【上方芸能な日々 文楽】令和3年初春文楽公演<1>

アイキャッチ画像:正月らしい繭玉越しに大型行燈の『碁太平記白石噺』の一幕が。この「おのぶちゃん」だが、かわいらしい風情して、どうしてなかなかの女子ですなw(筆者撮影)>

人形浄瑠璃文楽
鶴澤清治文化功労者顕彰記念
和3年初春文楽公演 <1>

病人のある気がかりや初芝居 高浜虚子

明けましておめでとうございます。

結局、日本はもとより世界中がCOVID-19とともに年を越したわけだが、終息の兆しは一向に見えず、それどころか、首都圏、京阪神を中心に、年末年始は凄まじい数の感染確認。虚子の一句を思い出してしまうような「誰もが明日、感染してもおかしくない」状況で芝居見物なんぞのんきにやっていていいものか?など思ったけれど、チケットは昨年の前売り開始早々にゲットしていたんで、引き返すわけにもいかず、のこのこと文楽劇場にやって来た。

ただ、ここは、町中をうろうろするよりよっぽど安全。感染拡大防止対策が、大阪中のどこよりもしっかりしていて、安心して見物に集中できる。その分、今公演もまた三部制ということで、物足りなさもあるわけだが、今は辛抱の時ということで、そこは飲み込んでおくしかない。

今公演も座席は「文楽流ソーシャルディスタンス」で。ただ、秋よりも着席可能席数は増やされていた。この着物柄の紙が消えるのはいつになるのだろう…

劇場内はいつもの初春公園同様に正月らしさが漂う。一方で、初日の鏡割りと振る舞い酒、松の内の撒き手ぬぐい、十日戎福娘の福笹授与に宝恵駕籠巡行が中止になり、その点寂しさもあるが…

おなじみ、黒門市場から届けられた「にらみ鯛」
こちらもおなじみ、立派な三段重ねの鏡餅

毎年、近郷近在の寺社から偉い人揮毫の干支の一文字も贈られる。今年は高野山真言宗官長総本山金剛峯寺第414世座主葛西光義大僧正によるもの。いつものことながら、思わず手を合わせたくなる。

劇場に入ってまず目につくのが、舞台真上のにらみ鯛の巨大オブジェとロビーにあった「丑」の字をそのまま転写した巨大凧。こちらも正月公演の名物。ほとんどの人が写真に収める。

床の上の御簾には注連縄が飾られる。簾内の若手の語りや三味線、メリヤスの音色に耳を傾けるのも、楽しみのひとつ。

もちろん、床にも立派な鏡餅。よく見ると、こちらは二段重ねですな(笑)。

なお、文楽劇場では安心・安全な観劇のためにと、劇場内でこんな動画をガンガン流している。「そ~しゃるでぃすたんす」を保って、エスカレーターを使う狐くんがかわゆいではないか!

ま、今回はとりあえず文楽劇場の新春ムードをご覧願った次第。舞台のあれなやこれやは、またこの次に!



 


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