【アナタの知らないマカオ】大規模デモ勃発

アナタの知らないマカオ
大規模デモ勃発

「政治的無関心」のマカオで、今、何が?

いま、マカオが熱い!

「え? 今さら言われなくっても、知ってますよ!」

「ラスベガス系のカジノなんかが進出して、賭博客や買春客で大賑わい、おまけに街は世界遺産に指定されて、観光客もどっと押し寄せて、商売繁盛!」

「昔は、<香港マカオ3泊4日の旅>だったのが、今や<マカオ香港3泊4日の旅>で、香港はオプション扱いになるほど、マカオが熱い!」

「ほら、お笑いさんたちだって、マカオで旨いもん食って、マカオタワーに上って、カジノでちょっとだけスロットマシンで遊んで、リゾートホテル紹介して、みたいな番組山ほどあるじゃないですか!」

いやいや、ちゃいますって。確かにそうではあるんだけど…。

あの「政治的昼行燈」というか、「政治的無関心」を決め込んでいたはずのマカオ市民が、小生の知る限りでは、初めて大掛かりな政治行動に打って出たのだから、こいつは驚きだ。で、なぜか、日本のメディアはこのことを伝えていない。誰も知らないでしょう? マカオで数万人規模のデモが起きているってこと。

あれだけタイの反政府抗議は、まるで国内の事件のように扱うのに、マカオについては知らん顔。どういうことですかね?

理不尽な法案に立ち上がったマカオ市民

5月25日、マカオ立法会が5月27日に採決を予定している「離職保障法」に反対する市民ら約2万人(主催者発表)によるデモが行われた。参加者数は、1989年5月28日の天安門学生支援以来の規模だった。

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主催者発表というのが信用ならないが、とにかく4万人が街に繰り出したという、「離補法反対デモ」 (蘋果日報)

離職保障法(離補法)とはなんぞや?

行政長官(マカオのトップ)及び高級官僚の離職後の身分や収入を保証する内容で、行政長官は在職中に刑事責任を問われないなどの条項もある。

こりゃ、確かに理不尽だ!

たとえば、行政長官が、痴漢をやっても万引きをやっても、殺人をしても、立ちションをしても、刑事責任に問われないってことか?…。なんでこういう法律ができちゃうのだろう??

マカオ政府、市民パワーにビビる?

25日深夜、マカオ政府は同法について再審議を支持する声明を発表したが、マカオ政府行政長官事務所は26日、マカオ特別行政区の崔世安行政長官と賀一誠立法会主席が会見を行った結果、離職保障法(離補法)の内容について、市民の意見に高い関心を抱いていると表明。崔行政長官は27日の立法会での同法案の採決中止を決定した。

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見るからに胡散臭い(ゴメンね)、売春宿の若旦那という風情の崔世安行政長官

このへん、デモ慣れしてる香港とは違い、数万規模のデモにびびってしまったのか、あっさりと引き下がってしまうあたり、なんだか可愛らしい(笑)。

そして、「びびったわけじゃないですよ」との言いわけにさえ聞こえるが、崔行政長官は会見で、「人が本位の施政理念の下、広く市民とともにマカオ政府を運営していきたい」と強調。「今後も、市民や社会の声を聞き入れていきますよ」と、やけにモノわかりがいい。同法案については、修正に取り組んでいくのだそうだが、反対する市民は、法案そのものの撤回を目指しているため、この見解を不服とし、27日夜には7000人の市民が自製の「水晶灯」なる懐中電灯(?)を持って、立法会議場を包囲。これですんなり事態収拾ということにはならいんじゃないかな。

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立法会議場を取り巻き、「No」の意志表示をする反対派市民 (明報)
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「水晶灯」ですって、これ (明報)

長毛も「蘋果日報」も、近くて遠いマカオ

香港的に見てみると、武闘派民主人士たる長毛こと梁国雄なんかは、すっ飛んで行ってデモを扇動したいところだろうけど、香港民主派人士のマカオ入りは極めて困難。
同様に「蘋果日報」もマカオに乗りこんで徹底取材および徹底支援したいんだろうけど、この媒体も、なかなかマカオでの自由がきかない。忸怩たる思いが、ウエブとは言え、紙面から伝わってくる。その他の香港メディアは、「マカオでデモありましたよ~」程度の扱いで、AKB48襲撃事件や「今日は暑くなるよ~、熱中症に注意してよ!」の方がかなり重大案件の模様(笑)。

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「澳門(マカオ)長毛」と呼ばれているらしい、この人。でも、かなり薄い(笑)。香港の長毛同様に棺桶パフォーマンス (蘋果日報)

デモの背後に黒幕は?

そもそも、どうしてこんな貴族趣味で、すっとこどっこいな中身の法案を採決しようという動きになったのか? マカオ市民はナメられているのか?
そして、これまでこんなにもの大規模な政治行動を起こして来なかったマカオ市民が、いきなり団結したのはなぜか? 誰かが後ろで操っているのか?
さらには、いとも簡単に政府が、「法案修正」(撤回はしてはいないが)という大譲歩をしてしまうのか? これも誰かの指示があったのか?

わからないことがいくつもあるんだが、小生とて、香港の事なら「はは~~ん」と色んな推測もできるが、マカオとなれば、博打場と快楽的サウナの行き来しかしていない(笑)ので、憶測の立てようもない…。

ひとつ言えるのは、香港の一連の民主派デモが、「純情一路」な民主派のミスリードのために、いつの間にか「民主のファシズム行動」に化しているのとは、デモの成り立ちの背景が違うということだろう…(と、今のところは思う)。

もう少し、様子を見てみますかね、ここはひとつ。

とりあえず今回は、こんなに人民大衆が政府に「No」を突き付ける大規模な行動に出たにもかかわらず、日本じゃまったく報道されていないマカオがあまりにも不憫なんで、取り上げたという次第。



 


5件のコメント

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