【港島區立法會補選】陳方安生当選

陳太贏了<陳方安生(アンソン・チャン)勝利>

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2日に投票が行われた立法会香港島選挙区の補欠選挙。

汎民主派が支持する元政務長官(特区政府ナンバー2)の陳方安生(アンソン・チャン)氏が、対抗馬で親中派などが支持する元保安局長の葉劉淑儀(レジーナ・イップ)氏を破り、当選しました。

昨日、
「小生にとってはどっちが当選しても関係ないのですが、『蘋果日報』が大はしゃぎするのを見たくはないで、レジーナにちょっと肩入れしてしまいます」
と書きましたが、案の定、『蘋果日報』はまるで大革命が起きたかのような大騒ぎの紙面。こういうときは、政治から距離を置く新聞を見るのがいいでしょう。

経済紙『信報』が、なるほどそりゃそうだ、というような社説や評論をいくつか載せていました。『信報』なんて新聞、かなりマニアックかつマイナーな存在ですが、実はコアな読者がいっぱいおります。香港の新聞でここまで紙面いっぱいに文字が詰まっていて、かつ薄っぺらな新聞はないでしょう。にもかかわらず、客観的で冷静な視点で世の中を見ています。

3日付の『信報』の社説や評論をざっとまとめると、

         選挙戦に長けた「民建連」(親中派)だが、最大の争点であった「2012年の全面普通選挙(行政長官、立法会)導入」を曖昧にした

         断固として「2012年の全面普通選挙(行政長官、立法会)導入」を勝ち取るという汎民主派も、それ以外に有権者を動かすテーマがなく、ただひたすら「陳に一票を!」を連呼するだけ

         民主派の苦境は今回の選挙でさらに顕著になった ⇒ 「負ける要素のない候補者(陳方氏)」を擁立したのも、「民主の危機」という言い古されたメッセージ以外に何も持ち合わせていないから

         一般有権者は、「全面普通選挙」以外の部分で、民主派と対抗勢力の差を見出すのは、実際のところは困難だろう

         汎民主派挙げて陳方氏を支援したが、彼女一人の力量にも限りあり。香港の政界地図を刷新するようなことはなく、政局への影響力は微々たるものだろう

         何よりも、汎民主派がこれ以上ないメガトン級の候補者(陳方氏)を擁立した背景には、汎民主派には対抗勢力(親中派)に選挙で勝てるような人材がいないということだ

 

こんなところです。

まあ、ほとんどは小生が今までに言ってきたことですが、冷静に見るとこういう見解に落ち着くはずです。


175,874票(陳)、137,550票(葉)と言う数字だけ見ると、「民主派の陳に親中派の葉が約3万8000票の差をつけられた」となるワケですが、『信報』の表現を借りれば「負ける要素のない候補者」「これ以上ないメガトン級候補者」として陳を擁立したにもかかわらず、民主派は「わずか3万8000票しか差をつけることができなかった」というのが実際のところでしょう。ブッチ切りの勝利ではなかったということですな。

elected result

民主派は浮かれ気分のようですが、やはり『信報』が言うように、政局を転換させ、一気に普通選挙導入実現、というのはまずムリでしょう。陳方氏が当選して民主派(果たしてこのおばさんが本当に民主派なのかどうか、いささか疑問だが)が1議席増やしたものの、相変わらず議会は親中派と中共に首根っこ押さえつけられている財界派が圧倒多数ですからね。どうにもなりませんよ。

 

陳方安生の「補欠選挙」当選で、いよいよ民主派は親中派と真っ向から対決できる駒=人材が尽きてしまいました。


小生には民主派は自らその命運を絶った、と見えるのです。なによりも、負けた葉劉淑儀はこれを機に次期行政長官選に必ずや出馬するでしょう。そのとき、仮に普通選挙が導入されていたとして民主派に対抗馬はいるか?いません!

 

余談ですが、陳方安生(アンソン・チャン)を民主派が支持したから、或いは民主派が三顧の礼でもって担ぎ出したから「民主派」と一応みなされていますが、この人自身「汎民主のリーダーになるつもりはない」と言ってますから、厳密には「民主派」とは言えないですし、西欧メディアが名付けた「香港の良心」というニックネームがありますが、ほんとうに「良心」のある人なのかどうか、我々一般市民にはわかりません。実は底意地の悪いオバハンかも…。


一方の葉劉淑儀(レジーナ・イップ)も、保安局長時代のダーティーなイメージが浸透して、今回の補選ではイメージ一新に躍起でしたが、なかなか悪いイメージを払拭できません、でも実際にはいい人かもしれません。


実際のところ、メディアが「二大女傑の戦い」を煽ったことで、「人気投票」になってしまった観も否めませんしね。とかく選挙とはそういうものなんでしょうけど…。

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当選を喜ぶ陳方安生(RTHK香港電台)

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COMMENT:
AUTHOR: 丸山光三
DATE: 12/04/2007 22:48:09
陳方オバサン、デモ中の美容院行きにもかかわらず、勝ちましたか。まあ香港の民主派も、大陸の民主党派と同様、「便所の花瓶」になってゆくことは間違いないでしょうね。
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COMMENT:
AUTHOR: leslieyoshi
DATE: 12/05/2007 01:01:33
To マルコおいちゃんさん
>デモ中の美容院行き
そうそう、そういうことありましたね!
「立法会」とは聞こえがよいですが、中共政権下においては、日本の地方都市議会よりもさらにランクが落ちますから、そんなところで補選に当選したことで、このおばさんも「最後の花道」かなと。


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