またまたごめんね。とりあえず落語ネタはこれにてひとまず終わります。
またの機会をお楽しみに~!
さてさて、先刻報道のとおり、5月31日をもちまして、B1角座が閉館されます。
これにともない、ついに道頓堀から演芸の灯が消えてしまいます。
帰国最終日の5月25日、ミナミでの食べ歩き三昧に際し、複雑な思いでB1角座へ向かいました。
さすが日曜日、ほぼ満員のお客さん。が、しかし…。そのうちの30人ほどは丹波からの団体さん。出てくる芸人さんたちそれぞれが
「あんたら来てへんかたっらガラガラや~」
「花月より安いからこっち来たんやろ~」
「団体割引で観てるんやからこっちも割引でやるわ~」
などなど、笑うに笑えぬ(アタシはしっかり笑ってましたが)自虐ネタの連続…。
万博のころの角座全盛をリアルタイムで知る身としては、なんとも言えぬ状況です。そのへんはこの日から最終日までトリを勤める、正司敏江・玲児のご両人も「寂しい、悔しい」と舞台でしみじみと言ってました。旧角座閉館から浪花座、そして浪花座閉館、さらに此度のB1角座閉館…。松竹芸能はどこまで芸人のことを思っているのか…。ベテランのこの「寂しい、悔しい」という言葉を、どう受け止めているのか…。
食べ歩きに時間を取られて、途中からの観覧となりました。
(観られなかった方々)
韋駄天、代走みつくに、チキチキジョニー
<ネタ帳>
1.『動物園』 森乃石松(福郎門下)
若手です。団体さん(要は一見さん)にはうってつけのネタでしょうか、みんさんよく笑ってました。
2.「剣劇コント」 サムライ勇・朝
数少なくなりましたね、剣劇コント。超ベテランです。両師匠とも肩で息しながらの大熱演。プログラムを見れば、サムライ師匠は、この日が最後の角座の舞台。それだけに舞台狭し(実際狭い)と動き回ったんでしょうな…。
3.「音曲漫才」 暁照夫・光夫
今日のお目当ての一組。大阪の40歳代以上の人なら一度くらいは「ウチ、なんでこんな上手いのかしら~」ってギャグかましたことがあるはず。宮川左近ショー時代からの照夫師匠のギャグは、今日も健在。もちろん三味線のテクも冴え渡り、さすが! 「今日は客席を見渡せば、なつかしいお顔もちらほら」と照夫師匠。思わず「俺か?」と思いましたが、さてどうでしょう? 確かに照夫師匠は小学生のころから何百回となく拝見してますが、照夫師匠と目が会うと「連れて行かれたらどうしよう」と身の危険(笑)を感じてしまいます
4.『犬の目』 桂春駒(春団治門下)
上品な師匠です。奇天烈な展開のネタですが、まことにもってお上品にさらりと演じられますな。最初は照夫師匠の三味線と話芸の余韻でテンション上がり気味の客席でしたが、あれよのうちに客席を落語モードに転換させるあたり、繁昌亭のような落語のための小屋ではなく、演芸場でのツボも心得ている超ベテランです。
5.「漫才」 浮世亭三吾・美ユル
大体、多くの人は知らないでしょう、この親娘コンビを。角座の楽しみは、こういう「コア」な芸人さんたちをナマで見ることができるという点にあります。それでめちゃめちゃおもろいわけで、アタシが吉本よりも松竹に肩入れするのはこの点です。いまテレビで活躍するいわゆる「お笑い」と呼ばれる連中とはまったく趣を異にする「お笑い」の世界があるのです。このコンビも今日が最後の角座。ジャグリングを修行中の息子というか孫を舞台に呼び出して一芸を披露させる親馬鹿ぶりもご愛嬌。
6.「漫才」 正司敏江・玲児
僕にとっての角座は、敏江・玲児、左近ショー、フラワーショウ、レツゴー三匹、ちゃっきり娘、春団治、松鶴…。自分自身では最後となるB1角座のトリに敏江・玲児を観られてラッキーです。最初はネタを繰った漫才で進んでましたが、途中からは、昔の角座の思い出話やら、最初に書いたような「道頓堀から寄席の灯が消える」ことへの寂しさ、悔しさ、無念さなどなどが始まり、ついには政府批判など社会派ネタまで広がり…。このコンビの漫才でこんなにしんみりしたのは初めてでした。改めて、この芸人の声を松竹芸能はどう聴いたのか。
さてさて、ホームグラウンドをなくした松竹芸能ですが、7月5日からは通天閣地下劇場で毎週土日(12時と14時、夜公演)で演芸を再開させます。ただ、敏江師匠が舞台でポロッとこぼしていましたが、「歌姫側が納得してはれへんらしいわぁ」とかで、なかなか前途多難な再スタートとなることが予想されます…。
なお、角座最後となる5月31日(土)は、
シンデレラエキスプレス、浮世亭三吾・美ユル、海原はるか・かなた、酒井くにお・とおる、暁照夫・光夫、横山たかし・ひろし、正司敏江・玲児ほかが出演。
みんさん、行きましょう!
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。