【SARS10年を回顧-12】*旧ブログ

えー、実は、感染者がついに累計で1000人の大台を超えた4月11日で、内外の報道を自分なりに記録するという行為が、途絶えています。

理由は今となっては謎ですが、多分ですね、1000人超えてしまったことで、「もう、どうにでもなれや~」って感じで、ちょいと投げやりな気分になったんだと思いますね。或いは、こうした「まとめ集」の元になる何らかの情報が途絶えてしまったのか?

いずれにしろ、退院者もいるとは言え、感染者が累計で1000人を超えたっていうのは、大変な事態に至ってしまっているわけでして、香港全体が「終末観」に襲われていたのは間違いありません。

こうなったら、火でも吹いて
「疫病退散!」
香港のあちこちで加持・祈祷の類が連日行われていました

【4月11日】
■衛生署が「正しいトイレの使用法」を通達。
家庭では毎日1回は100倍に薄めた漂白液でトイレ全体を掃除すると共に、トイレを使用する毎に以下の手順で流しましょう。
1 使用後の紙はトイレに流しましょう
2 流す前に便器の蓋をしめましょう
3 完全に流し終わってから蓋を上げましょう
4 使用後は蓋と便座とトイレのふちを、100倍に薄めた漂白液で拭いた後、水拭き、乾拭きしましょう。
5 せっけんできれいに手を洗いましょう

あちこちに「消毒亭」が出現し、 みなさんは熱心にアルコールで手をゴシゴシしてました

市民の感染予防意識推移
・不思議なことに、「マスク一揆」状態の3月には、着用率が低い。見た目にはすごかったけど、あれは目立ってただけだったのか?
・集団感染が恒常化し、2次、3次感染も増加する中、4月にはマスク着用率や家の消毒が一気に増加、手洗い励行なんて、ほぼ全員…。

なあ、みんな、

「やればできるやん!」(笑)

■数日前、「自分は肺炎なんかじゃない!」と、入院を一時拒んだ男性は、将軍澳病院での臨床試験の結果、SARSの兆候はないと証明された。患者は自宅で10日間自主的に隔離し、薬物服用すると同意したため、医師は退院手続きを取った。このほか、沙田のウェールズ病院で深夜、SARS可能性患者が病院に無断で外出。きょう午後に戻ってきた。体調は安定している。病院側は、手続きにしたがって院内を捜索し、警察と衛生署にも連絡した。

■MTRC(地下鉄会社)は、東涌・海堤湾畔(シービュー・クレセント)の管理事務所で副業として働いていたMTR職員がSARSに感染していたことを明らかにした。同職員のいたオフィス及びマンションは既に消毒済み。同職員は3月30日から休暇を取っており、4月4日に感染が明らかになったとのこと。MTRCは衛生署からの連絡を受けた後、オフィスとマンションを消毒。また感染者と接触のあった職員は身体検査を受けた後、休暇を取ることに。

香港政府は来週の土曜日(19日)を「全港清潔保健日」に定め、全香港市民で大掃除しようとアピール。またボランティアの協力のもと、一人暮らしの老人や社会的弱者の自宅内を掃除すると述べた。

■きょう新たに61名のSARS感染者。うち11名は医療関係者、11名は淘大花園住民。累計1,059名になった。2名死亡し、死者累計32名。

■董建華行政長官は、SARS蔓延抑止のためさらに踏み込んだ措置をとると発表。その一例として来週月曜からSARS感染者と接触した人の、隔離期間中の出境を制限、また航空会社に連絡し、全出発便の乗客の体温を測る、などをあげた。

■市民の強い要求により、香港政府はようやくSARS感染者の住むマンション名を公開することに同意。明日より、衛生署のウェブサイトで報告される。集団発生のあった淘大花園周囲のいくつかのマンション群で多数の感染者が出ている。牛頭角下邨団地で31名の感染者を出したほか、付近の徳福花園と利基大廈(リーキ・ビルディング)であわせて15名の住民が感染している。徳福花園で感染者が出たブロックは5つ、Q、T、U、N、G座でそれぞれ1名。これを読むとちょうど「Kill Tung=董(C.Hトン行政長官)を殺せ」となって、行政長官に対するブラックジョークかと。

■コロナウイルスがSARSの元凶だと発見した香港大学微生物学部の袁国勇教授によると、ウイルスはすでに変化を開始しており、病状も初期の頃は発熱、咳、悪寒、筋肉痛、鼻水などを呈していたのが、現在では腹痛・腰痛など腎臓病に似た症状を訴える患者も出てきていると語った。中には咳も熱などの病状が全くない、サイレントキャリアーも出てきていると述べた。

■SARSに感染して広東省深圳市の病院に入院していた米国人の英語教師が9日夜、香港の病院に搬送された後に死亡した件で、香港各紙は「外国人の感染が表面化しないように深圳の病院が転院を拒否したものの、広東省での死者数の増加を避けるために急きょ転院させた」と指摘している。

■孫鋼・国家旅遊局副局長は、「中国は依然として最も安全な観光地だ」と強調。孫副局長は「外国人は安心して中国旅行ができる」と強調した上で、「わが国の観光業は近年、世界で最速の発展を遂げている。今年1月と2月には、海外からの観光客は延べ1586万人と、前年同期に比べ9.25%増加した。外貨収入は31億6400万ドルに達し、15.6%増えた。3月は中旬までやはり急増の傾向を維持していたが、それ以降は、海外のメディアが中国で新型肺炎が蔓延していると盛んに宣伝したため中国のイメージは著しく歪曲され、海外からの観光客数に一定の影響が出ている」と強調した。 国家旅遊局が今回、旅行関係者を集めたのは先ず各国の駐在員に“安定剤”を服用してもらった上で、中国に自ら身を置く者として海外メディアが盛んに行っている誇張な報道に反駁してもらいたい、との期待があるからだ。

■SARSで多くの死者が出ている中国広東省の鐘南山・広州市呼吸病研究所長は11日、北京で衛生部幹部らとともに記者会見し、中国ではまだSARSを「抑え込んだ」とは言えないと言明した。衛生部はこれまで、「国内では既に、SARSを有効に抑え込んだ」とし、安全を宣言していたが、同国有数のSARS専門家による否定発言は、中国政府が従来の説明を事実上撤回したことを意味する。鐘所長はまた、SARS発症者の中には、免疫力がエイズ並みに低下し、心臓の機能にまで影響が及ぶケースがあることを明らかにした。

■中国の国家衛生部は、新たに3名のSARS感染者が死亡したと発表。累計58名になった。

■フィリピンのアロヨ大統領は、海外で働くフィリピン国民に向け、もしもSARSに感染している疑いがある場合は、当分フィリピンに帰国しないように呼びかけている。国内でのSARS蔓延を危惧して。来週のイースター休暇には、多くのフィリピン人が海外から帰省するとみられている。

インドネシアで初のSARS感染者が確認された。47歳の英国籍ビジネスマン。ジャカルタの病院で治療中。発症前に香港とシンガポールに行っていた。

上にも記しましたが、ようやく香港政府は市民に対し、1)トイレ消毒の方法、2)感染者が出た住居名の公開の2点に踏み切りました。

まあ、1)については、香港人には悪いけど、噴き出しましたね。
「なぜにトイレ掃除の仕方を市民に告知?」ですよね。別に漂白剤で消毒しなくても、少なくとも週に2回程度、普通にトイレ掃除してりゃ、そこそこ清潔度は保てるじゃないか?と。挙句は「石鹸で綺麗に手を洗いましょう」とか、もうねぇ…。ってことは、香港人の皆さんはそういうことはしてなかったわけ?…。なんだかねぇ…。そんな人ばかりじゃないんでしょうけど…。

当時の流行語が

「1:99」

つまりは、消毒するときは「漂白剤1を水99」で薄めれば十分ってやつ。とりあえず、アタシも「香港市民の義務」として、これに従ってやってみましたが、面倒くさいので、従来通りに「トイレマジックリン」とか市販の洗剤に戻しました(笑)。

まあ、掃除の回数が増えたことで、しばらくの間は、部屋の中が整理整頓されていましたが、これも終結宣言以降は元に戻ってしまいました(笑)。そんなもんです、人間って。

感染者の出たマンション等の公表、実は地下組織みたいなところが独自にサイトを立ち上げていましたので、これも今さらでした。

で、不思議だったのですが、集団感染はじめ、感染者が続出したのは、九龍半島および新界エリアが中心で、香港島での感染者はほとんどなかったように記憶しています。
ゼロではなかったとは思いますが、圧倒的に九龍・新界に集中していました。

特に、小生が住んでいた香港島の南側は、感染者は5人にも満たなかったと記憶しています。

気候がよいからでしょうか?人口密集度が低いからでしょうか?本土から遠いからでしょうか? 理由はわかりませんが、自分たちの居住エリアに感染者がほとんどいなかったことで、淘大花園(アモイガーデン)などの集団感染はもちろん、SARS騒動そのもの自体が、港島南区の住民には、まるで「対岸の火事」でした。同じ香港の出来事という意識は希薄でした。

ただ、小生の勤務先が入居するビル(香港島の北サイドの銅鑼灣)では、下層階でショップの店員から感染がちょいちょい出ていまして、「XX階の●●屋で感染者が出たので、同店は5日間休業します」みたいな回覧がビルの管理事務所から回ってきましたので、そんな時にはSARSがすごく身近なところにまで迫って来ているという現実を感じました。

さて、非常に長ったらしいSARS禍を振り返るシリーズは、あと1回か2回で終わりにするつもりですので、もうしばらくということで御不承を願います。
ではまた。


1件のコメント

コメントを残す