【上方芸能な日々 落語】第16回 月亭八天独演会*旧ブログ

昨年までワッハ上方内の「ワッハホール」で行われていた八天師匠の独演会。
今回から、場所を天満天神繁昌亭に変えての開催。
ワッハホールは「5upよしもと」になっちゃっておりまして、なかなか独演会を開くような状況にはないようです。ワッハ上方(大阪府立上方演芸資料館)そのものが、「時の人」である橋下前知事と吉本興業ですったもんだあって、今の形に落ち着いているわけですが、わかりませんな、今後のことは…。

第16回月亭八天独演会
2011年11月12日
天満天神繁昌亭

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補助席の上に補助席が出てさらに立ち見も出て、立錐の余地ない繁昌亭。いつも大入りの師匠の独演会。コアな落語ファンが詰めかけます。
<ネタ帳>
1.初天神 月亭天使
2.粗忽長屋 月亭八天

3.漫談 ナオユキ
4.らくだ 八天
中入り
5.夏祭浪花鑑 八天

三味線 豊田久美子
笛 桂あさ吉
鳴物 林家市楼 笑福亭呂竹
お茶子 足利智実
寄席文字 橘右一郎

たっぷりと堪能できた約3時間でした
最後に、師匠自ら将来のことを語られ、場内は拍手喝さいとなりました。それについては、自身のブログでもさらっと触れられているだけなので、敢えてこのブログで書くことは避けますが、八天ファンとしても、上方落語ファンとしても大変喜ばしいことであります。

それはさておき高座。
まず前座で出てまいりました天使ですが、早いもので修行も2年目とか。ええテンポで「初天神」。寅ちゃんって、案外、女流の噺家さんがやるほうがいいのかもね。こんな感じで、女性だからこその世界をどんどん広げていってほしいですね。
「粗忽長屋」は、以前は上方ではあまり聴きませんが、最近は文珍師匠が「上方仕様」にアレンジしてやってます。この後、大ネタがあるので、八天師自身のそして観客の「準備運動的」な軽いネタで、というとこでしょうかな。
今回の色もんさんゲストはナオユキ。R1グランプリですっかりおなじみの、不思議な空気を醸し出す、あの人です。「どっひゃどっひゃ」と笑わせるんじゃなくって、「ムフフフ」っていう笑いの波状攻撃。心をくすぐられてる気分になります。
さあ、八天師匠が挑みます「らくだ」。
この話、多くの噺家さんがやりますが、つとに有名なのが六代目笑福亭松鶴、そして当代では桂雀三郎師匠。
で、「らくだ」なんですが、実を言いますと、アタシは苦手なネタなんです、はい。いや、上方の大ネタなのはよくわかってますし、特に六代目の「らくだ」なんてのは、極上品でありますし、雀さんもこれまたすごい。
でもどうしても好きになれない…。理由はわかりません。
「うっへ~、『らくだ』やるのぉぉ?」みたいな気持になってしまう不思議なネタです。
どこをどう笑えばいいんでしょうか…と、今頃言ってるアタシは、きっと、「お前今頃何言うてんねん!」と、落語マニアの皆様方から叱責の嵐かと思いますが、そうなんだから仕方ない。
この日の八天師匠は雀さんから手ほどきを受けたとのこと。そこは雀さんでもない、もちろん六代目でもない八天の「らくだ」の始まりの日。これからも何度か八天師の「らくだ」を聴く機会があると思います。このアタシが、「らくだ」を好きになるか、はたまた、苦手のままなのか。八天さん、アナタ次第です!

「夏祭浪花鑑」は歌舞伎や文楽でおなじみ。もちろん落語ですから、ちゃんとオチもあるし、笑いもあります。でもそこはそれ、歌舞伎のような所作があったり、歌舞伎、文楽同様に地車囃子が効果的に取り入れられるなど、視覚、聴覚に鋭利に食い込む噺でもあります。
こういうネタ、アタシは大好きだし、やってる八天師も好きなんでしょう、波動がイイ感じで伝わって来ます。「らくだ」とは違ってアタシもノリノリ、思わず所作のまねをしたくなりますね(あ、「らくだ」がアカンかったと言うてるのと違いますョ、その辺、お間違いなく)。
オチ直前には「観客参加型」とでもいいますか、皆さんご一緒に「大阪締め」で「う~ちましょ♪」。
さあオチですよ~、う?あれ?おや?
何がどうなったかは内緒(笑)。まあ、こういうこともありますわな(笑)。こういうんは、その場にいた人だけの「特権」ですよね。だから演芸でも音楽でも芝居でも「Live」が一番なんですよ、行かなきゃ経験できないことがいっぱいある、それが楽しいから行く…。

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今年も楽しい、充実の「月亭八天独演会」でした!


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