれどテーストは完璧な香港映画。劉倩妏ってのはイイ女だね。

名物「海南鶏飯」の老舗で繰り広げられる新旧経営方針の争い、ってのが、いかにも旧正月映画らしい。こういうのを普段の時期にやってもどういうわけか面白くない。あれ、なんでやろ? 大体ストーリー展開が読める「ベタ」なお話しなら、安心感があるからかな? 正月早々、心臓バクバクさせながら映画観たくないって心理かな?

座席が最前列。
このシアターはスクリーンが大きいので、最前列はかなりしんどい。右端に縦書きで出てくる日本語字幕に目をやると、画面中央の芝居が見えない(笑)。そこは耳になれた広東語なので、助かったけど、あれ、北京語とかマレー語だったらもはやお手上げだったろうな。ありがとう!広東語。

最前列で観たからかどうか、今回は判別しようがなかったが、顔面大映しのシーンが多かったように感じた。度が過ぎるとクドいしウザいし疲れるし。本作はそのギリギリのところで「寸止め」したように見えたが、多分、最後列で観たら全然違う印象だろう。指定席制だから文句は言えないけど…。その顔面大映しで効果的だったのが、オープニングで莫小玲が「開飯啦!」と叫ぶシーン。顔面と言うより、あれは…。そこは観てのお楽しみと言うことで(笑)。

ラストシーンも旧正月らしく、東南アジアのあの風習でめでたくしめくくる。
「撈起!」
お約束のNG集も含めて、「安心、安定」の旧正月娯楽映画。

LET’S EAT! 開飯啦! | 05.02.2016 農曆新年賀歲上映

(平成28年3月6日 梅田ブルク7)



 


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