【ある日の大阪球場】

その日は、折から接近中の台風の影響で、午後9時ごろには大阪市内も暴風圏に突入するという予測で、大阪球場も試合前から、時折激しい雨風に見舞われていた。

その年の南海ホークスは、「万年Bクラス」をようやく脱出できるかの勢いで8月を戦い抜き、9月初旬には首位戦線を伺う位置にまで順位を上げていた。「優勝まで望まないが、せめて5割を!」の願いが実現すると、多くのファンは信じていたが…。

9月上旬の、後楽園での日本ハム戦で負け越し、そこからは坂道をこれでもかと転げ落ちるのみ。結局、シーズン4位に終わった。またもや「Bクラス」。

そんな中での本拠地最終戦は、暴風警報秒読み段階の中で開催された。観客は目勘定ではっきりわかる程度、数百人。主催者発表はたしか四千人だったかと記憶するけど(笑)。定かではない。

世間から忘れ去られたどうでもいい試合。確かロッテ戦。シーズン半ばなら試合開始前に中止になるような悪天候だったけど、大阪球場も南海球団も、「もうこれ以上今シーズンは経費使えまへんで~」とばかりに強硬開催。はっきり言って、空しい光景だった。それでも、シーズン最後の戦いを見届けてやろうと集まった数百人のファン。恐らく、小生も含めて、「家庭におれない何らかの事情」を抱える人たちなんだろう(笑)。

ある人は、鷹狂会のトランペットに合わせ、いつもどおりに大きな声で選手コールを送る。

ある人は、これまたいつもどおりに黙々と試合を「観戦」する。

ある親子は、いつもの席で雨風を一つの傘で防ぎながら野球を楽しんでいる。

あるガラの悪いおっちゃんは、いつもとおりにガラの悪いそして手厳しいヤジでガナリまくる。ある人は、雨でずぶ濡れになった焼売をほおばりながらいつもどおりに自らの「野球論」を語る。

そして僕は、いつもどおりに「セブンスター」をふかしながら「頼むわ~!ちゃっちゃと勝って早よ帰らせてくれや~!」を連呼してる(笑)。

そんな連中を、激しくなる一方の暴風雨が容赦なく叩きまくる。

試合は負け試合。空しかった。これ以上ない敗北感でいっぱいだった。ずぶ濡れの鷹狂会メンバーを見て泣けてきた…。

でもあれは何だろう? 最後まで見届けた、応援しきったという、なんともいえないすっきりした気分は、今も忘れない。

つい1ヶ月前まで、「今年はAクラスあるな!」と期待感いっぱいのファンで満員の日が続いた大阪球場の光景とは打って変わって、薄暗い場末の空き地という風情の大阪球場。

暴風の音と球音が交錯する奇妙な音が耳に残り、それがわびしさを一層引き立たせる。数百人の「変わりモン」が、それぞれのスタイルで「南海がんばれ!」と声援を送った、台風襲撃中の試合。あの日の大阪球場の試合が忘れられない。

あの日があるから、僕はどんなことがあってもホークスを応援し続けることができるんだ。

IMG_0458iza(昭和62年10月のある日の大阪球場で)

平成30年10月27日 日本選手権第1戦当日に、下記追記しました

上記の試合のスコア。
[10月16日 26回戦 大阪球場 2,000人←目勘定で100人未満w]
南海1―2ロッテ
勝:園川(8勝9敗0S) セーブ:牛島(2勝4敗24S) 敗:田島(3勝7敗0S)
本塁打:吉田9号

トピックとしては、中継ぎ投手の中条が加藤英司の代走に起用されている。暴風警報の日にふさわしい、投げやり感満載な選手起用である(笑)。
現在、ホークスの打撃コーチの藤本博史君が「6番三塁」でスタメンも、3打数無安打。また現在、「影の監督」とも言えるホークス作戦コーチの森浩之君は、吉田の後、守備固め? で1打数無安打。「左で打っても右田」は、山村の代打、河埜(1打数1安打)の後に守備で出場。
詳細は下記に。

知ってる人多い思うけど、上記のサイト、おもろいです。


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