【睇戲】喜歡妳是妳 <日本プレミア上映>

日曜日。第17回大阪アジアン映画祭は4日目。この日は2本観る。昨日は『野蛮人入侵』ともう1本観る計画だったが、そのもう1本がチケット瞬殺。と言うか、まったく購入サイトにつながらず。つながって席を指定しても購入できない。そのうち完売。なんかもうちょっと方法ないですかね、主催者さん…。以前は「ぴあ」で販売だったのが、いつからだか会場ごとの販売に。これがどうしてもつながらない。殺到するのはわかってはいるが、なんか釈然としないのよね。こっちが「おい!つながらんぞ!」とイライラしているうちに購入できてる人もいるわけでねぇ…。愚痴はさておき、この日の1本目は香港映画で。

コンペティション部門|特集企画《Special Focus on Hong Kong 2022》

喜歡妳是妳 邦題:はじめて好きになった人 <日本プレミア上映>

睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

港題『喜歡妳是妳』
英題『The First Girl I Loved』
邦題『はじめて好きになった人』
公開年 2021年 製作地 香港 言語:広東語
評価 ★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):吳詠珊(キャンディ・ン)、楊潮凱(ヨン・チウホイ)
編劇(脚本):吳詠珊、楊潮凱、冼詠娜(シン・ヨンナ)
監制(プロデューサー):泰迪羅賓(テディ・ロビン)、唐慶枝(パトリック・トン)、柯星沛(ホー・シンプイ)

領銜主演(主演):談善言(ヘドウィグ・タム)、楊偲泳(レンシ・ヨン)
主演(出演):歐錦棠(ステファン・アウ)、麥方喬(テレサ・マック)、韋家雄(ウィリー・ワイ)、童愛玲(アイリーン・タン)、黃修平(アダム・ウォン) 、陳健朗(ケルビン・チャン)

<作品概要>

29歳独身、映画監督として成功し始めたウィンラム(ヘドウィグ・タム)が受けたのは、ブライズメイドをしてほしいというサムユ(レンシ・ヨン)からの電話だった。名門女子校の同級生だった2人。友情と呼ぶにはあまりに激しい想いに流された若き日。学校から叱責を受けサムユが転校することで2人の関係は一旦幕を引いた。数年後、偶然の再開。ボーイフレンドが出来たとサムユから知らされ傷ついて自棄になるウィンラム。30歳になってもお互い独身であれば結婚しようというサムユの言葉だけを支えにしてきたウィンラムは、あの時の気持ちは愛だったのかという問いの答えを得られないままブライズメイドを引き受ける…<引用:「第17回大阪ジアン映画祭」作品紹介ページ

以前なら、二人の監督のうちどちらかが来阪して、舞台あいさつや上映後の質疑応答なんぞをやってたんだろうけど、もうそれができなくなって3回目となる。決して長時間ではなかったけど、関係者のナマの声を聞ける貴重な時間だっただけに、COVID-19が終息するか、どこかの段階で世界の合意事項としての「共存」の決断を下すか、そういう日が来てほしいと願うが、なかなかねぇ…。

そこで大阪アジアン映画祭では、一部の作品で作品紹介ページに監督のインタビュー動画がアップされている。本作では二人の監督のリモートによるインタビューがアップされてるので、興味があればご覧になるとよい。

二人の監督のうち、楊潮凱(ヨン・チウホイ)ってのはTVBの合約藝人なんだ。で、彼は映画監督もやるというマルチぶりで、もう一人の監督、吳詠珊(キャンディ・ン)とは城市大学の同級生だとのこと。

作品はミレニアムあたりの時代が描かれている。懐かしい映像が時に挟みこまれていて、「ああ、そういうことあったなぁ」と思い出すことしきり。そんな時代に中高生から大人へと成長していく二人の女性の物語である。随所に「集體回臆(集団の記憶)」が盛り込まれていて、思わず見入ってしまう、その場面だけは(笑)。

特に2003年は「香港の人たちにとっては忘れえぬ1年になったが…」(だったかな)という主人公の声にSARSや50万人デモで混乱する香港の映像が流れたが、自分的にもこの年は忘れられない。香港の混乱はもちろんだが、身体の異変を感じ、発覚した病と20年経過した今も向き合っている…。

件のインタビュー動画で楊潮凱監督は「自分たちが中学生だった2000年当時の映画を撮りたかった。あの時代を映像に残しておきたいと思った」と語っていたが、いやもう、よくぞ思いついてくれたと思う。

で、映画なんだが…。

う~ん、どうなんでしょうな…。これまたちょっとお手上げに近い中身だった。女子的にはキュンとくるものがあるのかな。小生には「集體回億」のシーン以外は深く感じ入るものがなかった。作品の背景には吳詠珊(キャンディ・ン)監督が大学時代に友人からリアルに聞いた話があり、撮影前にもリサーチを重ねたとのことで、まあ、あるんだろうな、女子校では特に。小生は一貫して共学校だったし、大学も文学部は男女半々。社会人になると一転して圧倒的に男社会…。なかなか女子同士のキュンなストーリーに出会うことができないまま来たんで、ようわからんのだよ、こういうのが。

どこかに女子版『刻在你心底的名字(邦:君の心に刻んだ名前)』って感じもしないでもない。二人称に「」ではなく「」を使っているところにもそれを感じる。しかし、あれほど痛々しい物語でもなく、ラストはからっとしていた。

二人の主人公は、キャリアが浅い。香港政府の電影發展基金を活用して作成されということで、低バジェットであるのはもちろんだが、それ以上に「新しいスタッフ、タレントの育成」という大命題がある。そこで、約200人のオーディション応募者から二人が選ばれたとのこと。作品中で、映画監督として頭角を現し始めた李詠藍(ウィンラム)を演じた談善言(ヘドウィグ・タム)は『非分熟女(邦題も同じ)』にも出ていたようだが、思い出せない(笑)。しかし、二人の主人公、中学生から大人の女性までこなすのね…。

「ようわからん」と言ったものの、この場面はえらいのもんだったな。

土砂降りの雨の中、校庭のど真ん中で激しくキスする二人…。校舎からは全生徒の好奇の視線が注がれる。これはマジの大雨の中での撮影だったとのこと。やがて教師に校舎へと連れ戻され、その後、親が呼び出される。学校の廊下でスッパスッパ煙草を吸う二人の父親が、物わかりがよい(笑)。「男にぞっこんになるより、女の子同士なんだからいいじゃないか」とは、楊偲泳(レンシ・ヨン)演じる李芯悅(サムユ)の父親(演:韋家雄/ウィリー・ワイ)。やさぐれ具合がやけに板についていて、いい。でも、いい人はすぐ死ぬ…。彼も若いころはかわいらしい顔してたんだけどなぁ…。しっかりおっさんになってる(笑)。

で、劇中の現実なのか、李詠藍が作っている映画なのか?ってな感じラストに向かって進んでいく。二人の監督は「いくつかのバージョンを作って編集段階で改めて議論し合った」と言うだけに、この流れ、この結末が二人の主人公にとって「ベスト」な幕切れだったというわけでもないだろう。もしかしたら、別の物語があったかもしれない。観る者それぞれが、そこから色んな展開を想像してみるのもまた面白いのかもしれない。

女子生徒たちのあこがれの的である美術教師を黃修平(アダム・ウォン)、どっちだかの男朋友役で陳健朗(ケルビン・チャン)が出演しているのも、大阪ジアン映画祭の常連さんにはうれしいところ。陳健朗は二人の監督の大学の後輩だという。昨年の大阪アジアン映画祭で上映された『手捲煙(邦:手巻き煙草)』の監督だが、その撮影前の出演だったらしく、「先にあっちの方が公開された」と楊潮凱は笑う。また、泰迪羅賓(テディ・ロビン)がプロデューサーに名を連ねているのもうれしいところ。

次作はぜひ日本でロケをと言う二人だが、次の作品はもうちょっとわかりやすいのを作ってね(笑)。

<受賞など>

■第17回大阪アジアン映画祭
・ABCテレビ賞受賞

《喜歡妳是妳》 預告 11.25 還記得嗎

(令和4年3月13日 シネ・リーブル梅田)

さてさて、「ほぼゼロコロナ」でここまで来た香港だが、農暦新年明けあたりから一気に感染者数が急増中。一時は病院の駐車場にテント張って野戦病院さながらの状況に陥り、医療崩壊の危機に瀕している昨今の香港。まあ、あんだけ検査、検査を繰り返すと自ずと感染確認も増えるというもの。ちなみに香港はこれが「第5波」である。原因は色々言われているが、来るべき時が来たということだろう。今のところ、知人友人に感染者無し。さて、この先も大丈夫だろうか…。



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