<香港で働き始めた頃を思い出して、ついついじわ~っと来てしまう。罪だね、この夜景は…>
この度の「香港里帰り」も残り時間、数時間となってしまった。ホントあっと言う間。そりゃ、少なくとももう2~3日滞在したいのは山々だが、そんなことしたら、大阪の「出稼ぎ先」から自分の机が無くなってしまう…。またの里帰りのために、しっかり出稼ぎして資金を貯めなければ、な!。なんか、農暦新年に北京や広州の出稼ぎ先から田舎へ帰る農民工の気持ちがよくわかる(笑)。
「龍躍頭文物徑(Lung Yeuk Tau Heritage Trail)」をしっかり歩いたので、とことん空腹である。お友達さん推奨としては、「大埔(Tai Po)あたりでゆっくり飯食って、大埔から空港バスに乗って行けば?」ということだが、最後はやっぱり夜景で締めくくりたい。ということで、わがままを聞いてもらい尖沙咀(Tsim Sha Tsui)へ向かい、「最後の晩餐」。
さすが、COVID-19明け(全く明けてないとは思うけど)の日曜日、旧正月を締めくくる元宵節とあって、なかなかすんなり飯屋に入れない。で、ようやく落ち着いたのが小洒落た四川料理屋。場所、店名はすっかり失念(笑)。たしか國際廣場(iSQUARE)の中だったと思うが…。とすれば「霸王川莊」ということになるが…。せめて箸袋でも持って帰って来るべきだった。辛さも景色も小生的には、ほぼ100点。これはヒットだ。実際に霸王川莊だったとすれば、グルメサイト『Open Rice』の評価もめっちゃ高いので、人気店なんだろうよ。よくすんなり入れたもんだ。
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翌朝になっても、まだ口の中が四川していたほど、がっつりしっかり食って、これにてお友達さんとはお別れ。2日間ありがとござんした!
フライトは深夜なので、機場快綫(Airport Express)の最終ギリギリまで夜景を堪能したい。夜の香港を一人でウロウロするのが実は大好きな子なので(笑)。
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尖沙咀鐘樓(Tsim Sha Tsui Clock Towerの足元では、この日が丁度元宵節ということで、ランタンフェスティバルは宴もたけなわ、撮影する人でいっぱい。
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海沿いに出た。前回、やはり最後の夜景を見に来たが、COVID-19の感染拡大がいよいよ深刻になろうかという直前だったためか「え?ここに居てるのは、俺だけ?」みたいな寂しさだったが、この日は人出も回復し、以前のような喧騒を取り戻しつつある。
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この地で働き始めたころ、仕事帰りにわざわざ香港からここに渡って来て、ぼーっと夜景を眺めていた。「あのビルの灯の蛍光灯一本分くらいは、稼げるようになったかな」などと考えていたら、泣けてきたものだ。CDウォークマン(時代ですな!)は、その時は必ず浜田省吾の「J.BOY」。そんな気弱だったJ.BOYも、あと半年で還暦だよ…。違う意味で泣けてくるわ(笑)。
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九龍とお別れして、天星小輪(Star Ferry)に乗って香港へ。勿論、お席は下層の安い方で。こっちの方が海面に近く、たま~に浪しぶきがちょびっとかかったりするのも良き。夜景もこっちの方が何故だかきれいに感じる。あれ、なんででしょうな?
天星小輪からの夜景は、陸から見るのと違い、「特別感」がある。ちょうど後ろがエンジン室なんで、終始、ゴンゴンとエンジンの音が聞こえてきて、同時に燃料の臭いが漂う。これと船が波を切る音が重なり合って、天星小輪ならではの風情を味わえる。あっという間に、香港に到着。相変わらず、味もそっけもない香港側の船着き場である。
思い返せば、この背の高いビル、「世界一高層階にあるホテル」と言われている香港麗思卡爾頓酒店(The Ritz-Carlton, Hong Kong)の110階だかなんだかに、取材旅行で宿泊したことがあった。フライトも往復キャセイのビジネスクラスで、あんな贅沢な香港旅行は金輪際、絶対にない(笑)。しかし、あの部屋から見えたビクトリアハーバーは最高やったなぁ~。右隣は君臨天下という大それた名前のアパートメント、さらにその右は凱旋門という実にふざけた名前の高級アパートメント。実際にゲートの形をしているのがまた笑わせると、香港仔居民の妬みであります(笑)。
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残念だが、香港とはこれでしばしお別れ…。機場快綫で空港へ向かう。「また帰ってこれるかな…」などと思うと、めっちゃセンチメンタルな心地になって、よろしくない…。せいぜい出稼ぎ先の大阪で稼いで、帰ってくればよろしい!
空港の便所で笑ろてしもたww。例の人気のアイコン「小心地滑(スリップ注意)」を床に照明で浮かび上がらせていた。思わず天井見上げたわww。しかしこの地滑先生(Mr.slip)は、角度が実に危なっかしい。もう浮いてるし(笑)。それとも、きれいに受け身を取ろうとしているのか?
しばらくご無沙汰しているうちに、こういうのがバージョンアップしている。以前は、こんな絵柄出てなかったし。そして数カ所あった喫煙室は完全に無くなってしまった。口さみしいこと、この上ない。
Peachのチェックインカウンターは、99%が香港人。香港の制限緩和もあるが、何より、日本側が一気に入国規制を緩和したことで、香港人の皆さんも「待ってました!」とばかり、大好きな大阪へ飛んで行く。10人以上のグループもちらほら。すごいね、みんな。
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ということで、搭乗機は定刻通り香港を飛び立ち、定刻通り関空に着陸した。あの関空に降り立った時の、がっくり感ときたら、もう…。阪和線に入るや否や、通勤客ですし詰めの朝の通勤電車と化す関空快速で帰りまっさ。
ということで、3年ぶりの「永久居民権延長」のための里帰りは、思いのほか濃い滞在となった。大方15年住んでたクセに、まだまだ知らない香港がいっぱいあるということを思い知らされた実質2日間の滞在だった。
また帰って来るぜ!待ってろ、香港!
『路地裏somewhere in HK』 kitsunetsuki.jp (著, 写真)
2019年7月に訪れた3泊5日の香港旅。いく先々で撮影した写真をまとめた一冊。ガイドブックには絶対に載らない建物の間の先にある薄汚れた路地裏からビクトリアピークの夜景まで著者独自の切り取り方で香港を旅した旅行記。あなたの知らない香港がこの中にあるかもしれない。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。