【六四20周年⑧】おまけでもう一丁!*旧ブログ

天安門事件20周年関連、一応、今回で最後にしておきます。
六四追悼集会では、あまりの参加者の多さに小生も少し舞い上がっていたのですが、その後、いろんな調査機関が追悼集会会場のキャパシティについてあれこれと言っておりまして、どんなに詰め込んでも10万人がいいところで、みんな座っているわけだし、6万人くらいじゃないか、という見解多数。なるほど、警察発表の6万2千800人ってのが正解と言えば正解なのかも…。


上の写真、2009年6月4日ビクトリアパーク15万人
下の写真、2006年9月23日つま恋3万5千人(吉田拓郎&かぐや姫)
さあ、どっちが多い?
小生、どちらにもいましたが、冷静に振り返ると、
下の「つま恋」の方が圧倒的に多かったと…。

翌日の新聞記事ですが、もちろん『蘋果日報』はあてになりません。「理性を失った紙面」とはこのことで、「香港の民主化運動が中共を打ちのめした、民主の勝利! 友よ、夜明けは近い」みたいな、ほとんど「岡林かお前は!」のような紙面。大阪女子マラソン翌日の、産経大阪の紙面が女子マラ一色に染まっているかのような、あんなの。

「腐れインテリ紙」に落ちぶれて久しい『明報』には五分の魂が残っていたようで、各紙が六四をスルーもしくはさらっと報じるだけになった昨今において、久々に『明報』らしく冷静な視点で、六四を大々的に報じておりました。
そこで目に留まったのが「現場アンケート」。サンプル数373というのが、ちょいとしょぼいのですが、「ああ、なるほど!」と合点が行く結果になっていましたので、ご紹介。
Q1)今夜の追悼集会参加の主な理由は?
■「平反六四(事件の再評価)を勝ち取るため」…51%
■「次世代が六四を忘れてしまわないか心配だから」…26%
■「中央政府の内地政策に不満があるから」…8%
■「曾蔭権行政長官の六四関連の発言に不満を感じたから」…7%
■「その他」…8%

小生が想像した参加理由とはかなり違いました(苦笑)。純粋に「平反六四」のために参加した人が半数ということが、香港で20年ずっとこの活動が継続されている大きな支えとなっているのでしょう
一方で、「次世代への継承」を心配する人が3割近いというのが、継続の困難さを表している数字です。

Q2)天安門事件のとらえ方
■「政府が武力で学生や民衆の行動を鎮圧し、多くの死傷者を出した」…96%
■「政府と民衆の武力衝突で双方に死傷者が出た」…3%
まあ、まともな結果でしょう。「政府と民衆の武力衝突」と思ってる人は、当時の北京では民衆も「武力行使」の手段があったと思っているのでしょうか…。
Q3)近年、香港での六四追悼活動の自由度が低下していると思うか?
■「思わない」…52%
■「思う」…38%
■「わからん」…10%

少なくとも小生は思いませんね。あえて言うなら、「追悼」から「次世代教育」へ軸足が動いているのは感じます。さらには「六四」をダシにして他の民主活動がからまっているのを危惧します。普通選挙導入とか、国家安全法の立法化云々とか。この日も7月1日の民主化デモへの参加が促されていましたが、そこは一線を引くべきではないかなぁ。いっしょくたにしていいのかなぁ。
Q4)香港の六四関連の資料は十分か?
■「十分だ」…52%
■「不十分」…38%
■「わからん」…10%

世界で一番充実しているでしょう、恐らく。外国人居住者である小生ですら、ここまであーだこーだブログに書けちゃうのですから。
Q5)事件の再評価まであとどれくらい時間を要すると思うか?
■「いつかわからん」…55%
■「11~20年」…16%
■「20年以上」…14%
■「5~10年」…13%
■「5年以内」…2%

ほほ~、5年以内なんて楽観している人もやっぱりおるんや~。20年以上あるいはいつのことやらっていうのは、本当のところでしょう。この日も改めて中共側は「再評価の必要なし」という談話を発表してましたからね。そういう意味では、延々と続く香港の六四活動。「次世代への継承」を心配する声が(Q1)で26%あるのもわかりますね。本当に風化してしまわないかということですね…。
Q6)今日の追悼集会は何度目の参加か?
■「初めて」…46%
■「2~5回目」…28%
■「10回以上」…10%
■「6~10回」…9%
■「毎回」…7%

う~ん。なんたる結果か。
1990年の第1回目から参加している人、わずかに7%とは。そして半数近い人が「初参加」とは。以前のエントリで「20周年の記念に参加したような人も多かった」、ってなことを言いましたが、そういう人が46%ですか…。「10回以上」の小生はもはや「少数派」じゃないですか!

以上の数字は「15万人」のうちのサンプル数373というごくわずかな人数による調査であるし、会場のどのエリアで行われたものかも明らかでないので、これがすべてではないのだろうけど、この結果からわかってくるのは、主催の支連会の喫緊の課題は「次世代への継承」だと思われる。
この前若い世代が目立ったのは、「カメラ小僧」と教員組合である「教協」の動員があったのだろう、と書いたけど、それはもう(Q6)の結果に表れていると思います。
この連中が来年、再来年…継続して参加すると言う保証はありません。

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異常に目立っていた制服姿の中高生。この子ら、来年も来るかな?
それにしても左から2人目の子、その座り方はないやろ、年頃の女の子がよ!

そのあたり、主催の支連会がもっとも痛感しているでしょう。やたら青少年の「育成」に力を注いでいます。壇上での司会進行をしたり、デモの先頭グループに立たせたりして、なんとか次世代に「民主のバトン」を渡そうと必死です。
youngmen
六四事件の年には生まれていなかった彼らが壇上から訴えて、何がどれだけ伝わるのだろうか?少なくとも僕には響くものは何も無かった
が、しかし。
もはや「次世代」は天安門事件をリアルで知らない世代です。「バーチャル」とまでは言いませんが、そのときの香港の空気を肌身で感じていない世代、写真や映像、証言などの資料でしか知ることのできない世代が、どうやって「平反六四」をさらに次の世代へ引き継いでゆくのか、香港の六四活動の最大の課題であり、大きな悩みであります。

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さらに次の世代は「香港返還」すらリアル体験していない!
恐らく、六四に対する考えも今以上に多様化してくるでしょう。「知らない」のだから、自然な流れですね。よもや「民主活動」である六四活動がそうした多様な意見を排除したりつるし上げたりはしないでしょうね…。
体力と視力の衰えが誰の目にも明らかな司徒華・主席をいつまで先頭で走らせるのか。直近の後継者問題も支連会としては悩ましいところではないでしょうか。
szhitowwa
香港の六四活動の先頭に立ち続ける司徒華氏。民主派のリーダーであると同時に反日人士でもあるので、主義主張には同調できないが、ひたむきに愚直に六四活動を引っ張ってきた姿勢は素晴らしいと思う。さいきん、以前ほどの覇気が感じられなく、体調を心配しているんですが、ねえ司徒さん…。
15万人参加!という「快挙」を成し遂げた香港の六四活動ではありますが、その裏では様々な課題を抱えています。上記のアンケート結果はそれらをあぶりだしているように思えました。
動員数だけで、一瞬舞い上がってしまいましたが、ちょっと横道に入って数字などを見ると、なかなか「天晴れ!香港!」といかないのが現実です。

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COMMENT:
AUTHOR: 丸山光三
DATE: 06/12/2009 20:56:31
ううむ寄る年波と中共には抗し得ずか、司徒華氏。
歴史的使命を果たしたのは立派でしたか、ご指摘のように「中国病」が治癒しないのは困り者です。
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COMMENT:
AUTHOR: leslieyoshi
DATE: 06/12/2009 22:55:59
To 丸山光三さん
>ううむ寄る年波と中共には抗し得ず
>「中国病」が治癒しない
どちらもとても残念です。
当地での「中国病」というのは「大香港主義、小中華主義」とでも言いますか…。
長毛しかり、司徒さんしかり。尖閣から六四まで。いずれの民主派人士にも言えることです。


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